THE PATRIOT

パトリオット
  ―THE PATRIOT―



アメリカの独立戦争のお話です。

たしかにアメリカ大陸に移住してきた人々は大英帝国をはじめとしてヨーロッパの国に支配され苦しい生活をしていました。
でも、わたしの中で問題となる部分。彼らは「移住」してきた人々ということなのです。
では、新大陸が発見された時、この大陸は無人の地であったのか?
自然と共に生きる人々が生活していたのではないか?
パウル カレルの小説ではないが「彼らは来た」のだ.......と。
でも、彼らは理不尽な行ないをしている者たちとの命がけで戦い世界に平和をもたらすために来たのではない。
自分たちが平和な暮らしをするために、平和に暮らしていた人々を野蛮人と定義して追ったのです。およそ1000万人いたとされる先住民の90%以上が、新天地を求めてやってきた白人との戦いで命を落したと言われています。

「ハーモーニィベイの夜明け」のもととなったダニエル・クインの小説「イシュマエル」で語られた、「とる者」と「のこす者」。この「のこす者」が住んでいた地ではなかったのか?
そのものたちはいったいどうなったのか?どこへ行ったのか?
それはそれはたくさんの人々が、第二次世界大戦中のヨーロッパにおけるホロコーストにも匹敵するようなかたちで大地を血に染めていったのです。

そうしてなんとか逃げ延びたひとにぎりの人々を残して滅びていったのは、なぜか、

それは「のこす者」には、「とる者」を疑う間もなく、またその手段を理解することができなかったのだと思います。

そして、「とる者」たちは、うしろめたい歴史を正当化するために彼らを悪者にしたてていったのかもしれません。

この流れは、現代においてもごくごく身近にも見られるような気がします。


むかしの映画の中では彼らを野蛮な者、文明をさまさげるものとして悪者として描かれているものも少なくはありません。今ではそういうことも少なくなっています。それどころか、見直す動きがあります。

何かの映画の中で彼らが語った「インディアンうそつかない。白人.......」というセリフ。この時、わたしの中でこの歴史に対する興味が生まれたのでした。このことはまた、時期を得てConceptionのページで.........。

こうしてしいたげられたネイティブの人たちも、独立戦争の時には力を合わせて、別の大陸に住む支配者に戦いをいどみました。
統治下に住む白人、その白人に奴隷として使われている黒人、住んでいた土地を追われそれでもその生き方を変えずに暮らしている先住の人々、それぞれがそれぞれの意義のために、わだかまりを捨てて一緒に戦った戦争だと思います。

はなしは映画にもどって、この頃の戦闘は形式を重んじた訓練をうけた兵力と緻密にかつ規則正しく練られた兵法、そして銃や大砲の飛距離など兵器の性能が雌雄をわけたのでしょう。あとは指揮官の技量(これはいつの世も同じ)

戦いの形を崩す奇襲。日本をふくんでアジアの国々の戦いは遥かむかしから奇襲に奇襲の繰り返しだったような気がするけど、特に中国はすごい。でも、あれほど古くから兵法に優れた国が近代に入って何故.......という疑問もあります(これが歴史の流れというものなのか.......また話がそれてきた)

で、パトリオット、時代考証のしっかりした、そして衣裳など見ていて楽しい作品です。
モスラのコピーではないけど、守るために戦う。このフレーズは人の心を熱くさせるのです。
この題材をエメリッヒだからこう作った!って感じたのでした。娯楽の要素が多くてわたしは好きです。暗く重い場面も多かったけど、現実におきたことはこんな程度のことではないですね。

メル・ギブソン演じるマーチン、この人はワガママな人です。こういう人が希代の英雄になるのかもしれませんが、わたしだったら指揮官としてのこの人に命をあずけることは絶対にしないぞ。

この作品のDVD、特典がいっぱいで楽しいです。そして、悪役タビントン大佐を演じたジェイソン・アイザックス、もっと冷酷でもよかったような気がするけど、これも彼が背負っているものを現しているようでこれもまた良し、チェッキー・カリョ演じるビルヌーブ少佐とともに好きなキャラクターでした。

2001.4.22
ADU

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