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変額保険の正しい理解                      
【「変額」がキーワードTOP3に!】
当ウエブサイト(ライフプラン工房 & 保険の真相 )の来訪者はどんなキーワード検索から来て下さっているのかについて、最近ある明確な傾向に気付きました。
今年に入って特に目立つのがキーワードのトップ3が「変額保険」「変額年金」「変額個人年金」であることです。
このことは、私のサイト内の記事に変額関連情報が多いこともあるでしょうが、皆さんの「変額商品」への関心が強くなってきている証とも言えそうです。そこで、FPとしての変額商品の特徴とその活用上の留意点などをあらためてまとめておきたいと思います。
(なお、この記述は特定の保険商品の案内ではありませんので、具体的に商品選択を検討する際には、保険会社のパンフレット・資料などを必ずご参照下さい。)


■ 変額年金と変額保険
■ 金融商品のリスクの整理
■ 変額保険の特徴
■ 変額と定額の具体的な相違点
■ 変額保険の資金運用としての効果




【変額年金と変額保険】

まず最初に混乱を避けるため、変額保険と変額年金保険を分けておきましょう。
どちらも保険に違いはありませんが、保障するものが大きく異なります。
変額年金の保障するもの、つまりこの商品の目的は「年金の支払い」です。
変額保険が保障するもの、目的は基本的に死亡・高度障害時の保障です。

変額年金では被保険者が死亡した場合に、保険料相当額を最低保証としてその時点の運用成果としての積立金が遺族に支払われます。支払った保険料額の数十倍などと大きく上回る保険金が受け取れることは基本的にはありません。
変額保険のほうは例えば保険料をまだ10万円しか払っていない段階でも死亡すれば1000万円が受け取れるといったことがあり得ます。

変額保険の保険料は月払、年払い、一時払いなどの選択肢がありますから、毎月少額をこつこつ積立てる資金としては変額保険の利用が適しているとも言えます。
一方、年金の方は一部の商品を除いて保険料は一時払いであり、最低200万円からなどの条件であるものがほとんどです。、過去の保険の満期金などの預け先として、または定期預金に入れている余裕資金などの運用手段としては変額年金を活用するのが適していると思われます。(200万円以上で加入して、その後10万円以上なら随時追加が可能な商品もあります)

変額年金は保険と言うより貯蓄性優先の商品であり、変額保険は貯蓄性も高いもののどちらかと言えば保障性優先の商品であるということで分けておきましょう。
やはり目的の明確化からスタートすることが重要ですね。       このページのトップへ▲





【金融商品のリスクの整理】

金融商品をその性格で分類する場合に「確定商品」「変動商品」ということがあります。
契約期間中の利息、運用利率などが確定していて投資したお金が幾らになって戻ってくるかが分かっているものが確定商品です。その裏返しで「利息などが変動するので、幾らになるから分かっていない」のが変動商品です。

それでは、この両者のリスクはどうなっているでしょう。
一見して変動商品にはリスクがあり、確定商品にはリスクがないと思いがちですが、実際はそうではなく、どちらにもリスクが存在します。変動商品のリスクの説明は簡単ですね。
元本保証されていない変動商品の持ち主にとっての具体的なリスクはお金が減ってしまうリスクです。

では元本保証されている確定商品のリスクとはなんでしょう。
確定商品は利息などが確定しているために、決められた収益が確実に得られる半面、それ以上のものを手にすることができません。景気変動などでインフレ状態が続いた場合に、確定商品ではその相対価値が下がってしまう可能性があります。所謂「インフレによる目減り」です。

またもしも預貯金金利や他の確定商品の利率が上昇した場合には、確定商品で運用している資金については、金利がより高い商品で運用すれば得られたはずの収益が得られないのですから、結果的に損をすることになります。
状況の変化に応じて資金を移動することが容易にできるならこの問題はありませんが、期間途中の解約などができない契約条件の金融商品は少なくありませんから、高い金利で多くの人が運用しているのを指をくわえてみているしかないということが起こりえるのです。

一方の変動商品では金利上昇やインフレが続いた場合にも、それ相応の収益をもたらすことで、インフレに負けず或いはそれを上回る収益が確保される可能性があるのです。
リスクを取ればそれに応じた成果を期待できるといういうことです。

くどくどと書いてきましたが、「元本保証の確定商品にはリスクがないので変動商品より安心である」というだけの単一指向的な見方を改めて、全ての金融商品には異なる性格のリスクがあるのだと認識することを変額商品理解の第一歩として欲しいと思うのです。
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【変額保険の特徴】


さて、それでは変額保険とは何かについて、定額保険と比較対照することで整理してみましょう。
保険会社は契約者から集まってくる保険料を金融市場で運用していますが、生命保険は国民の生活を守るという公共的意味合いが強い商品であるため、その運用に関しては国によって基準が設けられています。例えば株式投資とか不動産投資などは30%を超えてはならないなどのシバリがあり、定額の生命保険についてはこの基準に沿って運用されています。

一方、変額保険ではこうしたシバリがなく、株式運用、債券運用などかなり自由度が高くなっています。まずこの運用手段の違いという点が変額保険の大きな特徴です。

保険会社は資金を運用するに当たってのリスクを負っています。定額保険であっても保険料をただ銀行に預けているのでは運用になりませんから一定のシバリの範囲内で株式投資や債券投資を行います。そして運用収益が見込みよりも少ない(或いは損失を蒙る)場合でも契約者に約束している保障と積立金は変わりませんので、ここで生じる運用によるリスクは保険会社が負担しているという訳です。

変額保険の場合には、死亡保障は最低保証しているものの、解約返戻金には保証がありません。つまり運用リスクの一部を契約者が負担することになっており、このことが変額保険の最大の特徴といえるのです。
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【変額と定額の具体的な相違点】

分かりやすく具体例で確認しましょう。
(当然ながら年齢、性別、保険会社によって保険料は異なります。ここはイメージを得るための参考にすぎませんのでご留意下さい。)


30歳で加入する定額終身保険1000万円 で60歳払い保険料が2万円とします。
この保険は終身保険ですから、いつ死亡しても保険金は1000万円受け取れます。
一方、この保険には解約返戻金がありますが、例えば65歳時点でこの保険を解約したとすると、約810万円が戻ってきます。払い込んだ保険料の総額は720万円ですから、12%ほど殖えて戻ります。以上のことが約束されていて、少なくともこの金額を下回ることはないのが定額の終身保険です。(解約返戻金は経過年数によって異なります)


変額終身保険1000万円 の60歳払い保険料を1万7000円とします。
いつ死亡しても最低1000万円が保障されますが、運用が一定水準を上回った場合は保険金が上乗せされ(変動保険金)もっと高額になります。仮に運用の収益率が年換算7%とした場合の65歳時点の死亡保障額は1900万円となります。
これは2%弱のインフレが続いた場合の1000万円の将来価値に相当します。

一方こちらも解約返戻金がありますが、その金額が幾らになるのかは全く約束されていないのです。保険設計書や保険証券上の表記も「仮に5%運用であれば解約返戻金は幾らになるはず」などの表現となっています。

このことをもう少し日常的な言葉で表して比較すれば・・・・

定額終身保険
・保険金が増えも減りもせず一生涯にわたって確定している
・解約返戻金の増え方が確定しているのでいつ幾らになるかが分かっている

変額終身保険
・保険金が減ることは無いが増える場合がある
・解約返戻金の増え方は確定しておらずいつ、幾ら溜まるかが分からない


次に、それぞれを肯定する立場の言い方で比較すればどうなるでしょうか・・・

【定額終身保険を肯定する見方】
保険金も解約返戻金も契約時に判明しており、約束されているため、資産計画に組み入れやすい。分かりやすい。計算できる。安心である。

この場合には変額終身保険については否定的に見えるでしょう。

変額の保険金は最低保証されているが解約返戻金が幾らになるか分からず不安である。
解約返戻金が保険料総額を上回るとは限らないので損をするかも。


【変額終身保険を肯定】
保険金は最低保証されているし、保険金が増額する場合もあるためインフレに対して目減りを防げる可能性がある。
解約返戻金も運用次第では預貯金などよりも大きく増える可能性もあり、老後資金準備手段としても有効性が高い。
定額より保険料が安い

この場合に定額保険は否定的に見えます。

保障額、解約返戻金が確定しているのはいいが、将来のインフレには着いて行けないので価値の目減りを防げない。
現在の比較的低い利率で長期契約をスタートするのであり、金利状況が上向いてきた時には実質的に損をする。
保険料が変額よりも高い。


では、どちらが有利なのか・・・・。
どちらか一方が有利かどうかではなく、この保険の役割の捉え方、運用についての考え方、資金用途などによって違ってくるということになるでしょう。
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変額保険の資金運用としての効果】

老後の資金準備という場合に、長生きするに当たり必要となる生活費は当然のものとして、高齢化によって起こりやすくなる病気などの療養、介護状態についての費用準備が若年層以上に必要となるでしょう。
終身保険では死亡時の保障に加えて一定条件での高度障、要介護状態や寝たきり状態の保障にもなりますし、解約返戻金という名目の積立金は用途を問わず老後資金として活用可能です。その意味で解約返戻金が幾らになるのかは終身保険の重要な要素となります。

保険という形の資金準備と積立金という資金準備の両建てということができます。

変額終身保険で仮に7%運用の場合の65歳時の解約返戻金は保険料総額の2.8倍です。
一方定額終身保険では1.13倍ですのでこれは比較になりません。
絶対確実な13%アップか、不確定ながら180%アップの可能性かということですね。
これをどう判断するかという場合に、どうしても避けて通れないのがリスク・リターンの関係とリスク分散についての知識ということになります。

株式投資の成果はどの程度当てにできるか、どれほどのリスクがあり、どんなリスク回避手段があるか、株式投資はどんな資金準備に対して有効か、株式投資と債券投資の違いは何か、ポートフォリオをどのように考えるかなどなど・・・・投資の基本的な理解が不可欠でしょう。

これを知らないままではどちらを選択する場合にも妥当な選択とはいえません。リスクとその回避手段についての認識と判断力を持ってはじめて「確定」を選ぶか「変動」を選ぶかが決定可能です。また、「どちらかが良い」というのではなく、「目的に応じてどちらを選ぶか」こそが重要なのであることと是非理解して頂きたいと考えます。

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