投資戦略の発想法         

本屋さんでこの本を購入するかどうかを立ったまま検討していて(つまり立ち読み)どうしても買いたくなったのは、前書きに相当すると思われる部分の次のようなくだりでした。 (勿論チャンと買って読みました)

「この本を手にしているあなたの周りにカラフルな表紙のマネー雑誌が所狭しと並んでいませんか。」(実際に所狭しと並んでいた)、、、から始まって、「金融業者サイドが大々的に仕掛けた投資ブームに個人投資家があおられている〜」、「騙す人と騙される被害者、カモる人とカモの数を増やしたのが金融ビッグバンだ」、「うまいもうけ話は全て詐欺だ」といった言い回しの数々でした。

私自身も本屋さんにどうしてこんなに沢山のマネー本が並んでいるのか、どの雑誌も投資信託、株式投資、今買いのこの銘柄、云々、、の大型活字が並んでいる状況を妙だなあと思い、単なる売りたい側の仕掛けに過ぎないのではないかと感じていたものです。

このHPを読んでおられる方は少なからずマネー情報とか家計情報に興味をお持ちのはずですから、マネー雑誌の1冊や2冊読んだことがあるでしょうし、毎月3冊くらい定期購読しているかもしれません。
もちろん私も仕事柄、図書館で読んだりたまには買ったりしておりますが、いつもうさん臭さを感じております。 あのような雑誌というものは相当な割合で広告料金が収入源となっている模様です。 ○○証券や××生命の広告が一見、情報紹介記事に見えるような造りで沢山載っていますね。

「これからの時代はこの投資が最高、、」なんて言うのを特集記事だと思って読んでいるうちに、あまりといえばあまりの持ち上げブリにふと気づいて下のほうを見ると、(広告のページ)とか(PR)なんて書いてあるのです。こういうのって、考えちゃいませんか。

また広告のページ数の多さには驚かされます。先ほど某マネー雑誌をチェックしてみたところ本文286頁のうちの広告ページはなんと107頁でした。 37%は広告でした。暇な人はチェックしてみてください。大したもんです。(まるでテレビ放送なみだ)
これじゃあ批評的な記事なんて書きようが無いでしょうし、金融会社や金融商品を消費者サイドから評価・分析したり批判しようなんていう精神は初めからないとしか思えません。

ですから、例えば生命保険特集などを読むと、、、「いろんな商品があります、こういう人にはこんな保険がよいかも、30代の標準世帯ならこの保険を選ぶのも一つのやりかた」とかなんとか、結局はなんでもないというか、どうにでも取れるというか、訳がわからず、まあ適当なもんですが、記事を書いているのはみなさん「ファイナンシャルプランナー」の先生達です。

「投資戦略の発想法」という本はマネー情報の溢れかえる今こそ、是非読むべき本だと思います。 個人が投資を始めるには最低でも2年間は食べてゆける位の余分な蓄えを準備してから始めなさい、なんていうのを読んでしまうと、なんだ投資なんて一生できないのかなあ、なんて思ってしまったりしますが、ともかく投資というものに対する基本的な姿勢というかポリシーについてキチンと考えさせられるし、日本の金融会社、金融市場の実態や株式投資営業現場での嘘八百等についても教えてくれており、出色です。
より詳細に研究したい人のために参考文献も数多く紹介されていて、まさに入門書です。

「金持ち父さん貧乏父さん」は読んでも何のことやら分からなかった人も、これならはっきりすると思いますよ。 (私の感想では「金持ち父さん・・・」で良かったのは、無理してローンを組んで生活を切り詰めてやっと資産を手に入れたつもりの「マイホーム」は本当の「資産」ではないよ、という指摘でした。)

「投資戦略の発想法」からは非常に多くのことを、また的確な基本事項を学ぶこができました。その読書による勉強の成果は別項目でご紹介することにします。
(木村剛著 講談社刊 です)

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