「保険屋」さんについて思うこと(2)             

保険は、オバチャン・オネエチャン・オニイチャン・オジチャン・・誰から買うか?

若かりし会社員時代に所謂保険のオバチャンが怖かったと言う話しを前講で書きました。
最近は自分がもはやオジチャンになってしまった為か、まわりには保険のオバチャンではなくオネエチャンが結構多いような気がします。

オバチャンという表現はおそらく数十年前に日本生命が大々的にコマーシャルをしていた影響が定着したものと推察します。
♪ニッセイのオバチャン今日もまた笑顔を運んでいるだろか、ふるさとへ〜♪
これを唄えるひとは多分40歳以上でしょう。
オバチャン団体からの抗議があったのかどうか不明ですが、最近は生保レディなどの表現が主流のようです。(訳して貴婦人・・・・・・・)

義理と人情に訴えてプレゼント攻勢で契約をゲットするGNP営業と揶揄される保険営業の姿は、「保険のオバチャン」という言葉のイメージとの関わりが強そうです。(イメージが沸くと言っているだけで、実際にやっていると言ってはいません)

一方、見込み客である中小法人の顧問の税理士先生と仲良くなって、社長に対する推薦をしてもらい、成約すると多額の謝礼を支払うなどという荒業営業はどちらかと言うと保険のオニイチャンの世界。(多額の謝礼は完全に保険業法上の違法行為なのですが・・・)
同じく中小企業の社長さんの大口契約を若さと色気と明るさを武器にゲットするのはオネエチャンでしょうかね。
保険のオジチャンという言い方は世間ではあまり聞きませんが、私のイメージでは小型の乗用車に乗って毎日地元を走り回っている「損保代理店社長」は保険のオジチャンという感じです。

オバチャン・オネエチャン・オジチャン・オニイチャン全てひっくるめて、保険の営業職員または代理店の生保募集人は日本に何人いるかご存知でしょうか。
私が生保の世界に入ってきた平成元年あたりには生保会社の外務員が約40万人、損保代理店の募集人がこれまた40万人と言われていたものです。

生保には、外務員登録をしてはみたけれどほとんど販売実績を上げられず、実際には働いていないのに拠点の事情からそのままにしている人(幽霊外務員)が含まれていたり、損保のほうでは保険の知識は殆ど無いし業務も保険会社任せなのだが一応登録している自動車修理工のひとや自動車ディーラーなども含まれる可能性もありますが、それにしても誠に多いですね。

最近は損保代理店の多くが子会社の生保を扱う資格を持っているはずなので、これらを生保専業と合算すると生命保険の販売従事者は60〜70万人程度存在するのでしょう。
日本の就労者人口が6200万人というデータがありますから、働くひとの100人に1人は保険屋さんということになります。

さて、沢山いる保険屋さんですが、では優良な保険屋さんはどのくらいいるのでしょう。
新人の保険屋さんがその仕事を2年以上続けるのは2〜30%程度(7割以上は2年で辞めてしまう!)という実態を知れば、優良な保険屋さんはあまりいないとしか思えませんね。(保険会社によってこの継続率がかなり異なっているのが実態です)
契約者のご家族のリスク対策を長期にわたってフォローするのが本来保険屋さんの使命のはずですから、すぐに辞めてしまう人は優良ではありませんね。

一方、数年で新人が辞めてしまっても、どんどん新人が入ってきて、地縁血縁多いに駆使して新契約を挙げてくれれば、営業上は保険会社が困るわけではない、という事情も背後にありそうです。

保険屋さんのこういう状況が改善されないのであれば、すぐにも辞めてしまうかも知れない人に大事な保険や家計の面倒を見てもらう気にはならず、インターネットでの契約とか通信販売のほうに向かう消費者が増える傾向は今後も変わらないでしょう。
オバチャンかオジチャンかを選ぶよりも、この仕事をライフワークとして位置づけ、しっかりと地に足をつけた業務展開をしようとする基本姿勢の保険屋さんこそ選ばれるべきではないでしょうか。



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