保険の通信販売            
保険の通信販売はインターネットの普及によって一段と定着した感があります。
しかし私は代理店やセールスパースンを介さない保険の営業形態(オンライン保険、ダイレクト保険、通信販売等)に関して大いに否定的に見ています。

勿論そうした保険がある程度支持されている理由は私にはよくわかります。
所謂「保険屋」は強引に人の生活に踏み込んできたり、一度会っただけで旧知の仲のように振舞ったり、言葉尻を捕らえてはすぐにセールストークを展開し始めるし、どうですどうですと決断を迫って来るし、質問にはキチンと答えないくせに頼みもしない資料を持ってくるし、ともかく関わりたくないと思っている人が沢山いると思われます。

そういう人種と関わることなくゆっくりと自分のペースで考えたり、選んだりして保険に加入したいという考えについては本当によく理解できます。まあ自己責任の時代、選択の時代です、いいと思う人はどんどん利用すればよいのでしょう。しかし、煩わしさがないという大きなメリットと引き換えに実は大きなデメリットがあるのではないでしょうか。

どんな種類を選び、保険期間は何年にし、払込期間をどうして、受取人を誰にして、保障額をいくらにし、受け取り方法はどうするか、沢山の特約のどれを付けて、どれは省いて、保障の範囲をどこまで拡大するか、介護費用は、入院日数の限度は、ガンの保障は、成人病はどうする、ところでこの保険会社自体は大丈夫か、、、、、、、まったくこんなことを、一体どうやって判断して決めますか。

これらを親切な電話オペレーターさんと相談して決めるのですか。ウエブサイトのシミュレーション上で色々条件を入力すると、これらのことが明確になりますか。
百歩譲って、仮に満足すべき保険に運良く加入できたとしましょう。
さて数年後に家庭環境が変わり、どこをどう見直すべきか、なにを増やしてなにを減らすか、受取人の変更や被保険者の追加、転換か変換か型変更か払い済みか期間延長か、、、、、、どうやって決めるのでしょう。

事故がおきて保険金の請求をするとき、自分では何をするのか、どこまで会社がやってくれるか。また遺族が受け取った保険金をどのように活用するか、運用するか、大黒柱が変わった新たな環境での保障はどんなものにするのか、誰と相談しますか。

家計の中での位置付け、社会保険等との関連から検討を始めて保険の形を決めることも、その後のメンテナンス、フォロー、そして実際の保険の利用のとき、全てにおいて、相談に乗りながら最適な方法を常に提供できる本当の「保険屋」が絶対に必要です。

保険商品を庭木の苗に例えれば保険屋は庭師なのです。
「本当の保険屋」の存在なくして、マトモな保険との付き合いは不可能だと、私は思っています。少し熱が入りすぎて疲れました。
こういうわけですので、私はダイレクト商品の解説やどのダイレクト保険をどう選べば良いか、という類の質問には幾ら頂いてもお答えしないことにしたいと思います。

売り手の側にしか立てない保険屋が介在するからミスマッチもたくさん起きています。
でも、保険屋が介在しない保険も結果的にミスマッチの保険となってしまう可能性がとても高いと思います。 ご意見がありましたらメールをください。



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