Love Letter










弦一郎先輩へ




今夜は眠れそうにないので、先輩のことを想いながら、こうして手紙を書いています。

先輩に手紙を書くのは、初めてですね。

メールならしたことがあるけれど、きちんと手紙という形で長い文章を先輩に向けて書いたことはないので、今、とってもドキドキしています。

それに、毎日会っているのに改めて手紙を書くというのもとても不思議な気分です。

もしかしなくても、たぶんきっと、これは書き上げても恥ずかしくて先輩に渡すことができないかもしれません。

でも、先輩。

今から私がこの手紙に書くことは、すべて私の正直な気持ちです。

嘘偽りのない、私の本当の想いです。

たとえ、この手紙が先輩に渡されることがなかったとしても、今現在の私の素直な気持ちだけを書き綴ることだけは誓います。


先輩。

先輩は、私と初めて会ったときのことを憶えていますか?

私が合同学園祭の運営委員としてテニス部を担当することになって、テニス部の打ち合わせに参加したときでしたよね。

あの日、私は突然任されることになった大きな仕事に、期待で胸を高鳴らせながらも、同時に緊張と大きな不安を抱えていました。

テニス部の人たちは、どんな人たちなんだろう?

皆さん、私のことを受け入れてくれるだろうか?

少しでもはやく皆さんと打ち解けて、この合同学園祭を成功させたい。

そんな思いで、顔合わせへ出かけたことを今でも憶えています。


ねぇ、先輩。

今だから言えることですが、あの日の先輩は、そんな私にとって少し怖い存在でした。

受け入れてもらえるのか、学園祭を一緒に創り上げる人間として打ち解けていけるのか、そんなことを不安に思っていた私にとって、副部長という責任感から自分にも他人にも厳しかった先輩は少し怖くて、私の中の不安は増しました。

でも、それが私の思い違いだということに気が付くのに、それほど時間はかかりませんでした。

確かに先輩はとても強い責任感を持っていて、自分にも他人にもとても厳しいけれど、それはあくまでも「厳しい」のであって「怖い」わけではないのだと気が付いたのです。

それに気が付いてからは、先輩に無意識に抱いていた恐怖心や萎縮する気持ちは嘘のように消えていき、むしろ先輩のお手伝いがしたい、先輩の役に少しでも立ちたいという気持ちばかりが増していきました。

私自身、自分に何ができるのか、どこまでできるのか分からなかったけれど、とにかく先輩の役に立ちたいという思いだけは日に日に大きくなっていました。

何度先輩に申し出を断られても、それだけはずっと変わりませんでした。

今思えば、たぶんその頃から先輩は私の中で特別な存在になっていたのかもしれません。

あのときは、当然ながらそんなこと何も気が付いていなかったけれど、今となって思い返せば、きっとそうだったんだろうと思います。

だって、あれほどまでに頑なに断られ続けたのに、それでも必死に食い下がり続けるだなんて、普通の感情ではないような気がしませんか?

運営委員としての責任感で片付けるにしても、あまりにも先輩のことだけに頑固になりすぎてたかなと思いますし。

そう考えると、やっぱり私は、あのときから先輩のことが好きだったんだろうと思います。


弦一郎先輩。

あなたのことが、大好きです。

あのときから、今も変わらず。

だから、これからもずっと一緒にいてください。

ずっと、私の傍にいてください。


あの日、先輩と出会えて私はとても幸せです。

先輩は私にとって、誰よりも大切な存在です。




より







2010.03.13


から真田に宛てたLove Letterというコンセプトで書いてみました。
最近は携帯電話があるので手紙を書く機会は減っていますが、恋する少女ならきちんと手紙を書いてみたい日もあるよね〜ということで。
…でもたぶん、これは真田の手には渡らないのですがね(笑)

は、こういういかにも女の子らしい可愛いお手紙を書いてくれるといいなあと勝手に思っています。
文面を考えるのが結構楽しかったので、立海っ子たち全員にからLove Letter届けようかなあ(笑)

それでは、ここまで読んでいただいてありがとうございました!

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