A Murder of Crows

コンフェッション
  ―A Murder of Crows―



この作品は、公開前にインターネットを通じて情報を流し犯人探しをしていました。

犯人の罪状は5人の弁護士殺し。逮捕されたのは、元敏腕弁護士ローソン・ラッセル(キューバ・グッディングJr.)
しかし、これは冤罪らしい。担当刑事デュボ ース刑事はローソンを犯人と決めているが、果たして、犯人はローソンなのか、それとも別に犯人がいるのか...... デュボ ース刑事(トム・ベレンジャー)の調査記録とともに、登場人物の情報が公開され、犯人を探すというゲームのようなものでした。

序章ともいえるあらすじは
敏腕弁護士として名をはせていたローソンは多分有罪であろう娼婦殺人事件の被告サーマン(元市長の息子)の弁護を引き受け(無罪に持ち込めそうだった)ていたが、良心の呵責に耐えかね弁護を降りることを決心し、判決当日、サーマン(エリック・ストルツ)の嘘を暴露。

その結果、上からの圧力によって弁護士の資格を永久に剥奪されてまう。

職を失ったローソンはフロリダに居住を移し貸ボート業を営みながら、小説を書こうとしていたがそのペンはなかなか進まずの状態。そんなある日、ボートを借りて釣りに出る老人マーローと知り合い意気投合。
その老人の処女作という小説を預かるのだが、老人はその後死亡してしまう。
ローソンは悪魔の囁きによって身寄りがないという老人の書いた小説を自分の名前で発表し一躍有名になってしまう。
しかし、その小説とまったく同じ事件(5人の弁護士の殺人事件)がおこり、ローソンは逮捕されてしまう。
というものでした。

劇場公開を見逃し、すっかり忘れていたのですが、レンタルビデオで見つけたので早速観てみることにしました。

作品全体はちょっとB級。内容もちょっとB級。
でも、音楽も心地良いし、ちょっとお気に入り。

何が良いかというと、作品の中で引用されている言葉や人物が面白い。

冒頭のローソンに忍び寄る人物の描写からはじまって
題名の『A Murder of Crows』”まずは弁護士から殺そう”というのも、シェイクスピアからだし、アリストテレスの”行動には動機がある”という言葉も飛び出し、ふむふむなるほど。

話しの大筋も『ファウスト』がイメージされているし、後半犯人の口から『ファウスト』の言葉がでたり『マクベス』の話しも出てきます。

事件の発端となった老人がボートを借りて釣りをする場面では、『老人と海』が登場したり、バーでダイキリを注文した老人にバーテンダーからヘミングウェイですねという言葉もでる。

『A Murder of Crows』と『ファウスト』のつながりがいまいち分からないでいたのですが、老人が自分の書いた処女作『A Murder of Crows』を読んでほしいとローソンに渡し、ローソンがその本を開き『A Murder of Crows』題名を読み「シェイクスピアからか」という場面、その題名の下には、作者マーローの名前「Christopher Marlowe」(この時点では字幕やセリフにはなりませんでしたが)の文字が........ここにきて俄然話しが面白く感じます。

これは学校の図書室で読んだ本の中に書かれていたのですが、クリストファー・マーロー(Christopher Marlowe)はオックスフォード伯(Edward de Vere)などとともに、シェイクスピア作品の本当の作者なのではないかと言われている人物なのですね。(『恋するシェイクスピア』ではシェイクスピアのライバルとして描かれていましたが)

この後、ローソンがこのクリストファー・マーローの小説を自分の名前で発表するというのですから、作者の意図が伝わってくるような気がします。

ローソンはこの老人の家を訪ねていって、表にいた警官から老人が急死したことを知らされるのですが、この警官の名前がゲーテなのです。ここでもクリストファー・マーローと『ファウスト』が繋がるのですね。

そんな、こんなで、作品の内容はおいておいて、楽しめる作品でした。

わたしが分かったのは、これくらいですが映画やお芝居に詳しいかたが観たらもっとたくさんの発見があるのではないでしょうか。

監督・脚本…ローディ・ヘリントン
音楽…スティーブ・ポーカロ
CAST
ローソン・ラッセル弁護士…キューバ・グッディングJr.
クリフォード・デュボース刑事…トム・ベレンジャー
エリザベス・ポープ…マリアンヌ・ジャン・バチスト
サーマン・パークス3世…エリック・ストルツ

更新日 2000.12.12 ADU

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