コンサルティング・セールス | |||
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生命保険のコンサルティングセールスについて、ある保険会社の社長さんのコメントを紹介します。たしか日経ビジネスに載っていたインタビュー記事です。 曰く、 「顧客のニーズを細かく把握して対応する所謂コンサルティング営業は今後主流となってゆくだろう。但しコンサルティング営業は大量に契約を取れるものではない。一気にシフトすれば新契約が大きく減少する。全体の業績が下がらないような形でやらなければならない。」 これまでは顧客のニーズを把握したコンサルティングによる販売はしていなかったんだろうかという疑惑。 コンサルティングができない人達によって大量販売をしているらしいという疑惑。 大量に契約を取るためにはコンサルティングセールスをしないでいることを経営トップが承知しているらしいこと。 このようなことが想像できる興味深いコメントだと思います。 発言の趣旨は違いますが、数年前にもある別の生命保険会社の社長さんがこう言いました。 「厳しい経済環境なので、利益率の高い保障性商品の拡販に努力を傾けたい」 日経新聞のインタビューでしたが、掛け捨てタイプの定期保険を積極的に販売します、ということなのでしょうか。 このような、保険会社に対する不信感を増幅し兼ねないようなコメントを何故公言されるのかが私としては疑問です。 長年業界にいるものからすれば、隠された本音をつい暴露してしまったのではという印象を持ちます。 生保販売についての色々な問題点が指摘され、顧客第一主義指向の重要性が叫ばれるこの世の中で、「コンサルティングセールス」をあまりやっていないなどとどうして言えるのかが不思議です。 ひょっとすると、他社も同じようなものだからとの感覚があるのではないでしょうか? また、コンサルティングセールスをしている(或いは標榜している)保険会社は、ほんの一握りの新参者であって、市場全体に与える影響は大したことはないとの考えが背景にあるのかもしれません。 数年前に生命保険契約の会社別シェアを知って少々驚きました。 いわゆる外資系や旧外資系、損保系等の新興勢力を除いた大手生保7社のシェア合計が94%だということでした。 コンサルティング販売とか個別ニード対応販売など、新興勢力の販売手法がかなり世間でも認知度を高めており、もう少し浸透していると想像していましたが、実態はまだまだのようです。 ただし、このシェア数値は確か「保険金ベース」であり、2003年のある調査による「保険料ベース」のシェアは外資系20%となっていました。 医療保険やガン保険など、死亡保障額の小さい商品の割合が高い外資系の特徴を象徴していると思います。 ガン保険で有名なアメリカンファミリーが日本生命を件数で抜いてトップに立ったというニュースが流れたのも最近の業界の動きの一面を表しています。 コンサルティング営業にはしばらくはシフトしませんと宣言した前出の社長さんには、最近どうですかとお聞きしてみたいものです。 いずれにしても、どんな商品にもプロのアドバイスは必要です。 特に中身が分かりづらいといわれる生命保険の分野では、コンサルティングセールスなどということばをわざわざ使うまでも無く、顧客の本当の必要性をキチンと把握した上での適切な商品提供が絶対に必要なのです。 売る側にそうした姿勢があまり見られないのであれば、買う側が賢くなるしかないのです。 どうか皆さん、賢い消費者になってください。
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