TT@北海道さんから発表されていたCentSDR rev0がrev1に更新された。
難易度が高いことを覚悟し製作に挑んだ記録です。
結果、QFPタイプのICはんだ付けに慎重さを必要とするが難易度は高くない。
しかるべき工具が揃っていれば、確実に完成できるキットだと言える。
注意点としてCPUチップのランドが簡単に熱で浮き、剥がれやすいこと。(これは想定外)
工作の段取り
1. 工具ならびに冶具の用意
温調半田ごてFX-600+こて先T18-S4
ルーペ(10倍くらい)、双眼顕微鏡(20倍)
0.4mm径の半田、半田吸収線、フラックス、居酒屋ガレージ謹製の文鎮、、爪楊枝、孫の手ルーペ
アルコール、綿棒、デザインカッター、ピンセット、ラジオペンチ、クリップ
ペン、マーカー
SMDテスター、テスター、GigaSt、VNWA
USB電源、MicorUSBケーブル、ST-LINK V.2
2. 組み立て説明書の熟読
3. 部品配置図部分の印刷
4. PC画面に回路図、部品配置図、手順をを映しながら工作。
ピンセットは事前に消磁しておいたほうが良い。
チップ部品のはんだ付けに慣れるため、チップコンデンサーを一通り取り付け、
その後は公開されている手順書に沿って進めた。
部品取り付け毎に部品配置図をマーカーで消し込み。
5. ファームウエアの書き込みと動作確認
TT@北海道さんから頒布いただいた部品。 自前で用意した部品は以下の4点。 ・ 2.2インチ 240x320ドット/TFT液晶/SPIインターフェース 中華市場(eBayから)から入手 ・ ピンソケット low profile 9ピン(秋月電子さんから) ・ L字ピンヘッダー 8ピン ・ ロータリーエンコーダー(秋月電子さんから) |
|
工作に使用した工具。 TT@北海道さんのキットにはこれらの工具が必須。 頒布された部品の員数チェックのため、SMDテスターを 用いたが、頒布された状態で問題はないため不要。 |
|
中華市場から仕入れた30x35という表記のルーペ。 しかし30倍の倍率は無く、せいぜい10倍程度。 |
|
30x35ルーペからCPU付近のパッドを見るとこの程度に拡大される。 レンズ下面から対象物まで30mm程度の隙間があるため、 はんだゴテやピンセットを取り回すことは十分にできる。 |
|
両手を使って作業をするためにルーペをマグネットベースで固定。 はんだ付けの対象物の高さに合わせてピント合わせが容易。 |
|
爪楊枝の先端をカッターナイフで削り、チップ部品の押さえ冶具を用意。 ピンセットでチップを運び、爪楊枝で基板に押さえつけ、フラックスを塗る。 糸はんだとはんだゴテを両手に持ち、一気にはんだ付けを敢行。 このツールの投入により、チップ部品のはんだ付けの手間が激減。 このキットの注意点はCPUのパッド。(QFP) 半田ごてで熱し過ぎると、パッドの接着が溶け、基板上を移動し、 はんだ吸い取り線でこするとずれてしまう。 結線されていないパッドは要注意。(パッドの修復と曲がったCPUピン2本の修復に15分!も…) |
|
このキットの最難関がCodecチップ。 1ピンだけQFNパッケージの足に薄くはんだを盛り、 基板のパッドに乗せて半田ごてをパッドに当てると仮固定される。 QFNパッケージの全ピンに半田を薄く盛ると基板に置いたときに 水平がキープできないためはんだ付け不良が発生する可能性あり(私の場合)。 4方のピンとパッド位置を合わせるため、細かい位置あわせを行う。 基板を斜め上から見ること、はんだ付けすること・・・・。 この位置あわせに10分くらいかかった。 |
|
QFNは位置合わせがすんでしまえば、あとはフラックスをパッドに塗りながら はんだ小手先についた「はんだ」だけでパッドを熱するとチップの下に 「はんだ」がす~っと流れ込んでいく。 はんだ小手先へのはんだ供給は近くのSMDチップを 取り付けたパッドからすくい取る。 |
|
ST-Link V.2からTCK/GND/TMSを引き出し、基板に接続。 | |
Windows 7上でSTM32 ST-LINK Utility Ver.4.0を起動。 TargetメニューからConnectを選択するとCentSDR基板上のCPUが認識される。 |
|
TargetメニューからProgram&Verifyを選択。 開発元から提供されたch.binを書き込む。 |
|
CentSDRを再起動、PC上のDevice Managerで確認すると Serialインターフェースが認識されている。 |
|
26MHzTCXOのクロック動作を20dBのアッテネーターを入れたVNWAで確認。 TCXOからおおよそ0dBm弱の信号が出ている? |
|
26MHzのTCXOはスプリアス多数。 Si5351の出力信号にどの程度の影響が出ているか不明だが、 SDR受信にも少なからず影響は出ているだろうと予測。 |
|
Windows PCからシリアルポートでChibi-OSとコミュニケーション。 提供されている設定のパラメーターはソースコードを参照しないと不明。 |
|
基板にすべての部品を取り付けたところ。 TT@北海道さんから今まで提供していただいたキットの中で 一番はんだ付けしやすかった。 成功要因は半田ごての温度を少し高めに設定したこと。 一部のICのパッドが短く、はんだを流し込むためにルーペ必須。 |
|
トラブルなく、正常に動作しました。 AGCが動いている状態では若干ノイジーなのでマニュアルゲイン設定が 私の環境ではよさそうです。 操作性は慣れの問題ですが、使いやすいユーザーインターフェースに 仕上がっています。 USB電源はできるだけノイズの少ないクリーンなものを使うこと。 フロントエンドのアンプ(BGA2817)は50オームインピーダンスのため、 アンテナはしかるべきマッチングを取れるものが望ましい。 このSDRにBGA2817を投入するのはもったいない?! |