ようやく第六回!今回は、恥ずかしい事ではありますが、リメイク前の第三話を用意しました。これを見れば、大幅な改変により、第三話が全くの別物に生まれ変わっていることが理解できるでしょう。
決して、4コマやS/S/Sを用意できなかったわけではないので、あしからず。
それでは、どうぞ〜。

〜第三章:断たれた退路〜
※あらすじ・・・ユリナからの薬物により、人外の力を手にしたロウスだったが、相対する敵も人外の者であった。後ろでテツと一緒にロウスの闘いを見守るフィアラによれば、これから闘うであろうその女はフィアラを襲った女に間違いない様だ。剣を交えると分かったが、『強い』という事は事前に聞いてはいたにせよ、女にしてはあまりにも力が強すぎる。しかも、ロウスはなかなかのフェミニストだった。それ故に、思わぬ苦戦を強いられてしまう。

「チッ…バカ力め…。」
「・・・」
「どんな鍛え方してんだかな…」
「…お喋りが好きな奴だな…。」
「お前、名前は?」
「答える義務は無いな…だが特別に教えてやろう。私はキョウギク…original fourの一人だ。」
「original four…何処かで聞いたな…そういえばオヤジがそんな事言ってた様な…」
「『ヒトガタ』と言えば解るか?そう呼ぶ奴もいたが…。」
「『ヒトガタ』…やはり聞いた事がある…過去に繁栄した超科学の置き土産…確か人間の成り損ない…だったか…?人工知能により思考する、新進気鋭のCPU…。」
「黙れ!貴様ら人間は何様のつもりだ!?成り損ない?ふざけるな!人間になる気などない!私は自分から望んで汚れた存在になる様な愚かな真似はしない!」
長引く闘いの中、突然キョウギクの構えが変わる。
「…?居合…か…?」
「今から3回以内の斬撃で貴様を殺してやるよ!よ〜く見ろよ…弌ノ太刀…『廻零』…!」
バックステップで際どく躱すロウスだが、服に淡く血が滲む。
「…!抜くのも振るのも遅かった…なのに何故刀身が見えない!?」
考えている間に、止まないキョウギクの攻撃が襲いくる。
「弍ノ太刀、『皇冥』!」
「…っ!やはり…見えない…柄だけしか…」
その時、病室の窓から闘いを眺めていたアクセルが、ロウスに銃を窓から投げ渡した。
「…居合の攻略法は、要は抜かせなければいい…。」
「フン…弾丸が届くまでに私が何回抜刀出来ると思う?それを敢えて3回という制約をつけてやったんだ。今更そんなオモチャはしまいな。」
そう言うと、キョウギクは刀を抜いた。
「抜いたのに…見えない…何かタネがあるな。お前こそ、そんな手品は止めな。」
「これは超科学の贈り物…光学迷彩の刀だ。タネをバラしてやったんだ。いい反応しろよ。」
「くだらねぇ機械人形には過ぎたオモチャだな…。来いよ。」挑発するロウスは、薬の効果が切れてきている事に気付いていた。
「それにしてもよく生きていたものだ…3太刀目まで見られる奴は久しぶりだよ…。だが次で最後だ…。参ノ太刀、『神祓』!」見えない突きが3回、ロウスの顔面を掠める。

…モーション後のキョウギクの腹には穴が穿たれていた。ロウスの鋭い突きが、カウンターで入れられていたのだ。
「何故…突きのタイミングが判ったんだ?」
「人間のカンってやつだ。」
「…見事だ…私の方が風穴を空けられるとはな…完敗…だ…。」
それを言ったきり、キョウギクは動く事は無かった。その時、何処かの液晶には、こう表示された。「『Type4キョウギク機能停止』」と。
「やはり機械人形に任せてはおけないな…ロウス、考え直すなら今のうちだ。お前もこちら側に来い。そうすれば、自ずとフィアラも付いてくる…お前を殺してフィアラに辛い思いをさせたくはない…。」
「誰が行くか!カンに障るコトばっかり言いやがって!墓標の下に骨すら無い…そんな人々の憎しみは、魔族を根絶やしに…この世から消し去らなければ…!そうしないと消えないだろ!」
「ふざけるな!墓標があるだけ良いと思え!…私達魔族が…どれだけこの戦いで死んでると思ってる!?」
強気な二人は膠着状態になった。しかし、本当はロウスの身体は限界に達していた。薬物の効果は切れ、さらにその副作用で身体中に痛みがはしる。もう今は強がりさえも言えない状態だ。
「これ以上話しても無駄だな…カンに障るのはお前ら人間の存在だ!私を怒らせたのはお前らの責任だ。殺されても文句言うなよ!」
そう言うと、ミレルは眼鏡を取り、握り潰した。ミレルのか細い腕の掌から紅い血が流れる。眼鏡を取ると、さっきまでとは違い、切れ長の綺麗な深紅の目が目立つ。普段は上級魔族特有の紺碧の瞳をしているが、何故か感情が高ぶると、ミレルの瞳は紅くなる様だ。さらに、ショートカットだった髪は、見る間に伸びていき、流麗な金髪が風を受けて靡く。その金色は、沈みかけた日の光に映え、その妖艶な美しさは、永遠さえも感じさせ、見る者の戦闘意欲を奪うようであった。
そんな事に気を取られている内に、ロウスは今まで感じた事の無い様な衝撃を2回腹に受け、吹き飛んだ。
「残念だよ、ロウス。お前とは気が合いそうだったんだが…。」
「兄さん!」
「大将!…よくもっ…!お前は…殺す!うおぉおあぁあぁぁっ!」
雄叫びと共に、テツの身体と弓が軋み、渾身の一撃がミレルの右脇腹に突き刺さる。しかしミレルは、何事も無かったかの様に矢を抜き、捨て去る。残ったのは服に開いた穴と、その周りに染み込んだ血の紅だけだ。いつの間にか、掌の傷も癒えている。
「くそっ!ダメか…。」
「テツさん、下がってください!この人は、私が説得します!」
「フィアラ…私は不死者だ…お前ならどうする?寿命じゃ死なないんだぞ?そう思うとこんな世の中退屈で仕方がない。だから変えるんだ。この堕落した世の中を…。」
「それだからって…何で…どうして犠牲が必要なんですかっ!?」
「共存など所詮綺麗事だ…。どんな美辞麗句で取り繕っても、生命はせめぎ合う運命にある…。人間は、自分の障害になるモノを滅ぼして滅ぼして、時には利用して…そうして生き残ってきた。我々魔族も人間という障害を尽滅し、生き延びようというのだ!」
「すみません教官…いいえ、ミレルさん…貴女を…倒します。」「お前も人間中心的な考えを持っているんだな…。良いだろう。フィアラ・ザラ…私を殺せ…。誰かが過ちを精算しなければ、この戦いは終わりはしない…。」
「ミレルさん…貴女は逃げるんですか?現実から…目を背けて…。そんな無責任な人だとは思いませんでした…。」
「何を言っている?早く殺せ!私は…無責任でも構わない…。殺してくれ…もう…終わりにしたいんだ…。何もかもを…。」
「でも…貴女には生き延びて欲しいんです。貴女の為に死んでいった人達の為に…。第一、死んだら終われると思ってるんですか!」
「…フィアラ…お前は私に大切な人を殺されておいて、私を殺せないのか?!」
「違う!…私は確かに貴女が憎い…。でも死ぬ事で終わりなんて許せない!」
「ならば…お前は私に何を求める?謝罪の言葉か?」
「何も求めないわよ…。ただ貴女は生きていればいい。それが最大の罪滅ぼしになるから…。」
「何故だ…?どうして…?どうして…そんなに私に優しくできる?私は、お前から全部奪おうとしたっていうのに…。だが、お前は私に生き恥を曝せと言うのか?!それは御免だ…。…わかった…フィアラ…お別れだ…。お前が殺してくれないのなら、お前の命を絶つまでのこと…。」
「それ以上近付いたら、躊躇なく撃ちます!」
「ハァ…、躊躇なく…か…。じゃあなんで『近付いたら』っていう条件を付けているんだ?それを躊躇って言うんじゃないのか?それと言っておくが、殺すんなら頭じゃなく身体を狙えよ…。お前では動き回る私の頭には到底当てられないだろうからな。」
フィアラは銃を構えてはいるが、どうしても引き金を引く気にはならない。
「…どうした?震えてるじゃないか?過去と決別するんじゃなかったのか!?この別れも出会いだ…。行くぞっ!」
走って向かってくるミレルに、フィアラは銃を向けた。もはや解り合う事など無い…そう自分に言い聞かせて…。
「そうだ。それでいい…よく狙えよ。お前はいつも詰めが甘い…」
乾いた銃声が4回、響き渡った。倒れてからも、暫く意識がはっきりしていたミレルはこう思った。
「ティ…いや、フィアラ…お前ならあるいは…」
そこで、ミレルの思考はストップした。

激闘の後、人間軍の部隊が現れ、キョウギクとミレルの亡骸は回収されていった。それにより、ロウス達は人間軍からの信用を得る事が出来た。ロウスは、不幸中の幸いというか、病院の前で闘ったのですぐ中に運び込む事が出来たが、未だに危険な状態が続いていて、昏睡状態から回復するのはまだ先になるそうだ。「その指輪、戴けませんか?」そう言って人間軍の者から貰ったミレルの指輪を、フィアラは大切に握り締め、ロウスの回復をただただ祈るのであった。
しかし、この戦いはこれからの過酷な戦いの序章にしかすぎなかったのである。
続く

う〜む、酷い出来栄えですね。構成が粗すぎるし、何より、ミレルさんの性格と口調が安定していない。何か、よくわからない死にたがりになっちゃってます。目的も不明確だし。それに、何か用語も氾濫してます…。いやぁ、リメイクによって少しでも良くなったと信じたいですね。はい。

久し振り!用語解説!
●機械人形:作られし生命『Synthetic Lives』の侮蔑的呼称。内部骨格は金属製のフレームから構成され、人工筋肉や人工細胞によって、主に美しい女性の容貌を表現している。そのため、外見から人間と見分けるのは困難である。また、肌の質感や、発汗する事、さらには体温までも人間と同じであるため、やはり、触ってみても判別できない。つまりは、生体活動を必要としないことや、人間を超えた知能や力を持つこと以外は、ほとんど人間と変わらない。勿論、素体は機械であるため、生殖能力は皆無。(ただし、一部例外あり。)
●魔力の鎧:数ある魔力操作術の中の、基本動作の一つ。体を魔力で覆うことにより、防御力を高める。使用者の魔力操作技術により硬度は変化し、魔力操作技術に長けた者が使用すれば、銃弾などの通常兵器は一切通用しなくなるほどの硬度を誇る。
●『original four』:製作にロストテクノロジーが使用された、原初の機械人形四体のこと。