ダンケルク ―WEEK-END À ZUYDCOOTE―1964年 仏作品監督…アンリ・ヴェルヌイユ 原作…ロバート・メルル 脚本…フランソワ・ボワイエ CAST ジャン・ポール・ベルモンド、フランソワ・ペリエ、カトリーヌ・スパーク ロバート・メルルの小説『ズイドコートの週末』の映画化作品です。 ここで歴史のお勉強を........ (注)これはわたしのお勉強のノートなのでツッコミ禁止!(笑) 資料が不十分なので間違いも多いかと思います。好意の間違い訂正や補足は 大歓迎です。 映画と関係あるのかといえば、作品の中にこの歴史をうかがわせるセリフや場面が たくさん出てくるのですね。 この作品の舞台は1940年6月..........第二次世界大戦が始まってからてから 9カ月後のイギリス海峡に面したフランスの海岸線に位置するまちダンケルクです。 ドイツのアドルフ・ヒトラー総統は1938年から1939年3月15日までにオーストリア、 チェコスロバキアを併合してポーランドにも圧力をかけます。 でもこのポーランドは英仏と相互支援条約を結んでいたのでなかなかドイツに 屈服しないのですね。 そこでドイツ軍は9月1日、軍事力行使でポーランドに侵攻します。 これを受けて9月3日にイギリス、フランスがおまけにオーストラリア、 ニュージーランドもドイツに宣戦布告をして第二次世界大戦の序章となるのですね。 そしてポーランドは......といえばドイツ軍ばかりかドイツ軍と不可侵条約を結んでいた ソ連軍にも9月17日に東側から侵攻されたった2週間で崩壊、9月27日にワルシャワは 陥落してしまいました。 どうしてそんなに早く陥落したのかというと、英仏はドイツに宣戦布告はしたものの 英仏-ドイツの間には戦闘はおこらなかったらしいのですね。 ドイツ軍がポーランドを攻めているとき何故、背後のフランス国境から攻撃を かけなかったのでしょう(これ不思議) その後も国境線をはさんでにらみ合いを続けていくのです。 ドイツ軍といえば装甲部隊とUボートを思い浮かべますが、英仏軍とドイツ軍の 戦いというとイギリス本土からの輸送船が大切な役目をおっているのですが、 これを妨害する強敵が大西洋に潜んでいるUボートだったのですね。 もうしばらくはUボートも快進撃が続くのです。 この英仏軍とドイツ軍のにらみ合いに終止符を打ったのが1940年4月9日の ドイツ軍のノルウェーへの侵攻です。4月15日にオスロは陥落しますが、英海軍の 活躍によりドイツ軍が長い海岸線を制圧するのには6月までかかります。 ダンケルクの映画の中でもマイヤ(ジャン・ポール・ベルモンド)と 英軍大尉との話しの中でノルウェーのことが出てきます。 そしていよいよ映画『ダンケルク』の舞台ドイツ軍のフランス侵攻へと進んでいきます。 この時期、ドイツ軍はエーリッヒ・フォン・マンシュタイン大将の立案のもとに フランスを侵攻するために5月10日からSichelschnitt作戦に入っていました。 5月10日作戦が開始されるとオランダはたちまち降伏してしまいます。 英仏軍はドイツ軍にそなえてマジノ線からベルギー国境沿いに配備しますが ドイツ軍はその裏をかいてベルギー南方のアルデンヌの森をぬけて配備の手薄な セダン方面に進撃します。 5月14日にミューズ川を突破してフランス領内に進入した あとのドイツ軍の進撃はすさまじく、英仏軍は5月20日には海岸線ダンケルクに包囲 されてしまいます。 5月27日にはカレーも陥落してしまい、英仏軍は5月26日から6月2日にかけて ダンケルクから船で英本土への撤退(Dynamo作戦)をはじめます。 これはイギリス海峡に駆逐艦や商船を約600隻を集め兵員を満載してダンケルクと イギリス本土を往復して30万人の英仏軍兵士を英本土に撤退させました。 これが映画『ダンケルク』1940年6月2日の舞台裏ですね。 さて、映画『ダンケルク』ですが、フランス軍とイギリス軍の対比がユーモアを 運びますが、当然ながら戦争というものはたくさんの悲劇を含んでいることや 生と死とが隣り合わせに存在していることを伝えてきます。 『パリの確率』の予告を観て(本編も観たいものです) 「パパァ....」というジャン・ポール・ベルモンドが印象的でしたが、この作品の ジャン・ポール・ベルモンドはひょうひょうとした中にも戦争というものに 対する哀しみのようなものを訴えてきて印象的でした。 仏軍の兵士たちにとってフランス本土を離れるということは祖国を追われるという ことです。同じ作戦の上に立っていても英仏の兵士たちの心のありかたは 全く違ったことでしょう。 ダンケルクから英軍と仏軍主力部隊がイギリス本土に撤退したことによってドイツ軍は 6月5日からフランス本土での南進を続けフランスは6月10日にパリの無防備都市を宣言。 6月14日にはパリは陥落し6月22日にフランスはドイツに降伏します。 1944年6月のノルマンディ上陸後のパリ解放までフランスが祖国を取り戻すまでには 長い時間とたくさんの犠牲がありました。 『ダンケルク』は人間模様を通してその序章をぎゅうっとつめたような作品です。 フランス人のワインとコーヒー、強い酒と煙草とハンコ好き(?) イギリス人の紅茶とお茶の時間、ジョーク好き(?) これらはポイント(笑) 楽しくも哀しい作品でした。 2001.1.9 ADU |