自分年金の必要性
「国の年金財政は破たん寸前」と言われるようになってから、ずいぶん年月が過ぎました。自民党から民主党への政権交代のキッカケの一つでもあった「年金問題」は、実は20年以上前のバブル経済崩壊のころから「国家的大問題」のひとつだったのですが、民主党から自民党(公明党)が政権を奪還してからも、年金問題の議論はあまり見られず、どうも問題解決の行方が一向に見えてこないのが現状のようです。
いわゆる抜本改革がなされないままにズルズルと時が過ぎ、ふと気づいてみればあと数年先には年金暮らしだと焦り始めた中高年の方も少なくないのではないでしょうか。
生きている限りはいずれ誰にも訪れる「老後」の生活基盤として、年金の問題は避けて通れぬライフプランの大きな要素です。 国の政策転換や財政健全化に期待するのはとりあえず置いておいて、自分の年金がどうなっているのか、何が問題なのか、自ら行えることは何か、少なくとも年金問題を「自分年金」問題として捉える必要があるでしょう。
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まずは公的年金を知ることから
公的年金は当てにならないから、民間の個人年金や投資信託で自分年金を構築する方が有利!
という論調が一時流行したことがありました。 ライフプラン相談などでもそうした質問が寄せられたこともあり、検討してみたことがあります。 結論から言うと、公的年金にまさる年金や生活保障の体系を民間の商品だけで構築することはほとんど不可能だと思われます。 (少なくとも現時点では・・・)
一般的な老齢年金のみならず、障害者年金、遺族年金、そして労働者災害補償制度や雇用保険制度なども含めて考えれば、生活に潜むあらゆるリスクへの対応を民間商品だけで実現するのは相当に無理があります。公的制度と自助努力は補完関係にあると考えるべきでしょう。
ご自身のライフプランニングを考えるにあたって国の制度(社会保障、社会保険、公的年金)の実態をまずは把握して、補完するべき部分については自分でリスク対策を講じる、というのが正しい発想です。
自分年金は国の年金制度や勤務先の退職金、退職年金制度を理解したうえで、それぞれの実情に合わせて組み立てるべきものと考えます。
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自分年金の作り方
それでは自分年金を作るにはどのような手段があるのでしょう。
そもそも年金とは毎年一定額づつ受け取るという「受け取り方」に過ぎません。例えば銀行などの定期預金口座に預けているお金を、毎年少しづつ引き出してゆくというやり方も実質的には年金です。
少しづつ引き出す、その元手の資金を年金原資とよびます。つまり年金作りとは年金原資を確保することなのです。「年金」という名前が付いた金融商品を購入、活用することは年金対策の一部に過ぎません。
現在手持ちの現金を将来の年金原資として専用口座に移しておくのでも良いですし、毎月少しづつ積み立てて年金原資を作るのもOKです。 そして、この資金に利息が付くようにするのか、投資などで収益を生み出すようにするのか、またはあくまで安全重視で守ることを優先するのか、ここが次の選択肢、「運用をどうするのか」という問題です。
お金をなんらかの手段で運用するわけですので、ここで「リスク」についての認識をする必要が出てきます。 リスクは株式投資や外貨運用に限ったものではなく、すべての運用手段に何らかのリスクが存在しますから、あらためてリスクについての基本を確認しましょう。
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「ポートフォリオ」という考え方
リスクを知り、その対応策を講じるにあたって必ず出てくるのが「ポートフォリオ」という考え方です。
ポートフォリオの語源は「札入れ」「紙ばさみ」などですが、転じて、運用の世界では一般的に『投資対象の金融商品の組み合わせ』 となります。 また、より広義に捉えれば 『複数以上ある管理運営対象の固まりの全体』 となります。 つまり、ポートフォリオを考えることは資産運用のために投資する商品の組み合わせだけではなく、自分の財産の全体像とその内容を把握することでもあります。
例えば老後資金のポートフォリオという場合には、老後に必要となる資産として、現金、保険、金融資産、不動産、などであり、それらの資産価値と役割、重要性などを意識してよりよい組み合わせを検する必要があるでしょう。というような意味になります。運用と聞けば株式を買うこという短絡思考ではなく、選択肢をキチンと把握して戦略的に考えましょう。
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