アメリカ・アメリカ・・・     

昭和40年ころ以降にお生まれの人にはピンとこない話かもしれませんが、私が子供時代に観ていたテレビ番組で、今でも強く記憶に残っているものの多くはアメリカからの輸入TV番組です。
ララミー牧場、ライフルマン、ローンレンジャー、ローハイド、透明人間、スーパーマン、パパは何でも知っている、コンバット、0011ナポレオン・ソロ、0012捕虜収容所(0013だったかも・・)、バットマン、(名犬)リンチンチン、名犬ラッシー、奥様は魔女、かわいい魔女ジニー、(エドという名前のしゃべる馬のドラマのタイトルは何だったかな・・)、 アニメを除いてもこれだけのタイトルを何も見ずに思い出せます。

特にテレビオタクでも無い私でもこれだけ覚えているのですから、きっと多くの日本人の頭の中に記憶されていることでしょう。 生れたばかりの鳥の雛などが、最初に触れたものを親だと思い込むという摺りこみ現象があるそうですが、子供の頃の私もアメリカのTV映画からそのような影響を受けていたように思います。

「所謂インディアンは野蛮で悪い奴ら」(今はインディアンとはいわず、ネイティブ・アメリカンなどと呼ぶようです)であったり、「第2次大戦中のドイツ兵は平気で不意打ちや待ち伏せをする卑怯な奴ら」のように思っていたし、アメリカ人の男性はみんなスーパーマンのような男であり、アメリカの人たちはみんな高級住宅展示場のような家に住んでいる、といったような恐ろしくも画一的なイメージはかなりの年齢になるまでの長期間、頭のどこかに残っていたような気がするのです。

こうした印象が実は全くの幻想、誤解、間違った思い込みであると知ったのはかなり大人になってからのことです。 ネイティブ・アメリカンは野蛮人ではなく、大変に深い洞察力や智恵をもつ長い伝統を守ってきた素晴らしい先住民族なのだということや、戦後のドイツ人は合理的で質実剛健な機知に富んだ素晴らしい国民だったのです。

そして何となく憧れたり劣等感を持ち続けてきた対象であって、長い間の目標であったアメリカは、本当は多くの問題を抱えた矛盾だらけの国であることに気づいたのです。
多くの人がベトナムの後遺症に苦しみ、毎日殺人で多くの人が死亡し、貧富格差が広がる一方であり、人種差別が横行し、普通の市民が普通に銃器を持っているという、よくよく考えてみてれば、私の感覚ではかなり恐ろしい国であったのです。

私がこれまでに観てきた映画を振り返れば、気づいてみれば殆どがハリウッド映画です。たまにフランス映画を観るとなにか違和感を感じたりするのはとても恐ろしいことです。
なんでも契約のアメリカ、なんでもビジネスにしてしまうアメリカ、なんでも訴訟するアメリカ、なんでも演出してしまうアメリカ、自由と差別の国アメリカ、皆が銃をもっているアメリカ、友達だけど短気なガキ大将のアメリカ、正義の味方のアメリカ。

アメリカは200以上もある多くの国々の一つでしかないのだということを、この歳になってやっと気づくことのできたここ数ヶ月でした。 そして、こんなことになってしまったからには、今はアメリカ人のバランス感覚に期待するしかないと感じています。
個人的には「ABB」に期待していますが、どうなることやら。


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