令和1年8月発行 No.3 フード・セーフティー
今月はお水 について調べました。
日本は、年間降水量が約1,800ミリメートルの水に恵まれた地域です。四季の移り変わりが明瞭なうえ列島には雪を頂く、2,500-3,000メートル級の連峰が数多く縦断し、降雪・降雨はふもとに豊かな恵みを運びます。ヨーロッパ大陸のほとんどの地盤が石灰岩中心であるのに対して、島国である日本列島は砂岩・泥岩など水はけの良い地盤で、地下水はミネラル分が少ない軟水と呼ばれる水が中心です。
美味しい水 泉瑞・龍の口の清水(富士吉田市)
富士山をご神体と崇める浅間神社境内の手水舎の水で、 北富士側よりの降雪山頂
富士山麓にある湧水「泉瑞」から引いてきています。
これまで10-15年前の湧水といわれていたが100-150年説も有力です。
この地域で採水されたものが国内のミネラルウォーターの50%を占めるそうです。
更に京都伏見の名水、兵庫の布引名水、岩手県岩泉、日本各地にはまだまだ豊な名水があります。
水の味を良くする成分・悪くする成分があるって本当ですか
水の味は水中に含まれる成分によって決まり、そのバランスによって微妙に変わると考えられます。厚生省の「おいしい水研究会」の調査結果を示します。
l 蒸発残留物(ミネラル):30〜200mg/ℓ
l 硬度:10〜100mg/ℓ (CaCO3に換算)
l 遊離炭酸:3〜30mg/ℓ
l 過マンガン酸カリウム消費量:3 mg/ℓ以下
l 臭気度:3以下
l 残留塩素:0.4mg/ℓ以下 (水道水の場合)
l 水温:10-15℃以下 (体温より25℃くらい低温)
*この範囲に適合する事がおいしい水の条件です。
水は雨や雪が岩石や地下の岩盤などに浸透して、伝わって流れていく間に岩などに含まれている鉱物を溶かし込んでいます。そして、長い時間をかけて涌き水として噴き出してくるのです。地中の鉱物が溶けて含まれる
ミネラル(カルシウムやマグシウム)の配分によって、軟水と硬水にわけられます。ミネラルの比較的少ない水を軟水、多い水を硬水と呼んでいます。
日本のお水は軟水です
日本の地下水は、地下にとどまっている期間が短く、地中のミネラル分の影響が少ないため軟水が多いのです。逆にヨーロッパなどの大陸の水は、石灰岩が多い上に、地下の滞留期間が長いために、ミネラルが溶けすぎてしまい硬水となっています。石鹸は、ほとんど泡立ちません。これは豊富なミネラルが石鹸の脂肪酸と結合し、水に溶けない形になって沈殿してしまうためです。
洋の東西の食文化を左右する水の性質
ヨーロッパの硬水は料理に適しません。フランス料理では水を使うよりも、蒸すとか、油でいためたり、牛乳やワインを加えて煮たりすることが主流です。
日本料理では古くから水を使って煮物・汁物・ゆで物といった料理が多くあります。
ヨーロッパ諸国ではワインが盛んにつくられるのは、ブドウに含まれる糖分と水分だけを使うために水がいらないからです。一部ウィスキー作りで有名なイギリス(スコッチ)は、日本と同じ島国で、水の質も日本に似ていて軟水なのです。そのためイギリスではウィスキーづくりが盛んになりました。日本では豊かな水により日本酒が生まれました。軟水がなければ成せない技です。
*飲料水を安心して飲むための検査 水道法水質基準 の主な検査を定期的に検査しましょう
*更に注意しましょう
総トリハロメタン 残留塩素と有機物が反応して生成されます。 トリクロロエチレン(有機溶剤) 可能性がある物質です。中枢神経障害を誘引 シマジン(農薬) 【参考文献】
水道水に含まれる有害物質
浄水場での塩素剤添加後に発生し、発ガン性があるといわれています。
機械部品などを洗浄剤の成分で、工場排水等から地下水に混入する
林野、ゴルフ場等で使用される除草剤の一種です。
雨などによって地下水に混じり、水道の原水に混入することがあります。
「水のミステリー」:(株)ジェイアール高崎商事
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