筒井康隆    

たしか中学2年のころ、同級生の2人から別々にお勧めがあってベトナム観光公社を読んだのが筒井大先生との出会いであったと思います。(最近はトレビアの泉なんかにも出ているようですが、あれはタモリつながりでしょう)

それ以来、大学時代まで多分50冊位いは読んだはずですが、社会人になってからは少し勢いが弱まってしまいました。 人間の心理とか非条理とか哲学とか宇宙とかSEXとか社会とかいったものに急に興味を持つようになる時期にこの人の本と出会ったので、その後の考え方や表現などかなり影響を受けたように思うのです。

筒井さんの影響でフロイトも読んだし、相対性理論の存在も一応知ったし、目に見えないものとか、まだ証明されていない事象や未確認の人間の能力などの世界に触れるようになった。SFも結構読んだ。 おかげで、手品やトリックにコロリと騙されてヘンテコリンないんちき宗教に引っかかることもなく青春時代を過ごすことができたように思います。

30数年前の あるとき、本屋に置いてある筒井本をすべて読んでしまい、書籍リストにある本を求めて神田小川町あたりの古本屋を隈なく探したのですが見つからず、とうとう筒井康隆様へ手紙で質問してしまいました。
切手を貼った返信用の封筒を同封したら、さすがにご返事をくださいました。
一枚の便箋にあの達筆で数行、、「○○は絶版です。近々に角川文庫より再発刊されます。」なんて書いてくれていました。この返信は私の家宝です。 これを書いていたら、やたらと筒井本が読みたくなってしまい、文庫になったばかりの「邪眼鳥」を買ってきました。 筒井ファンのかた、メールをください。

「筒井さんのおかげ」を他にも思い出しました。
比較的早いうちのあまり売れていない頃からタモリを知ったので、タモリの初期の芸を味わえた。 田辺聖子さんを少し読んだ。 マスコミを妄信することの無い健全な大人になれた。
そして、山下洋輔さんの素晴らしいジャズの世界を知ることが出来た。

筒井様、本当に有難うございます。  もう断筆なんてしないで下さい。




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