| ロクサーヌ1/2 (カモミールの匂いを吸い込み写真を撮って) カモミールが睡眠によいことを知ってから どうしてもふと頼ってしまう 指でつまみティーバッグを カップの熱い湯にゆっくり振れば 草の香りがたちのぼる 黄色く丸い芯をもつ白い花の カモミール ふんわりとあまい陽差しと草の 匂いを胸に吸い込むと 一口ゆっくり飲んだだけで カモミールの野に包まれて するすると眠くなってくる 重い 瞼がとても重くておやすみなさいという間もなく すぅーっとどこかとても静かな 原っぱの緑の丘にいた 誰もいないと思っていたら 白猫が二匹 こちらを向く 見ると愛猫のロクサーヌ でもなぜロクサーヌが二匹いるのか 猫はワタシの分身なのに 分身が二つになっていた 愛する気持ちが薄かったのか 気持ちが割れて二つの愛をつくってしまったのかわからない ロクサーヌ ロクサーヌ どうしたの 本体のワタシにことわりもなく これ程のことがワタシのいったいどこで起こっていたというのか 本体が 分身に 除け者に されていたのだなんてことだ ショックでワタシはばったり倒れ すっかり途切れて 気が付くと 高い柱と高い屋根の四阿のある郊外にいた とてもとても背の高いキリンほどに背の高い男の人が立っている そんな背丈は良くないと周りのすべてに反感をもつ けれど勝ち目がぜんぜんない ワタシは縮んでしまったのかと焦りに突き動かされてくる 門番のように立っている背の高い男の掌がみえる 届くから掴んで手を引くと 巨人は隣にしゃがんでくれた えッと驚いてしまう そうだ敵にするのじゃなくて 尋ねてみるのもいいのかもしれない ロクサーヌが二匹いるのです 目が黄色くて白い猫です 抱きしめるとふわりとやわらかく頬は日向の匂いです 二匹ともまったくロクサーヌです 二つに割れていますかワタシ 巨人が書き割りの板のように倒れて 水平の横線になる 本体の気持ちが下に沈んで母のように猫を乗せ 両方可愛いと愛おしむ すると母の上で仔は分身でなく分子になり 1/2と1/2のロクサーヌが笑顔で並んでる 本体って分母だったのだ 2/χ 80/χ 1000/χ 分子が雑草のように繁る 草のいのちがむせかえる 水平線にまたがって ワタシが原っぱのようになる |