Special day
壁に貼られた時間割を確認しながら、教科書やノートを鞄へ詰め込んでいく。
そして最後に、手提げ紐にオフホワイトのリボンが結ばれた紙袋を机の上へそっと置いた。
悩んで悩んで悩み抜いた末にようやく決めたプレゼントと、さっき完成したばかりの手作りのチョコレート。
(喜んでくれますように)
そっと心で呟いて、祈るように軽く瞳を閉じる。
すると、瞼の裏に自然と思い出される大好きな人。
常に穏やかで、温かな気持ちになる長太郎くんの微笑み。
「」
優しく名前を呼んでくれる、心地好い声。
そのすべてが恋しくて、そのすべてが愛しい。
こんな風に想える人に出逢ったのは、初めてだった。
(長太郎くん…)
抑えきれない恋しさが溢れ、心の中で最愛の人の名前を呼んだそのとき。
枕元に置いていた携帯が、ショパンのノクターン第2番を奏で始める。
日付が変わった瞬間。
2/14、バレンタインデー。
そして、長太郎くんの誕生日。
いつもなら決してメールを送らない時間帯だけれど、今日だけは特別。
誕生日を迎えた長太郎くんに、一番におめでとうが言いたいから。
誰よりも早くお祝いが言いたいから。
朝までなんて、待てない。
ベッドに近寄り携帯を手にした私は、無意識に顔を綻ばせながら長太郎くんへとメッセージを送った。
『HAPPY BIRTHDAY and HAPPY VALLENTINE!!
大好きです。』
2012.02.19
思いっきり遅れてのバレンタイン&誕生日ネタでした。
当初書いていたものが気に入らず書き直したので、方向性は最初に考えていたものとまるで違っています。
最初に考えていたおはなしは納得いくように修正できたら、来年以降のバレンタイン&誕生日ネタとして出てくるかもしれません(笑)
本文中で、長太郎のプロフから得た情報を細々と使ったのが楽しかったです。
それでは、最後まで読んでいただいてありがとうございました。