対立の構図        

マスコミを賑わす話題には「○○対△△」というのが多いですね。
フジテレビ対ライブドア、朝日新聞対NHK、キリスト教対イスラム教、週間○○対◇◇学会、右翼対左翼、若者対年寄り、保守対革新、改革派対抵抗勢力、ヒロシ対ギター侍(?)・・・およそ世の中の出来事や森羅万象はすべて対立の構図にして見てみると分かりやすいかのように思われます。

テレビや週刊誌等のマスコミが対立構造による表現に積極的であることから、こういう見せ方が売りやすいのであろうと思われます。実際にこの方が売れるのかもしれません。
しかし、我々大衆はこのような対立構図的な捉え方をあまり鵜呑みにしない方が良いのではないでしょうか。

江戸時代の士農工商○○△△という身分制度などでよく言われるように、民衆が団結してお上に刃向かうことのないように、お互いを対立させておくというのは古今東西の権力者の常套手段であることは明白です。
国であれ企業であれ世代であれ、対立する二つのグループの争いだと思っていたら、実は本当の敵はその影に隠れていると言う可能性が多いと心得るべきではないでしょうか。

たとえばフジTV側は守旧派でありホリエモンが新興勢力なのであるとします。日本の経済界の守旧派は、国の規制に守られ株の持ち合いとか談合とかで市場競争による脅威を排除しようとする、時代遅れな旧体制の象徴だとしましょう。
一方のホリエモンは自由、平等の精神に則って、市場原理主義の御旗もとにグローバルスタンダードの採用を古い体質の日本経済界に迫る改革勢力側の象徴的存在であるということになりそうですが、果たして本当にそうなのででしょうか。

株式取得の過程をバックアップした外資が日本のこの分野への進出の突破口を模索していて、結果としてはホリエモンはその水先案内人に過ぎないのではという疑念も否定できないような気がします。
規制を外して既得権益の砦を破壊しようとする勢力が、狙っているのは規制を外したその分野で自らが新しい権益者におさまることだけなのかもしれません。

なんらかの対立の構図に出会ったときは、一旦冷静になって「漁夫の利 」狙いの影の存在を一応意識してみる習慣が必要なのでは、と考えた次第です。




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