わずか120円の保険料・・の実態は?             

1日当たり保険料なんと120円!! なんていう広告が時々目に付きます。
あれは一体何でしょうか。1日120円払えば1日分保障してくれるのかといえばそんなことはありません。保険料は最低でも月単位で払わなければならず、120円というのは1日に換算すればという話です。なんで1日に換算しなければならんのでしょうか。

大した金額ではありませんよ、お気軽に入れる金額ですよ、1日タバコ代にも満たない安さですよ、ということや、医療保険であれば1日120円で保障は1万円という費用対効果を強調したいのでしょうね。私はどうもこういうのには馴染めません。
(私の取り扱い生保でもこの手の宣伝があるのですが・・・)

保険契約の交渉で保険料を幾ら払えるかという詰めの段階になって、お客さんが例えば、今より月に4千円高くなるのはなああ〜なんて迷っている時、優秀なセールスマンは数年前だったらサラリとこう言ったものです。
『4千円なんて、月に1回、帰りの電車を乗り過ごしてタクシーに乗ったら消えるお金じゃないですか。』
しかしまだまだデフレの昨今では財布の紐は堅く、『乗り過ごして戻る電車がない時は駅のベンチで寝ますよお』なんて逆襲されちゃいますので、このトークは効果が薄れました。
そこで最近はこう言うのでしょうか。『4千円と言いますが、1日に直せばたったの130円じゃあないですか。』と。 ううむ、なんともせこい感じですね。 何と言おうと自由ですが。

1日たったの120円の保険料は実際には毎月1回払うのであって、その額は3600円です。
年間では4万3200円ですね。10年では43万2千円、20年では86万4千円ですが、さてこの保険が、30歳で加入した終身の医療保険であり、保険料も終身払いだとすると一体トータルで幾らの支払いとなるのでしょう。

計算は単なる掛け算なので簡単です。60歳までで134万円、70歳までで179万円です。
終身払いですから払い終わることはなく、累計額はドンドン増え続けます。
負担額の累計は平均寿命前後の80歳までで224万円となります。

この保険が入院給付日額5千円の医療保険だとすれば、224万円は448日分の入院給付金と同等です。約15ヶ月入院して、この保険は収支決算でトントンです。
15ヶ月といっても、通常の医療保険では一回の入院の保障限度は120日、最近では60日など短期のものもあるのですから、4ヶ月くらいの入院を4〜5回繰り返して累計で15ヶ月入院をしたとしての話しです。(仮に一回の入院で15ヶ月継続入院しても受取額は60万円で打ち止めです。)

またこれが保障期間10年の医療保険(こちらは入院給付1万円程度)であって80歳まで10年毎に更新して行くタイプである場合ではどうでしょう。
はじめの10年間3600円の保険料は次の10年は4700円、50歳からは7200円、60歳からは1万3千円、70歳から80歳は2万4千円になります。

計算できましたか? 80歳までの累計額は実に630万円というとになります。
入院給付金にすれば630日分でトントンですね。 630日の入院!!

保険は単なる貯蓄とは性格が異なりますので必ずしも元を取るべきものではありません。
しかし、1日当たり120円だからと言って安いと飛び付くことは是非とも避けて頂きたいと思うのです。もしもセールスの人に1日たったの○○○円と言われたら、一生では幾らなの?と聞きましょう。

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