NanoVNA alpha1の製作記録

TT@北海道さんから人柱バージョンのNanoVNA基板キットを頒布していただきました。
PCを使わずスタンドアローンのVNAが欲しい、しかし既製品はつまらない。
トラブルがあっても自分である程度対応できるものが欲しい。
野外でアンテナの特性を測定したいなど、自分のニーズを満たすものがNanoVNAでした。

回路や部品を信号で叩いて反応を見るプチ測定装置の使用遍歴、
 1. GigaSt Ver.1
 2. FRMS/FREX
 3. APB-1
 4. VNWA 2.x
 5. GigaSt Ver.5
 6. APB-3
これらを経てNanoVNAに至ります。
もっとも難易度が高かったのはVNWA、次がAPB-1でしたが、この序列に割って入ったのがこのNanoVNAです。

工作の段取り
1. 組み立て説明書の印刷
  回路図(A3)ならびに部品配置図(A4)の拡大印刷
2. プリント基板のスキャナーによる高密度スキャン
  表面、裏面の拡大印刷。
3. 工具ならびに冶具の用意
  温調半田ごて、
  ルーペ、実体顕微鏡
  0.4mm半田、クリーム半田、ホットブロー、半田吸収線、フラックス
  アルコール、綿棒、カッター、ピンセット、ラジオペンチ
  SMDテスター、テスター、GigaSt
  USB電源、MicorUSBケーブル

頒布していただいた部品。
・チップ抵抗、チップコンデンサー多数。
 台紙に貼り付けていただきわかり易い。
 念のため取り付け時にSMDテスターで部品値を確認したが誤り無しだった。
・STM32 CPUは台紙+アルミホイルで保管されていて高安心感。
 SA612ミキサーチップが大きく見える。
 Si5351aは秋月電子さんから入手したそのままの袋詰め。
 TIのCODEC ICは見た瞬間に半田付けの気持ちが引く構造。
・基板は集積度高、特にDUTポート周辺はVNWAの工作を思い出させる狭さ。
・26MHzのクリスタル発信器モジュールの大きさは想定どおりだが
 基板のランドがモジュールサイズ!で半田付け難易度高。
・LCDモジュールのピンピッチも狭いが、基板側のランドが広く長い為、問題なし。

・100オームのチップ抵抗2個は50オームのターミネータを作成する方向け部品。
使用した工具。
・クリーム半田はCODECチップとクリスタル発信器のときに使用。
 他の半田付けは0.4mmのいつもの半田でクリア。
・温調半田ごて(FX-600)のこて先はT18-S4のみ使用。
・アルコールによる定期的な基板掃除とフラックス常時塗布はいつものとおり。
・鉄腕ピンセット二刀流。
・高倍率ルーペによるハンズフリー半田付け。

・主役は半田ごて、フラックス、糸はんだ。
・脇役のルーペ、ピンセット、テスター、初投入のシリコンパッドが優秀で助かった。
組み立て説明書どおりの部品取り付け。
・クリスタル発信器とコーデックチップのみクリーム半田を微量塗布し
 ガス式ホットブロアー(コテライザーSMD)で溶かし取り付け。
 念のためショートしていないことをテスターで確認。
 今回使用したこて先ならブロアーを使わず普通に半田付けできたと思われる。
・部品パターン(ランド)はあるが取り付け不要なレイアウトパターンも
 あるためTT@北海道さんに公開していただいた完成詳細写真と回路図を
 確認しながら慎重に取り付けていく。
部品面の取り付け完了。
・半田付け自体は特に課題無し、問題なし。
 基板のグラウンドパターンが広いのではんだ付けに苦戦すると予想していたが
 温調半田ごてのおかげで苦もなくはんだは融けてくれた。
視力と注意力、さらに根性と持久力が試される訓練キットだった。
LCD面の取り付け完了。
・注意点はLEDの極性!
 LEDの裏側に線が入ってる、マーキングしてあるほうが
 アノード(A)側という常識を覆し、何とカソード(K)だったため取り付けミス発生。 
 このLEDの緑ラインはカソードなのでグラウンド側に接続するもの。要注意!
・LCDモジュールと基板レイアウトミス?によるジャンパー線取り付けが必要。
 ピンセットカッターを久しぶりに活用。
 部品面の苦行的取り付けを経験した後のためか、問題なくサラリと完了。

・キット付属のカプトンテープと手持ちのテープを追加してLCD補強。
 両面テープで基板と密着させた。
26MHzの水晶発信器の基本発信波とスプリアスのレベル。
この発信器は矩形波出力らしい。

動作確認
1. DFUモードで電源投入し、WINDOWS 7から認識されることを確認(デバイスマネージャー)。
  ドライバー読み込み状況DfuSE画面の状況ファームウエアプログラミング画面
2. DFUモードの設定ジャンパーをはずし、再起動した後のデバイスマネージャー画面
  ターミナルエミュレータからシリアル接続後の動作確認画面
  データ取り込みテスト画面
3. 10.7MHセラミックフィルターをThruモードで特性測定して動作テストを実施。
  単三サイズのエネループ電池と比べてみるとNanoという名前の意味がよくわかる。
  USBから5V供給、電流は80mA前後。

計測事例、NanoVNAの性能確認
性能確認
・Center周波数=10MHz、Span=0のときのTx信号(拡大広範囲)。
 Si5351aはクロックモジュールだが予想以上に純度が高かった。

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