実践レポート「Japonika Creative」

(特別講義)

 
 

Japonika Creative


特別講義

場所:アダム・ミツキェビチ大学 Poznan, POLAND

日時:2012年4月4日


ポズナン市のアダム・ミツキェビチ大学にて、「Japonika creative 昨今の日本のマンガ、アニメ、ゲーム等に見る日本人のメンタリティと、その歴史的背景について」という特別講義を、2時間行いました。


受講者は40人程、主にアダム・ミツキェビチ大学他、市内の他の大学からの学生も居たようです。

学生は全員、日本の文化、または日本語について学んでおり、学年は1年生から5年生(大学院生)まで、ほぼ均等に出席していたようです。

差こそあれ、全員が日本語をかなりのレベルで理解できるとの事でしたので、講義は全て日本語で行いましたが、念のため、一人のスタッフにポーランド語への同時通訳をして頂きました。


講義内容は、NHKの「MAG・ネット」等の番組や、YOUTUBE等からVTRを選び、「ラブプラス」「アイドルマスター」「初音ミク」等のバーチャルガールフレンド、バーチャルアイドルが、日本の一部で人気を得ている事を説明しました。さらに、オタク文化と宗教との混交の極端な例として、了法寺のテーマソングPV等も紹介しました。

通常の大学の授業では、日本の伝統的な文化を重点的に学んでいるであろうポーランドの学生にとって、日本の昨今の、2次元的な、イラストの少女に恋をする男性等の特殊な状況は、やはりかなり奇異なものに映ったようでした。しかし、「なぜこのような状況が、日本で起こっているのか?」を、主に宗教思想や哲学、歴史背景をもとに考察するよう促した所、様々な鋭い意見を聞く事が出来ました。

特に、アマチュアによる2次創作により人気を得た「初音ミク」が、なぜアメリカでトヨタのオフィシャルCMに採用されたり、3Dによるコンサートが開かれるまでになっているのか、経済的な側面からの質問や議論が多くなされたのが印象的でした。

私としては、日本人が古くから持つアニミズムが、キャラクターに生命感を与え、さらに、そのキャラクターと個人的に親密になるという思想の土壌が日本にある事、そして、それが昨今の、日本のマンガ・アニメの世界的な人気につながっている事、等を指摘しようと考えておりました。

しかしポーランドの学生の中には、西田幾多郎等、日本の近代哲学をも学習している方も居て、私を驚愕させました。そして議論は、「近い将来、日本と同じ現象が、ヨーロッパ等、世界の他の地域でも起こりうるか?」という内容に発展しました。

もちろん、2時間の講義の中では、その答えを出す事は出来ませんでしたが、日本の特殊な状況を、ただ気持ち悪いものとして拒否するのではなく、積極的に分析しようとする姿勢に感銘を受けました。


イースター休暇直前にも関わらず、多くの学生に出席して頂いた事、そして、予想を超えて充実した内容の議論となりました事を、心から有り難く思っております。

Japonika Creative 概要