讃美歌199番 「わが君イエスよ」
バプテスマの意義と喜びを平明な言葉で表現し、しかもどこかに日本人の気持ちを匂わせているところにこの歌の特徴がある。
1890年(明治23年)『新撰讃美歌』(譜付き)で223番“貴きわが主よ”の歌詞で紹介された讃美歌である。讃美歌の左上辺に“Shinsen
Sambika、1890”と記されているのはこのためである。英国国教会の牧師フレデリック・ホイットフィールド(Frederick
Whitfield 1829-1904)の“I need Thee、 precious Jesus”が出典であるが、讃美歌の改訂のたびに、歌詞の
修正が行われ、英語の原形からかなり離れたものとなった。即ち、日本語訳は、その英詩の第一節の語句が2、3生かされた第一節、意訳の第二節、残りの二節
は創作となっている。題名も“貴きわが主よ”から“わが君イエスよ”に変更された。
「わが君イエスよ」の曲はブラッドベリーが作曲して、1872年(ブラッドベリーの死後になる)発行のSongs for
the Sanctuaryに収録された(尚、Songs for
the Sanctuaryの初版は1865年であるが、この初版に掲載されているかどうかは確認していない。)。そこでは "I need
Thee、 precious Jesus" ではなくて “Dear Saviour、 ever at my side”(Faber);
“Remember thy Creator now” (Anon.) “Dear Jesus、 let thy pitying eye”
(Anon) の3編の歌詞が配されていた。なお、当初の ORIOLA
の旋律は「わが君イエスよ」とはいくらか違いがある。また、1931年版『讃美歌』まではScots snapと言われるリズムが使われていた。
『新撰讃美歌』223番“貴きわが主よ”の譜面とScots snapのリズム

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