きみを想うとき 子午線上にある雲は
いつも 「ソ」 の容をしていた
あれはドレミファソラシド
の
「ソ」 でもあるんだけど
また別の 「ソ」 でもあるんだよね
きみが言うには 不安の素は
このアンバランスに長い薬指の 三日月に閉じ込めたからと
だって あれらの雲はすべて
ここから生まれたのだから と
繭のなかから見た 破れた空を 憶えていてね
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うすやみのなかで
ほんのりと ひかる陽光を
その 薬指でなら とらえられるだろう
織り重ねた
しらくもの温もりは
七つ目の物語にたっしても まだ耳たぶに吸いついている
ゆるんだ襞のあいだから
見た 切れ切れのそらを しろい鳥の群れが渡って
くちばしの形に 貼りあわせようと指を動かせば
影だけがしづかに墜落する
だって あれらのくもはすべて
その 薬指のなかに 閉ざされてゆくのだから
爪を噛むように 千切りとってみせてよ
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