2016年11月3日大分県祖母山系の傾山へ(傾山1602m:九折登山口から反時計回りに周回する)
 
  
 九折越までは急傾斜の連続              九折越から望む傾山の岩峰  三ツ尾コースの観音滝(落差70m)

 
祖母・傾山系の東端にそびえる傾山。祖母山の山頂から望むと、荒々しい岩峰の連続が見て取れる。40数年前に登って以降、ずーっと眺めるだけの山となっていた。
今回、竹田市に前泊して
秋真っ盛りの傾山を日帰りで味わおうと、反時計回りの
周回コースで計画を立て、友人2人と登ってきた。


 九折登山口駐車場7:30ー林道出合9:30-九折越10:30-傾山山頂12:05昼食12:30-三ツ尾14:30―観音滝15:30-登山口駐車場16:00

7時過ぎに九折登山口に到着。10台前後の車が駐車している。ここのトイレは水洗で、登山口のトイレとしてはとてもきれいにしてある。ありがたい。
砂利道を300m程登った所で三ツ尾コースと分かれ右側の森の中へと登りだす。1時間ほどで左下に「芥神ノ滝」が見えてくる。高さは20m弱ではないだろうか。
その後、小さな支流の谷川を越えるころから傾斜が急になり、林道出合までロープを頼りに崖をよじ登るところが何か所もある。雨の日は怖そうだ。急坂にへばりかけたころ、ひょっこりと林道に出る。ここでしばし休憩。地図ではこの後も急傾斜となっているが、実際にはジグザグに登るため、「林道出合」から「九折越」までは苦労せずに歩くことができた。
「九折越」は広々として陽も差し込み、気持ちの良い場所である。高度的にはここまでで傾山登山の9割がた終わった気分だ。しかしここまでの登り3時間は実にハードであった。「九折越」から先しばらくは、ブナなどの落葉樹の下をゆるやかな勾配で登る快適な稜線歩きである。時々山頂の岩峰や大崩山塊が見通せて眺めも素晴らしい。樹間から見える傾山頂(左)と後傾(右)の岩峰。ここから後傾までが最後の登りとなる。エネルギー切れの足には最後の試練だ。
傾山頂にて記念撮影。360度のパノラマが楽しめる。それにしても私の髪同様に木々の紅葉はここでもまばらである。傾山頂から祖母山方面を望む。祖母山の右後方に阿蘇山がかすかに見えていたが写真では見えない。残念ながら九重は肉眼でも見えなかった。帰りは、三ツ坊主裏側の「水場コース」を下った。このコースはテープを頼りに進むことになる。見失えば道に迷いそうだ。ところどころに紅葉が見られたが、全体的に今年はよくない。
山頂から2時間かけて「三ツ尾」に着いたが、標高差では400m程度しか下っていないらしい。「三ツ尾」からは一気に下り始め、1時間で500mを下った。林道に出たところが三ツ尾コースの「登山口」だ。林道を離れ「観音滝」の滝口の上を渡り、急斜面を200mほど下って谷底の九折川に出る。駐車場まではあとわずかだ。道沿いには鉱山跡からの排水路が走っており処理場へと流れ込む。排水路内には赤茶色の物質(何かは分からない)が付着している。ここの九折鉱山は鉛やスズなどを産出していたらしい。駐車場横にある排水処理施設が今も稼働しており、付近の川は禁漁区となっている。

 九州の山の中で山頂までの所要時間の長さでは10本の指に入る山ではなかろうか。南側の見立から林道を利用するコースは所要時間が短いが、そのほかのコースはどれも厳しい。
特に祖母傾山に囲まれた馬蹄形の内側の谷は深く切れ込んでおり、標高差は優に1000mを越えている。
谷筋には結構古い時代の岩石が露出しているが、傾山などの山はその上に何層かにわたって流紋岩などの火山岩が覆っているようだ。
傾山の魅力ともいえる切り立った岩峰もこの分厚い火山岩が縦に割れて形成されたのではないかと推測される。
すぐ南に位置する大崩山群は花崗岩の大岩で形成されており、どこか明るい感じがするが、傾山界隈はどこか薄暗い荒々しい感じがする。山の深さを感じさせるともいえる。

 今回は、11月初旬とあって紅葉の美しさにも期待しての山行きであったが、残念ながら期待はずれであった。
麓は僅かに黄みを帯びる程度しかなく、稜線に上がると落葉樹の葉っぱはかなり落ちており、残った葉も色が悪い。今年の異常気象のせいかもしれないが・・・