妄想のセカイと現実のセカイ…それは紙一重である。RealなThrillを楽しむのも、はたまた悲壮的になるのも個人の自由だ…。
…でも、本当のセカイなんて、何処にも無いのかもしれない―――――

     序曲
 〜Forbidden Love〜
俺は…バカな男だ…。でも、裁く権利はある。リセットしてやるのさ。この下らない怠惰なセカイを。俺には無いんだ…アレが。
アレはあそこ…そう、『夢ノ崎』に置いてきてしまった。あそこで願った事、それは…未来を放棄する事。
俺の妹は、女離れしている。人並み以上の容姿以外からは、知性のカケラすら感じられない。性格も男勝り、言葉遣いも最悪。それでもそんな妹を、俺は悪くは思わなかった。妹に悪く扱われる事も良いことに思えてきた。それも愛の一つの形だと解釈した。でも、そんな生活は永くは続かなかった。どんな事にも限界はある。微妙なバランスで成り立っていた俺達のセカイは簡単に脆くも崩れ去った。

   〜未来予想図〜
俺は愛を与える側の人間であり、愛を受け取る側の人間でもあった。でも、本当は妹との間には、与える『愛』ばかりで、何も得る事は出来ていなかった。空になった心は軋み、俺を急かす。このままでは、俺が俺でいられなくなる…。
『夢ノ崎』…あそこには伝説がある。寿命を削る代わりに、望む事を現実にしてくれるという伝説が。
俺は急いだ。そして、『夢ノ崎』で願った。そう、理想の妹を。

「もう一人、今の妹とは容姿以外は正反対な妹が欲しい……」


 〜霞んだ夢〜
どうやら伝説は本当だったようだ。俺は理想の妹を具現化する事が出来た。
そこからの日常は、それはそれは幸せな日々となった…。
寿命が減っても構わないと思えた。
―――――あの時までは。
ある時、突然理想の妹が理想ではなくなった。理想の妹は、容姿以外はどんどん悪化していった。本当の妹が理想となってきてしまったからだろうか…?
確かにあれから本当の妹の態度は変わった。ここまで来て、初めて気付いた。気付かされた。俺は最初から愛を受け取っていたのだと。そして嘆いた。全てが遅過ぎた事を…。

   終曲
〜叶わないユメ〜
俺は後悔した。リグレットした。懺悔した。でも、許される事はなかった。
―――――そして…俺は『夢ノ崎』に二人の妹を呼び出した。

「今更謝っても何も済まされないが、悪かったな…。」

その時ですら、俺は…………


―――――理想は理想であらねばならない。決して現実のセカイに干渉してはいけない。だから願った。俺が理想と出会う為に、俺が理想になることを。本当の妹には感謝している。大切な事を気付かせてくれた…本当に大切な事を。
『夢ノ崎』…そこは理想の始まりと終わりの場所となった。俺は理想の妹と共に、同じ風を感じた。いや、同じ風になったのかもしれない。この物語はこれで終わる。果たして俺は最期に幸せを感じる事が出来たのか?
…それは―――――

おわり