VNWA2(SDR-Kits: DG8SAQ)の製作記録



RFワールド誌No.10の記事で紹介されていたベクトル・ネットワーク・アナライザー・キットの機能と精度に
驚きFRMS/FREXGigaStAPB-1を経てVNWA(Vector Network Analyser)の海外キットに挑戦しました。
このページで紹介しているキット・部品はすでに頒布終了となっており完成品以外の入手は困難です。
(2010年11月末でキットの頒布受付を完了)
製作動機は流星観測用のヘンテナの特性を詳細に調査し、更に完全な物に仕上げたかったこと(APB-1は帯域が!)
と、作って完成したら楽しそうというものでした。もちろんハンダ付けの腕がこれ以上衰えないように訓練したいという
裏の目的もありました。

vector network analyzer , envelope はるばるイギリスから送付されてきた部品はあっけなかった。
海外から精密部品が日本にはるばる送られてくる…。
期待と不安を胸に待つことしばし・・・オーダー後10日くらいして国際宅急便で到着。
途中の貨物追跡機能は全く無意味で、日本に向かう業者に委託した、、、で終わり。
(VNWA2キットとケーブル類の費用総額: ¥35,622 JPY = £269.00 GBPでした)

まずは部品の到着から度肝を抜かれた。
国際便なので箱で到着する物、との固定概念を打ち破り紙袋でイギリスから届いた
部品の入った封筒にはしっかりキット・ブランドの封印がされており、ヤル気と自信が最初から読み取れる。しっかりしたところから送られてきたという印象を受けた。
これがイギリス電子工作界の標準なのでしょうか?
電子部品とケース、追加でお願いしたケーブル類が個別に丁寧に梱包されていた。
ケースが予想以上に小さく、以前作成したAPB-1よりさらに一回り小型。これだとスーツのポケットに入るネットワークアナライザー(Vector Network Analyser)となりそうだ。
右上の封筒には製作マニュアルの一部とVNWA基板/USB基板の回路図がA5サイズに縮小コピーで入っている。USBインターフェースを制御するソフトウエアのプロテクト解除コードのメモも添付されていた。VNWAWキットとUSBキットは別々に分類されてキット化されている。
中央上の黒い板は導電スポンジで、この上に基板をのせて部品取り付け作業をしなさい、ということらしい。これ、熱で溶けないだろうか?
キットは4つのパートとケースに分類されている。
私はKit-4というフル・キットを購入したのでこのような形態で届いたいのだろうと予想している。
ケースのゴム足は自分で貼り付けるのか!
AD9859(DDSチップ)は静電気に弱いので個別の箱に収められていた。
0.5mmピッチのICなので足曲がりや静電気保護のため導電スポンジでサンドイッチされた箱でキット化したのだろう
小さく可愛いDDSが愛らしく、愛おしい。
VNA基板のキットの袋を開けると更に部品がその種類ごとに分類され個袋に梱包されていた。
抵抗は数値がプリントされ、コンデンサーは色帯で識別できるようになっている。
しかしそれ以外の部品は自分の経験と知識、虫眼鏡を頼りに分別しなくてはならない。
WEB上に公開去れている部品リストとは異なる(多分コンパチ)物が入っており、動作確認を行うまで不安だった。
この後、抵抗の一部が不足していることが発覚した。最初に全部品の写真を個別に撮影していたので、その確認写真とともにイギリスにメールを出したところ1週間ほどでお詫び状とともにチップ抵抗が追加で届いた。 誠実な対応で安心感100%だった。ハンダ、ハンダ吸い取り線までついているところが凄い。テスト用の抵抗まで付属しているとは思わなかった。
基板の写真はライセンスの問題に繋がる可能性があるので載せません。
USBキットを開梱したところ。ATMEGA88のチップを中心にVNWA基板と同じ大きさの基盤と周辺部品でまとめている。ATMEGA88のチップに油性のペンでライセンスキーが書いてあるとは夢にも思わなかった。
ケースの材質はアルミではなく鉄?のようだ。
コネクターや基板をハンダ付けして固定することになるのでアルミ材を選ばなかったのだろう。
サイズはとても小さい。
いきなり基板のヤスリがけから製作手順が始まっている。
マニュアルに書いてあるNeedle filesとはヤスリのことだった。
細い棒やすりでSMAコネクターの芯線と基板のランドに隙間ができないようにPCBを削る作業から開始。さすが最大周波数1.3GHzの測定器キットだけあってAboutな実装は許されないようだ。
今回初導入のチップ部品押え冶具と、ハンダ付けに必要なツール類。
この写真には無いが、ハンダ付けでしくじったところはコテライザーSMDでその部品を再加熱し修正した。
このように上からチップ部品を押さえ、両側のランドにハンダを盛った。
両手が使えるのは偉大。
これが大成功で、作業効率が格段に上がった。ただし、ランドがグラウンドのベタパターンに繋がっているチップについては従来の片側のパッドに予備ハンダ、ピンセットで部品を掴み片側だけハンダ付け、その後にもう一方を追加でハンダ付けし固定、という流れは変わらなかった。
APB-1を工作したときに使ったSHINBIのルーペが活躍したのはいうまでも無い。
DDSチップの取り付け後にPCとパラレルケーブルで接続し、動作を確認する手順があった。購入したキットには通常のD型コネクターがつかないため即席ケーブルを作成してテストを実施した。
DDSチップのハンダ付けでは1.8倍のルーペでは手探り作業になるため、高倍率なルーペで実施。わに口クリップつきルーペに高倍率ルーペ(LED照明つき)を取り付けて工作したが、これが大成功だった。
セミリジット・ケーブルの取り付け方は世界中の先輩が公開している事例を真似した。
これが正しい取り付け方かどうかは不明。
セミリジットケーブルの皮膜をむく正しい方法がわからず、ニッパー、カッターで無理矢理剥いだ。
VNWA基板最後のテストはオーディオケーブルの接続も必要になる。
これもパラレルケーブルと同様にケーブルとステレオ・ミニジャックを繋いで自作。
USB基板もチップ押え冶具で取り付けを遂行。
基板同士をスペーサーで取り付けた。
一部のスペーサーはなんと2段重ねで、マニュアル記載の長さと微妙に異なる。
VNWA基板側から見た。
全ての部品取り付けが完了しUSB基板と接続された状態。
電源のジャンパーピンを接続しないとUSB基板から電源が供給されない。
マニュアル上で見落としがあったかもしれないが、ジャンパーピンを繋げ、という指示は見当たらなかった。ジャンパーピンの必要性は回路図から読み取った。
DDSのサーマル・パッド(Thermal PAD)へのハンダ付けは多分うまくいっているはず。
USB制御基板側から見た。
こちらも全ての部品が取り付け完了担っている状態。
LEDが90度曲がった物で、取り付け方法がわからず外側を向く要に取り付けたら、これが正解だった。ケースにLEDランプ用の穴が開いており、電源を入れると外から赤く光るLEDが確認できる。
ATMega88のプログラムにはプロテクトがかかっていないのでチップからしかるべき方法で吸い出してバックアップすることが可能。このプログラムに個別のID情報が入っていると予想している。念のため基板上のISPポートにピンヘッダーをハンダ付けした。
ケースに取り付けた状態。この後、基板、コネクターをケースにハンダ付け。
我が家の普通のハンダゴテではハンダが熔けず、コテライザーの最高パワーで熔かして取り付けた。
ケースにパネルシート(両面シールになっていた)を貼り付けた。
ネジ穴とケースの穴が微妙にずれており、無理矢理止めた。
ケース、ネジ穴の精度がそれほど高くなく少し全体に歪んでいる。
このあたりがNon-JAPAN Qualityだと感じる。
ケース側面にUSBポートがあるが我が家では無用な穴。
このままこのポートはUSB-HUBとして使えるらしく、USBメモリーに最新ソフトやキャリブレーションデータを入れて使う人もいるらしい。
ケース裏側にUSBポートと電源表示のLED穴が見える。
ケースの底板には付属のゴム足を両面テープで取り付けた。取り付け位置は適当。
使用した工具類。
写真に写っていない(写真に撮り忘れた)工具は1.8倍の大型ルーペ、公称30倍のルーペ、コテライザーSMD、TektronixのTDS 224、ALINCOのDM-320MV(電源)、100円ショップで買ったステンレス・トレイです。
あとは最後までやりぬく精神力、ユーザーが集まるフォーラムの情報を確認するための語学力。
(時々ドイツ語やXXX語のメッセージ、リンク先にはフランス語等があり私の限界は超えている)


製作過程のレビューポイント
1.マニュアルに記載されている部品リストと実部品員数の比較チェック。 全部品の写真撮影。
  VNWAとUSBインターフェースの基板はスキャナーで両面を高解像度スキャンしPC画面上で
  パターン間にヒゲなどが無いことを確認。(一部欠品があり、再送付を受けた。)
2.製作マニュアルの印刷と熟読、全体の段取りの概略を頭に入れる。 
  VNWAユーザーフォーラムに掲載されている完成者(先輩)の写真を観察し、完成のイメージを掴む。 
  同封されてきた回路図(A5サイズ)をスキャンしA4サイズに拡大印刷。(A5サイズでは小さくて読めない)
3.使用する工具の事前手入れと準備。工具の整理整頓。
4.ハンダゴテの温度は取り付ける部品のサイズや取り付け先のパターンにより頻繁に変更。
  マニュアルの指定どおりに温度設定してOKな部分と、こてさき温度を上げないと取り付けられない部分がある。
  ハンダゴテ先のクリーニング、無洗浄フラックスの多用、アルコールによるフラックスの削除は適時行ったほうが良い。
  SMD部品は取り付ける前にSMDテスターで念のため測定。
  SMD部品取り付け後は、その都度に高倍率ルーペでハンダ付けの状態を確認し、不安ならそこで修正。
  後戻りしないことがポイント。特にSMDコンデンサーは容量表記が無いので間違ってつけたら追跡困難。
5.基板上にシルク印刷が全く無いので、部品レイアウト図と現物を徹底的に比較しながら取り付けないといけない。
  子供が横断歩道をわたるときに「右左右」と見るような慎重さが必要。
6.VNWA 2.6の実基板とマニュアルの実装図は一部異なる。R79の場所が実装図の左斜め下、かつ方向が垂直ではなく水平方向。
7.VNWA 2.6の製作マニュアルのC9とC5の両端電圧がページによって若干異なる。最初に出てきた電圧表示が正しい。
  他のページも同様でKit-4の場合は電圧が若干異なる。
8.DDSチップを取り付けるランドの質や精度は高くない。
  潔くハンダをピンにテンコ盛りにして付属のハンダ吸い取り線で吸い取ったほうが良い。
  サーマルパッドへのハンダ付けは基板の裏側からなので、こて先を高温にしてviaに極細ハンダをねじ込み一気に加熱。
9.取り付けない部品が基板レイアウト図から消されているが、実基板行にはしっかりパターンが残っているため
  部品の場所を見誤る可能性大。マニュアルと実基板を比較し、マニュアルのレイアウト図に事前に追記したほうが良い。
10.セミリジット・ケーブルのハンダ付けは予想外に簡単だった。
  皮膜をむくのがちょっと面倒。

計測事例、VNWA自体の性能確認

[本体の性能]
・キャリブレーション後の50オームターミネータの特性
 - キャリブレーションに使用した50オームのターミネータ特性、当然だがフラットで綺麗な特性となる。
 - 千石電商さんで購入した100円の50オームターミネータの特性、許容範囲。
 - 秋月電子さんで購入したMCL NTRM-50というターミネータの特性。さすがに優秀。
 - 100オームのチップ抵抗を二つ並べて自作した50オームのターミネータ特性
・Tx outから出力した10MHzの信号をAPB-1で受けた。この誤差はAPB-1側が原因。
 続けて通電2時間後に再度測定してみた。多分VNWAもAPB-1も双方がずれるので真値と偏差は不明。
・低周波数領域でTX-outとRX-Inを接続した時の特性。キャリブレーション/フラット化はしていない。
 VNWAの仕様が1KHz以上、となっているのは実特性からうなずける。
 Sweepの速度を目一杯遅くするとかなり低い周波数帯域のある範囲(200Hz~)なら使えそうな特性でもある。
・TX outの信号をTDS224オシロスコープで観察。 
 120Hz以上が波形的には許容範囲だろう。

・VNWA Ver. 35.7.3から追加されたTx出力のレベル調整機能を試してみた。
 VNWAの出力とAPB-1の表示レベルを数値的に合わせてキャリブレーションしてみた。
 出力レベルのスライダーレベルとAPB-1上の表示データはリニアに変化した。
 ただし発振周波数を変化させると微妙に差が大きくなる。(VNWAとAPB-1双方の精度が不明)
 さらにTx周波数を10MHzに変更しGigast Ver.5で測定してみたらソコソコの精度だった。
 願わくば周波数バンド毎にキャリブレーションのデータを入れる機能が欲しい。
・HP8648Bの信号をスペアナモードで確認した。信号レベルはすべて無変調-20dbmとしているが
 VNWA側にキャリブレーションの機能がないので周波数によって表示レベルがバラバラになる。
 10MHz100MHz300MHz500MHz1000MHzの測定波形。
 レベルは300MHz入力時がかなり正確な表示になることがわかった。

[アンテナの測定]
・手持ちのロッドアンテナの特性をスミスチャートとVSWR表示してみた。
 単純にTX Out端子にアンテナを接続しただけ。 VNWAはS11がそのまま測定できるのでブリッジは不要。
 FM放送帯域をこのロッドアンテナを使ってスペクトラムアナライザーモードで覗いてみた
 スペクトラムアナライザーをContinuousモードにして、取得データの平均化ピークホールドをしてみた。
・もっと広い範囲でスペクトラム・アナライズを実施(V,U,BS/CSアンテナ混合端子に接続)してみた。
 画面左側のアナログテレビ波は今年後半には消えてしまう運命、風前の灯な信号たちだ。
 ブースターが入っているのでノイズフロアを含め全体にダーティーな波形になっている。
 スペアナモード自体は「おまけ」モードなので所々に自己スプリアスが出ている。事前に測定した信号と
 スプリアスを見分ける技が必要となる。
・ダイヤモンド社、D190ディスコーンアンテナ特性、青がVSWR、赤がインピーダンス。
 スミスチャートだとこんな感じ。360Mhz以下の特性がかなり乱れていることがわかる。
 それより上の周波数は比較的安定。
 改めてキャリブレーションして測るとこんな感じの結果になる。電波暗室が無い我が家ではアンテナの測定は難しい。
・自作AMアンテナの特性(最初)を測定(12cmバーアンテナとエアーバリコン)
 測定結果、青-赤がバリコン容量最大(最低共振周波数)、黄ーピンクがバリコン容量最小(最高共振周波数)
 スペクトラム測定モードで測るとこのような結果になった。それなりに受信できている。
・FCZ研究所の430MHzプリンテナの特性を測定。 測定範囲を拡大(広げた)してみた。
 アンテナの設置位置が微妙にずれると特性ががらりと変わるのは愛嬌。
 客観的評価ではエレメントを短く切り過ぎ、ターゲット周波数が高めにずれていたようだ。
 給電エレメントを1.5mmの真鍮導線に変更した結果。エレメントが太くなったため共振周波数が予想より低下?
 給電エレメントを少し短め+幅を少し広げた結果、共振周波数は許容範囲だがSWRが上がってしまった
流星電波観測用のヘンテナの特性を測定した。 
 一部をズームして詳細を確認。 
 きちんとバランを入れているのでもう少し1に近づいても良いはずだが、少し残念。
 期待する周波数でSWRを最小に出来たこと、アンテナの特性が明確になったことが大収穫だ。
 同軸ケーブルの末端でキャリブレーションし、再測定した結果(47MHz-57MHz20MHz-80MHz)。
 これがアンテナ(FCZ研究所のスーパーアンテナ・バランとヘンテナ本体)の実能力なのだろう。
・2011年のペルセウス流星群に合わせてアンテナを再設置し測定。(ケーブル末端でキャリブレーション)
 エレメントへの給電点を変えたところ昨年よりSWRが高くなってしまった。測定方法の違いだろうか。
 その後、約2週間ほど放置したあとのアンテナを再測定した。微妙に共振点が低め(100kHz)になった。
 風で揺さぶられてエレメントが長くなったかもしれない。
・公称50オームのRG58U同軸ケーブルの特性。 終端をOpenしたときのTDR波形
 (ダイヤモンド社D190アンテナにおまけでついてきたもの、約10m)
 この同軸ケーブルの測定結果でどのような評価を下すのかは不明。
・10cmのバーアンテナに20回程撚り線を巻いたコイルの測定。 
 (Port Extension OnでPort1に4.39nsを追加している)
 むき出しのフェライトバーなので測定環境(場所や方向など様々)にデータが大きく影響を受ける。
 電波暗室が必要だとは思わないが、素人のアンテナ特性測定にはそれなりの環境は必要だろう。
 予想以上にQが高いのは細い電線ではなく太い撚り線だからだと思われる。。
 測定精度を度外視すると高級LCRメータと比較しても十分にメリットがある仕様だと思う。
 リード線を更に疎巻きにしてみたところQが若干向上? 
 巻き数も違うので単純な比較は出来ないが、太い電線で疎巻きにするのがポイントらしい。
・APB-1で生成した10MHz、50kHz、変調度50%のサイン波をベースにしたDSB信号拡大、更に拡大
 予想以上にスプリアスが多い?
・直径約40cmのスモール・ループ・アンテナ(真鍮線)の特性
・ΔLOOP9のヘッドアンプの特性
 Rxポートに20dbのアッテネータを2段入れてキャリブレーション後にS21とS11を測定。
 測定系、電源とアンプを真面目に同軸ケーブルで繋いで再測定、、、Rxポートに30dbのアッテネータを挿入。
 かなり特性が変化してしまった。
・学研の電子ブロックミニにVNWAを接続、アンテナの特性(最低周波数ー最高周波数)を測ってみた
 470kHzから1.9MHzの間で共振するらしい。
・ミズホ通信のピコシリーズ MX-6Zに付属してきたヘリカル短縮アンテナの特性
 VNWAのポートに直付けしたため置く場所により極端に特性が変化する。
 今更だが予想以上に素晴らしいアンテナだった。
・自作の長波JJY用アンテナのアンテナ端子特性。残念だがJJY受信できず?!
 180mm*10㎜のロッドに0.1㎜撚り線を多数(100数十だと思う)巻き、2次側は27回)

[電子部品等の測定]
・クリスタル・アナライザーでUnknownな37.650MHzのクリスタルを測ってみた
 これも単純にTX Out端子に水晶発振子を接続しただけ。 見事に共振周波数を言い当てている。
 S21でクリスタルの特性を表示してみた。
・7.8MHzのSSB用クリスタルフィルターを測定。入出力ともマッチングを取っておらず直結した状態。
 同じ条件でAPB-1で測定してみたが、ほぼ同じ結果を得た。 
 BWの差があり当然だが、このような測定対象の場合はAPB-1に勝ち目ありな印象。
 ただしAPB-1は周波数補正ができないので、周波数軸での測定ではVNWAにメリットあり。
 参考に、同じ測定系で10.695MHzのクリスタルフィルターを測定するとこんな感じ
・Murataの10.7MHzセラミックフィルター(SFG-10.7MA 廃品種)の特性を測ってみた。
 手持ちの2個のフィルターの特性を比較すると微妙に周波数はずれるがほぼ同じ。
 グラウンドフロアが高い。試しにフィルターのケースをグラウンドに繋ぐとフロアがかなり下がる
 実基板上ではケースはグラウンドに落ちるのでこの程度の切れで動作しているのだろう。
 更にスミスチャートとS11側から見たインピーダンスを付加して表示してみた。
 フィルターを測定する時は当然入力、出力ともマッチングが必要なのだが面倒なので直結。
 次のステップで考えているS22への切り替え器が欲しい。
・Murata CFU455、455KHzのセラミックフィルターの特性
 入出力のインピーダンスが全くあっていないのでかなり怪しい。もう少しグラウンドフロアが低いはず。
1.5mのSMA-SMAケーブル(PTFE)をTX Outポートに繋ぎTime Domain測定(TDR)してみた。
 短縮率は0.695、設定はこれ。ケーブルの先端をOpen50オーム終端Shortで測ってみた。
 同じ1.5mケーブルを2本繋いだ結果(3m)、OpenShortは当然2倍の距離でした。
 ケーブルを接続した接続コネクターの長さだけ微妙に反射位置がずれるのが教科書どおりだった。
 RG58Uのケーブル長を測ってみた。なぜピークが二つ登場するのだろう。
 短縮率は実測して割り出したほうがよさそうだ。
 S21測定による伝送ロスは最大でも1.4dB程度、500MHz以下の低い周波数では1dBを切る程度。
・1mの両端BNCコネクター付同軸ケーブルの短縮率を測定
 まずVelocity Factorを1にして測定し、Time Domain測定=表示される長さ1.63mとなったので
 1m/1.63m*100=速度係数=61.3%となる。 ポイントは正確にケーブル長を測ること。
・手持ちの周波数測定器の入力端子のインピーダンスを試しに測ってみた。
 APB-1は予想以上に暴れていた。測定対象によっては要注意な物だった。
 gigastスペアナは公称通り50オームでフラット。
 FRMSも予想外に素晴らしくフラットな入力端子で信頼感急上昇。
・秋月電子で昔に購入した公称40kHz超音波センサーの特性
 TX Outに送信側発振子(スピーカ)、RX Inに受信側センサー(マイク)を取り付けて
 双方を向かい合わせた(距離4cm位)。 実は39.3kHzにピークがあったという落ちだった。
・Kchibo社、KK-S500アンテナポートの特性
・大昔に完成したRS-501のスプリアスをスペクトラムアナライザーモードで測定
 完成当初からこのような酷い特性だったとは信じたくないような無残な結果だった。
 明らかに発振している。自分としては経年変化でずれてしまったと信じたい。
 発信器のみ稼動させた状態と、パワーアンプを着けてある程度チューニングした状態
 スプリアスのレベルは少し下がったがこんな物をアンテナに繋いだら世の中の迷惑だろう。
 その当時にFRMSやGigaSt、VNWAがあれば自信を持って完成させられたことだろうと思う。
・1000pFのフィルムコンデンサーの特性
 オーディオ帯域用の普通のコンデンサーだが4MHzくらいまでは問題なく使えそうだ。
・公称30pFのトリマーコンデンサーの最小、最大容量の特性。なぜか最大容量は30pFではなかった。
 実は20~25pFのコンデンサーだったかもしれない。
・560KHzのセラミック発振子の特性。さすがムラタ製作所製だ。素直で綺麗な波形だった。
・3.58MHzのセラミック発振子のS21特性。メーカー不詳、ジャンク部品袋から発見された物だが精度は高そうだ。
 教科書どおりのS11波形がスミスチャート、フェーズで目の前に現れるので多面的に部品解析ができる。
・共振周波数6MHzのLC回路をLCR測定モードで測った
 この部品の使用用途は見当たらず、このまま部品箱で永眠だろう。
・某図書館のセキュリティ・タグシールの特性を直径2cm/3ターンループ・ピックアップで測定。
 同じピックアップでPASMOカードを測定、SUICAカードもほぼ同じ特性、なぜかnanacoは周波数が異なる
 auのお財布携帯(IS03)の特性
 携帯電話の場合、見た目はかなりブロード、チップの位置から少しでもずれると共振周波数が見えにくい。
・トロイダルコアT25-#6に5回巻きのL値。特性は素直にフラットだった。
・秋月電子さんが販売しているフェライトコアLF-190B に1本のアルミ線を入れた特性
 キャリブレーションが怪しかったので再度測定したがほぼ変化無し(最新VNWA35.4でも)だった。
 この特性だけ見るとコモンモードチョーク(CMC)に使えそうなデータだった。(ZCAT3035-1330と互角?)
 コアにネオジム・マグネットを取り付けてみたところインピーダンスが極端に低下(約1/2~1/3)
 想定外だが将来インピーダンスを微調整するときに使えそうなノウハウだった。(Mem1,Mem2が磁石無し)
・日米商事さんで入手したZCAT2436-1330の特性、LF-190と比較(Mem1,Mem2がLF-190)。
 さすがTDK製(?)でかなり優秀。
・Aitendoさんで入手した16MHzのクリスタルをCrystal Anallyzerで分析した結果。
 測定モードS11S21もほぼ同じ結果が得られたので、今後は安心してS11でクリスタル部品を測定できる。
・秋月電子さんで入手した22pFのセラミックコンデンサーの特性はフラット。
・2011年8月7日に頒布元のJanさんから発表されたL2部品のリコール問題(36MHzのクロック発振に
 問題があるらしい)を確認するため、手持ちのLCRメーター(LCR-9063)で測定してみたがでたらめな表示で
 信用できなかった。しかたなくVNWAから取り外したL2をAPB-1で測定した。
 本来820nHのSMD Inductorのはずだが部品メーカーのミスで120nHの物が頒布されていたことがあるらしい。
 APB-1での測定精度自体がかなり怪しく、953nHと「大きめ」に表示されるが多分リコール対象の部品では
 ないだろう。 自分の部品は自分で測れない!
・手持ちの10Kコイル(共振周波数56MHz(?))のL特性。 素直な特性を持っている。
・Aitendoさんの雷電感知警報機 基板の共振回路のLC(330uH,680pF)特性。 理論上は336kHz。
 通電していない状態、ACアダプターから給電した状態。 通電状態のほうが共振周波数が下がる。
 ノイズが載るので電池で給電しないとダメみたい。
 改めてアルカリ乾電池2本を接続して動作させてみた。
 通電無し通電状態、これで雷雲検出可能な状態になった。
・ネットワーク(LAN)用のパルストランスの特性(1対1、公称600Ω)
 本来はどのような特性なのか、公開されていないので不明。
・6石の中華AMラジオキット付属バーアンテナ。
 特性は素直だがちょっと帯域が狭い。(周波数)軸に目盛りを表示できるようになった。



VNWA用の冶具
・100オーム/0.1%誤差の抵抗2本を使ってワニ口クリップで挟める50オームの基準抵抗冶具を作成した。
 高周波特性はそれほどよくないと思うが60MHzくらいまでなら十分に機能してくれる。
・SDR-Kitの販売サイトの頒布で入手したキャリブレーションキット(オス、メス)
 ポートからショート、オープン、50オームターミネータまでの物理的遅延時間の情報が添付されている。
・100円ショップで手に入れた小物入れにコネクターやアッテネータ、測定ケーブル類を整理した。
 小さい冶具が多いので一箇所にまとめておかないと家中でLostする。

VNWA使用時の注意事項(逐次追記項目)
・主ソフトウエアならびにFirmwareのバージョンが最新に上がっているか、Yahoo Group上で
 BBSならびにファイルエリアの確認。
 人柱になる覚悟が無ければexperimental(実験)バージョンは避ける。
・マスタークロックの校正
 Setup/Instrument Settings/RF DDSのClock周波数が校正されていることを確認。
 Default値に戻っていたらCalibrate Clock Frequencyで再調整するか事前に控えたメモ値を入力。
 (備忘録:我が家の場合、35.861577705739MHz)
・DDSのClock倍率の確認
 標準のAutoは低い周波数では波形にそれほどの乱れは無いが数10MHz以上の測定を
 行う場合はAutoをRF-DDS=20,LO DDS=19に変更する、もしくは測定結果を見ながら調整する。
・Audio Setting
 Audio Bufferの大きさは大きめが良い。現時点では60000程度。
 Reference=Right Channelになっていないと正しく動作しない。
 測定周波数が低いとき、No Syncが出ることがある。その際はMisc Audio Settingを調整。
・Setup MenuでS11=lowになっていること
 Setup/Instrument Setting画面でControl Lineの設定がS11=highになっていると
 TX outのS11信号が正しく取り込めない。
・Port ExtensionsのDelay値はTime Domain Reflection(TDR)でVNWAのポートから接続する
 ケーブルの末端までの遅延時間を入力すると良い。(誤差が相殺される?)
・ひたすら測定ごとにキャリブレーションあるのみ。 
 面倒だがキャリブレーション無しと比較すると結果が全く違うことも多々ある。
 キャリブレーションにはマスターキャリブレーションとその場限りのキャリブレーションの2種類が
 保存できるので、その場キャリブレーションファイルはその都度その周波数範囲や測定条件が
 わかるように細かくSAVEしてキャリブレーションライブラリーを作ると再利用できて便利。
・スペクトラムアナライザーモードを使うときは事前に自己スプリアスが測定範囲に現れないように
 セットアップ画面のDDSの逓倍率を適値に変更すると思わぬ誤解(実波形とVNWA内の自己信号)
 が低減される。
・VNWAとPCの接続はPC直結がよさそう。USB-HUB経由だとノイズが増える。
 USBケーブルにパッチンコアを巻きつけると更に良し。
・Syncでエラー対処が公開されていたのでメモした。
 USBコーデックの選択をチェック。Recording(録音)を選択。
 スピーカーになっていないこと。
 マイク、もしくはキャプチャーが選択されていること。
 ReferenceがRight Channelになっていること(VNWA 2.xの場合)
 VNWA3の場合はLeft Channelになっていることが正しいらしい。
 これでも駄目ならヘルプファイルのトラブルシューティングverifying proper performanceを読むこと。
 オーディオ波形などをチェックすること。
・Windows 7のオーディオ設定に注意
 録音デバイスのプロパティで詳細タブのサンプルレートとビット数を正しく設定すること。
 2チャンネル、16ビット、48000Hz(DVDの音質) + レベルを1-4くらいにすること。


リンク集(敬称略、勝手リンクです)
SDR-Kit(オリジナル、本家のページ)
Yahoo user group(オフィシャル・ユーザーグループ、アカウント必要)
DG8SAQ(設計者)
VNA Tutorial(PA4TIMさんのチュートリアル集
ON5KTO(VNWA製作記事、アルミ削りだしケースの作成)
OZ7OU(PDFファイルへリンク、キャリブレーションのノウハウ)
F4EOH(VNWAのキャリブレーションから使用例まで公開去れているわかりやすいページ)
KZ2STO Homepage(キャリブレーションキットの写真が豊富)
JA1BOP`s Miracle 50Mhz!(JA1BOPさんが完成品を入手された様子)
私の二次記憶(ayokoyamaさん、キットから作成されている)
JP1PZE Operation Diary(JP1PZEさん、アンテナ系を中心にノウハウを公開されている)
JA2IQUのトンツー人生(VNWA3のユーザーさん)
RF-World(西村芳一さん、CQ出版、RF-Worldの見本ページ、全てはここから始まった)
Right Stuff Wrong Stuff(VNWA3に加えトルクレンチをお持ちの只者ではない方とお見受けする)
WebRADIO@nyPlace(WebRADIOさん、アンテナの測定で活用されているらしい))
湧雲日記(多分JQ1OCRさん))
JRC Radio(Sekiguchiさん、アンテナの特性測定で活用されている)
クリアページ(多分JR1EQOさん、アンテナの調整で主に使われているらしい。
ひまじるし研究院(JL1FCVさん、VNWA3を使用されている)
R.yawattaのラジオと工作(雑学yawattaさん、ラジオからアンテナまで広範囲に使われている))

本キットの製作者と頒布チームに敬意を表して。
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