本格ミステリファン宣言           

本を読むスピードが遅いことが私の悩みの一つです。 時々頭の中で声を出して読んでいる(これが遅読の大きな要因らしい)ことに気付きますが、この癖はなかなか直りません。
速読術の本を買ったことが二度ありますが、読むのに時間が掛かりすぎ、途中で投げ出してしまいました。 早く読めるくらいならこの本は必要なかったのです。

しかしミステリーなどでストーリー展開にのめり込んで集中しているときなどは、結構早く読める事もあり、一晩でなんと500頁の文庫1冊を読了したりします。
そこで本格ミステリーの話しです。 本格とか新本格と聞いて何人かの作家の名前が思い浮かぶ人はきっと結構なミステリーファンでしょう。 

私のミステリー読書暦は小学6年のホームズから始まりましたが、なにしろ遅読なので数は大したことありません。 面白かったので3冊以上は読んだという作家だけ挙げてみると・・・コナン・ドイル、E・クイーン、A・クリスティ、F・ブラウン、E・S・ガードナー、ルース・レンデル、ピーター・ラブゼイ、江戸川乱歩、松本清張、天藤真、都築道夫、宮部みゆき、というあたりで、私は暫くミステリーから遠ざかっていた時期があります。 

自己啓発、セールスノウハウ、金融本、経済本、そして3年くらい社会保険労務士の受験関連本だけと言う時代もありました。好きなだけ小説を読みたいというのも資格取得を諦めた理由のひとつだったかもしれません。
「火車」の文庫本で久し振りに宮部ワールドに触れたとき、他にもミステリー小説は沢山あるはずと急に思い立ち、所謂本格推理小説が無性に読みたくなったのでした。

ミステリーから長い間遠ざかっていたために情報がなく、何から読めばいいか分からず、とりあえず妙なペンネームに惹かれて読んだのが有栖川有栖の「月光ゲーム」でした。 さっそくその懐かしいような新鮮なような世界にはまり込み、続けて「孤島パズル」「双頭の悪魔」の3部作を読んだのです。 双頭の悪魔などは文庫で700頁近い大長編で、何日で読んだかは記憶がありませんが、ちゃんと楽しく(もちろん犯人が分かるまで)読破できました。

この前後に、日本のミステリーの世界では「新本格ムーブメント」なる動きがここ10数年間にあったことを知り、島田荘司という中堅(年齢的に)作家が新人推理作家を世に出す活動をしていたことを知りました。犯罪の背景にある様々な社会問題をも中心テーマとして扱う所謂社会派推理小説が主流の時代が長く続き、あくまでも謎解きを中心にしたエンターテインメントとしての推理小説、探偵小説はとかく低く見られ勝ちだったようです。

新人推理作家が出てくると文章力が未熟だとかテーマ性が希薄だとかやたらと批判を浴びてしまい、なかなか純粋な推理小説作家が育たないことに危機感をもったベテラン作家の抵抗運動だったようです。(詳細は島田荘司著、本格ミステリー宣言他でどうぞ) 私の知らないうちにミステリーの世界はこんなことになっていたんだと、何か長い間、家を空けて急に帰宅した時の後ろめたさといった感慨をもって、よし日本の本格ミステリーを読もうと決意したのでした。
(続く)



本格ミステリファン宣言 (2)

さて、有栖川有栖川の次からは色々と試しに読んでみることになりました。 ちょっと古い奴も読んで見ようかと松本清張の「点と線」を読んでみてびっくりしました。 半ばあたりから「まさかトリックは○○○ではないだろうな」と疑い始めて読み進み、最終的にトリックの決め手がまさかと思った○○○だったことに驚いたのです。  現在の日本では誰だって思いつくと思われる○○○なのですが、あの頃(昭和32年発表)には多くの一般市民が思いつかなかったのだろうとか気付いて、なるほどと思ったのです。
あまり古い時代の推理小説は、時代背景、社会情勢そのものがトリックの決め手になっている場合もあるし、やはり最近の新しい作家、特に新本格と言われる人たちを沢山読んでみる事に決めました。

有栖川有栖、島田荘司、綾辻行人、折原一、岡嶋二人、宗田理、東野圭吾、北村薫、我孫子武丸、貫井徳郎、歌野晶午、法月綸太朗、と読んできて、今は大いなる期待をもって買ってきた森博嗣著「すべてがFになる」を読み始めたところです。(この人は今すごく売れているようですね。)
はっきり言って、読まなくても良かったと思う本も何冊かはありましたが、同じ作家でも当然に出来不出来は有るので、これは読書の宿命で仕方の無い事です。

ところでミステリーにも沢山のジャンル(というのかどうか、雰囲気の違いです)がありますね。探偵がほとんど捜査などをせず論理の組み立てだけで犯人を割り出してしまうアームチェアディテクティブ、警察官や刑事がコツコツと捜査を積み上げてゆく刑事もの、私立探偵や副業的探偵が大活躍する探偵もの、学園もの、青春ミステリー、ハラハラドキドキ心理描写で展開するサスペンス、動きの激しいハードボイルドタッチ、ユーモアミステリ、表現自体がトリックになっている倒叙もの、法廷もの、そしておなじみ密室もの等々・・・・、 また、登場人物の人柄が好きになるケースも多いですね。

こんな雰囲気のものを読みたいなという、その時の気分で選ぶ事にしていますが、もちろん読んでみない事にはそれはわかりませんが、多くに触れるうちになんとなく分かるようになるものですね。 ミステリーファンが造ってくれているウエブサイトの情報も参考に、これからも沢山読んでみようと意気込んでいる今日この頃です。興味の無い人にはまるっきり役立たずのお話しでした。

ミステリファンのサイト情報を参考に読み出した森博嗣さんの小説は、その個性ある世界に引き込まれ、今はS&M(犀川&萌絵)シリーズの6冊とシリーズ外の1冊の合計7冊目となりました。面白いです。 どうやら全部読むことになりそうです。



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