NHKに言いたい!              
「NHKらしい」感じって分かりますか? この独特の雰囲気は若い人ほど好まないのではないかと思いますが、中高年の私でもガマンできないことがあります。
私はNHKのTVニュースはほとんど毎日観ていますが、この「らしさ」が鼻に付くというか耳に付いてどうにもいらだつ事がしばしばあるのです。

もう30年も昔このこと、TBSラジオのパック・イン・ミュージック第2部で林義雄アナ(故人)がやっていたと思うのですが、「ミドリ豚本舗提供のニュースコーナー」という定番パロディ企画がありました。覚えている方、いらっしゃいますか?
視聴者が創ったおかしげな、時々シュールな内容の架空ニュースの原稿を、林アナがまことにNHKっぽくゆったりと格調高く読み上げるだけなのですが、実におかしかった記憶があります。

NHKのアナウンサーは明瞭に、正確に原稿を読むのが信条なのは分かるのですが、なんだか人間味が感じられないというか(渇舌の鬼)、このひと音読ロボットかい、などと思ってしまうのは私だけでしょうか。ガチガチのラジオニュースに比べてテレビの方は多少さばけた話し方の人も増えてきましたが、例えば「季節を感じさせる明るい話題」などを読むときにうっすらと浮かべる微笑など、かえってわざとらしくて気持ちが悪いと思ってしまうのは私だけでしょうか。

また、ニュース番組の中の現場生中継でも必ず台本があるらしいことも、見ていてなんとなく不快です。 真冬早朝の寒い中、オンエア時間までおそらく数十分も待機させられて、懸命に覚えた台詞をほんの数秒間緊張気味の口調でコメントする「地元の方々」などを見ていても、とてもとても悲しくなるのです。

特集コーナーなどで現場を取材してきた記者にアナウンサーがインタビューする形式で進められる場合がありますが、そんな時にもその記者はただ原稿を読んでいるだけです。
間違いないようにということなのかもしれませんが、エーとかアーとかを頻発し、渇舌最悪のしゃべりの素人が原稿を読むくらいなら、いっそのこと質問も回答もすべてアナウンサーが読み上げた方がよほど感じが良いと思うのは私だけでしょうか。

報道現場の生の声をお伝えする、というつもりなのは分かりますが、ドラマでもないのに全て台詞の出来上がっている会話など、しかも、非常にたどたどしくまるで小学生の放送部員のような、または卒業生答辞のごとき読み上げ口調なのですから気持ち悪いことこの上ないのです。
(本人も嫌なんだろうなあ、そうだとするとちょっと可哀想)

お国の圧力にもめげず、権力層や大企業に対して結構するどく切り込むことのある「クローズアップ現代」や「NHK特集」といった大変良い番組も、原稿読み上げ記者の存在を必死でガマンしながら見ることを強いられます。

ガチガチの型にはまったやり方を維持しているのは、ちょっとでも枠をゆるめると腐臭が外に漏れてしまうほどに内部の腐敗が限界に達しているのかも、なんて悪口を言いたくなったりするのです。
思えば崇拝する筒井康隆氏は30数年前に「公共伏魔殿」などという恐ろしい小説を世に問いました。 さすがと言うしかありません。(文庫の「アルファルファ作戦」の中にあります。)

毎日見ているだけに誠に困るこの「NHKらしさ」、なんとかなりませんかNHKさん。
(受信料はBSも含めて欠かさず払っています)


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