先ずは機材から

赤道儀を改良しました
高橋製作所のスカイパトロール(TG-SP II)に下駄を履かせてみました。スカイパトロールの特徴はなんと言っても携行性に優れていることです。写真撮影の遠征では三脚とカメラを併用することでベストの組み合わせとなります。
しかしTG-SP だけでは望遠鏡が搭載しにくい仕組み(鏡筒を回転すると本体にぶつかる)のため、ドイツ式赤道儀に変形させるドイツ式ユニットが必要となりました。しかしこれが重い! また剛性に不安がありました。
そこでTG-SPの赤緯軸に取り付ける簡単な下駄を作成してみました。日曜大工店で販売しているコの字型のステンレス金具に穴を開けねじ止めするという簡単なものです。必要な工具はステンレス用ドリル(切削油は当然必要))とヤスリですが、はっきり言って硬いです。(強度を考え材質をステンレスにしてみましたが、アルミのほうが加工もしやすく、しかも安い、軽い物になると思います。)
最初はコの字金具一つで望遠鏡を載せましたが、ドイツ式ユニットよりはるかに剛性が無く、とても眼視に耐えません。そこで二つ組み合わせて箱型にしてみました。
一見、不安定で軟弱そうですが鏡筒をつけると極めで頑丈になりました。下駄が短い分、きわめて安定しており、鏡筒を回転させてもTG-SP 本体にまったくぶつからず良好です、しかも軽い。
シュミットカセグレン(日本特殊光学 スペース10MC)を乗せてみました。これくらいだとバランスウエイト無しでも天頂に向けて観望できました。
成功に味をしめてBORGの76ED を乗せてみました。カメラを載せるとさすがにバランスが崩れ、無理がありますが、観望だけなら快適です。(ファインダーはスペース10MCの物を併用)
極軸望遠鏡のセットビス(3mmx4mm長)を3mmx12mmの飾りネジに変更した。
これで容易に極軸望遠鏡の平行度を工具無しに調整できるようになった。 
 


レンズの曇り止め用にヒータを用意しました
2枚80円で仕入れたステンレスヒータは6[V]で適度な発熱があり、カメラやアイピースなどにちょうど良い大きさでした。5[V]の電源で暖めたところ十分すぎる発熱でした。
問題は接点がステンレスのため、通常のはんだ付けができないこと、また高温ではんだ付けすると樹脂カバーが溶けてしまいそうなこと。
仕方なく、2mmの穴を開け鳩目端子で暫定的に接点を作りました。今のところ取れる気配なしですが、いずれステンレス用のフラックスとはんだではんだ付けすることになりそうです。


HRO観測機材をまとめました
流星電波観測ガイドブック(絶版、残念!)に従い、必要な機材を接続。
1.PC+Windows+HROFFTソフトウエア
  PCの内部クロック(時間)を正確にあわせる必要あり。
  GPSレシーバーで時間同期させるかInternet接続でNTPサーバーと同期させる。
2.受信機(50.75MHzが受信できるもの)+電源
  周波数は53.74922MHz、モードはUSBで固定。
3.オーディオポート同志を接続するオーディオケープル
4.アンテナケーブル
注意点:Microsoft Windows上では各種Updaterに注意すること。特にマイクロソフト社のUpdatorは夜中に勝手に起動中のアプリケーションを止めてRebootしてしまうことがある。24時間x数日の安定稼動した観測が必要なら自動アップデートを切るか、ネットワークから遮断しておく必要があります。私は不覚にもこれで失敗しました。事前に何日かTrial Runをしておくことが必要です。 Change ManagementとRisk Managementは必要。

ベランダに設置したヘンテナを天頂に向けた。電波発信源が西方向なので少し西側を低くして(西方向に指向性を向けても)もよいかもしれない。
地上高9mH、ベランダからの高さ1.5mH(経験値)、多分SWRはかなり高い。
材料
1.100円ショップで買った突っ張り棒(マストに利用) 4本 :400円(100円*4)
2.100円ショップで買ったビニール洗濯紐 一巻き :100円
3.100円ショップで買った結束バンド 140本/袋:100円
4.園芸店で買ったアルミ線 2.5mm*10m :300円位
5.わに口クリップ、BNCターミナル、線材、同軸ケーブル もろもろで1200円位。

作成方法
1m*3mの長方形ループをアルミ線で作成し、ビニール洗濯紐に這わせる。
四隅を洗濯紐で引っ張り、突っ張り棒で作ったマストに結ぶ。
わに口クリップをスライドさせ共振点を探し固定。同軸ケーブルで信号を引き出す。
結束バンドで適当なところを止め、見た目を整備。

追記(2010年1月16日)
旗ざお用のポールが手に入ったので、突っ張り棒と交換した。
給電点の高さはベランダの床から2mを越え、さらに頑強になった。更に微弱な流星をキャッチできているかどうかは不明。
延び縮みの長さが長いのでアンテナの開口部を斜めに向けることが出来るようになった。


太陽観測用の減光フィルター・アダプターを製作しました


2012年5月に日本で観測できる金環日食に備え屈折望遠鏡に取り付けるフィルターを作成しました。

市販のフィルターはNDフィルターを中心に高価でとても手が出る物ではなかったので、
他のものを物色してたところ手持ちの緊急持ち出し袋に緊急用毛布というアルミ蒸着の
シートがありました。 ひょっとしてこれがフィルターの代わりになるのでは、と考え試しに
太陽を裸眼で見たら1枚ではかなり眩しい。
裸眼では2枚重ねたらちょうどよい減光度合い、3枚だと減光しすぎでした。
EMERGENCY BLANKETはアルミ箔ではなくセロファンシートに薄いアルミコーティングしてあるようなものです。
シートは0.02mm程度(実測)の厚さでポテトチップの袋を内側から見たような印象です。
裏表は判別不可能ですが、たしか高温にさらされると蒸着したアルミ箔がはがれた記憶があります。
BORG76EDのフードに薄いシートを巻いてセロハンテープで固定し、その上に2枚重ねの緊急用毛布シートを
かぶせて更にセロハンテープで固定。
念のためその上にもう一重に薄い透明なシートをかぶせて固定しました。
若干対物レンズを前から見ると「しわ」や「折目」がありますが出来るだけ引き伸ばして固定しました。
指で触ると「ブヨブヨ」で凹みます。
三脚に取り付けて前からフィルターを見たところかなり「しわ」があります。
ちょっと試した範囲では眼視での太陽観察に影響はありませんでした。
しかし所詮蒸着フィルムなのでいつ何時トラブルが起きるか判りません。
この記事を真似して事故がおきても責任はもてませんので、試される方は自己責任でお願いします。
太陽に向けたところ、減光も良好で黒点がはっきり見えました。
フルセットで観測機材を組上げてみたところ問題多発。
1.焦点距離が長すぎ&太陽が大きすぎて全体を捉えることが出来ない。
2.風で画像がユラユラ揺れて撮影が難しい
3.太陽光に照らされたPCの液晶画面上でピントの確認が困難。
この方法は黒点観測にはよいと思われる。
4.実際の観測風景
  2012年5月に撮影した結果 (全てデジタル一眼カメラ+300mmズームレンズ。


Bahtinov maskを製作しました
デジタル1眼レフカメラとBORG 76EDによる星雲星団撮影時のピント合わせ精度を向上させることが目的です。

材料:100円ショップで入手した0.5mm厚のアルミ板
ツール:Mini-CNC HAKU、1mmのスクエア・エンドミル、両面テープ、水性切削油
元データ:AstroJargonさんのサイトに用意されているBartinov Mask Generatorにで生成。
レンズ口径76mm、焦点距離500mm、枠径88mmと入力しスリットを細めに設定して元ファイルを生成(pdfファイル)。
望遠鏡のフードに取り付けるためツバを取り付けて作図。 
G-Code生成してNCVCで確認。 Mach3上で切削シミュレーションした後にCNC切削開始。
切削条件:移動速度 200mm/Min、一度にエンドミルが切り込む深さ0.2mm。
切削後に廻りのアルミ板を取り外した。
両面テープが予想以上に強力でマスクがはがれない。
しかもアルミの切削粉が溝に詰まってしまっている。
手元にあったヘンケル・ジャパンのシールはがしをスプレーして待つこと2分。
薄いドライバーをアルミ板と捨て板の間に差し込んだらス〜っとはがれた。
恐るべしシールはがし。 この手のツールは大事だ。
へばり付いていた両面テープの糊をお湯で洗い流した。
美しく溝が掘られている。
手で掘るのはまず無理だろう。
切削チェックリストがここでも役に立ちました。 
(安全、安心が機械工作には絶対必要)
念のため寸法を測定した。
当然作図どおりの精度が出ている。
ツバ部分をBenderBlack30で折り曲げてフードの先に取り付けてみた。
ツバの長さが微妙に短いがぴったりフードにはまって気持ちが良い。
全面のレンズ方向方見たところ、、、既製品には今一歩及ばずだが十分な出来だと思う。
同じ物をCNCで切削される方はこの世にはいないと思うが、念のためNCデータにアクセスできるようにしました。
Lumix-GX1を取り付けて直焦点でマスクを利用してみたところピントは気持ちよくあいました。

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