アファメーション〜affirmation                      

もう何年も前のことですがジョージ秋山氏の名作コミック「浮波雲」(はぐれぐも)にこんな話がありました。

とても貧乏な家の娘がいる。でも彼女はいつも明るい表情を保ち、周りの人々が不思議に思うほどである。いつも明るくニコニコしていて一家を支えるためにひたすら働き通しであるにも拘わらず、少しも疲れた表情や暗い顔を見せることがない。 父親の病気が悪くなったり、幼い兄弟が苛められたり、やくざものに騙されたり、色々とひどい目に会っても、回りの人と接するときは笑顔を絶やさず明るく挨拶をかわす。

それを不思議に思い新之助(はぐれさんの息子ですよ)がしばらく尾行をする。
ある日、彼女が一人になったときにふと何かを手に持って、そしてそれを着物の懐へしまい込むのを目撃する。
あれは何だろう、と思いつつ何日か後になり、新之助がまたこっそりあとをつける。

知り合いと例によって明るく挨拶と会話を交わしたあと一人になった彼女がこの前も目撃したように何かを手にしてそしてそれをしまって去って行く。
ところが彼女はその手紙のように見える何かを足元に落として気づかずに去ってゆく。
新之助がそれを拾い、中を開けてみるとその紙には文字が書かれている。

そこに書かれていたのは、、、、  「今、笑っていますか」 という文字だけだった。
つまり彼女は苦しいときも人知れずその紙切れを読み、自分を励まして笑うように心掛けていた。彼女の笑顔の理由は、彼女が自らに笑顔を絶やさないことを課していたことだったという話なのです。

アファメーションとは自己宣言、自らの決意を自らに言い聞かせ謳いあげることで実行しようとすること、それを習慣にすることが自己実現の大きな要因であるという理論があります。
こうなりたいとか、これを達成したいとかいう目標を手帳に書いて毎日見るとか、紙に書いてトイレの壁などに貼っておくとかいうのはそれを実行して、成功を収めた経験のある人を何人か知っています。

そんなのは単なる気休めだ、と批判的な方もいることでしょう。
でも、少なくとも他人に何かを吹き込まれてそれに従って行動するとか、誰かに導いてもらうのを待っているとか、他人の意思に従ってしまうことを選ぶ人たちよりは格段に良い事だと私は思います。

オリンピックのメダリスト達のなかには何人もそういう人がいます。
絶対金メダルとって来るんで、応援よろしくお願いします。
といって本当にとって来る人達です。
できもしないのが分かっているのに 「必ずやり遂げます」 なんて平気な顔で全国民に向かって言い放ってしまう、という先生方とは全く次元の違う話です。



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