P-0804 春日病院
P-0804 春日病院
- 心地よく導かれる造形 -
病院の増築部のアートプラン。風除室と待合室から処置室への通路という2カ所へのアートワークの設置である。どちらも「人が通る場所」ということから、2名の作家への共通テーマとして" STREAM = 流れ "を提示。まず浅香弘能の大理石作品、風除室から待合室への人の流れ・・「心地よく導かれる造形」のようなものが出来ないか...。
矢印等に導かれるのではなく、作品が優しく「(待合室・受付のある)左へお進みください」との案内を造形上作品に反映させたい。
また通路には川島慶樹の木彫、ストレッチャーや点滴台などを妨げることなく心地よい空間をということから、
これらを妨げない高さに作品を設置。川島のしなやかな彫刻は天井近くの上方に設置しても重圧感がなく、またそれらの「影」までも作品として楽しめる。2作品は異なった素材ながらも、躍動感、生命感を共通の造形感覚とし、浅香作品はイルカのような曲面で「波」を、川島作品は「芽吹く双葉」を治癒、快方などのメタファーとしての造形に取り組んでいる。
病院におけるアートワークとして「清潔感」「知性」「明るさ」は必要な条件であるが、さらに踏込んで病院が「感染症対策」等、
施設としての完璧な機能を満たした後のアメニティーであると来訪者に感じてもらうことが重要な役割のひとつである。
言葉によらずメタファーとして視覚的に、直感的に「良い病院」と感じることと、心地良い空間は両立可能である。
川島慶樹 - Secret Sprout -
木 (花梨・ローズウッド・銀杏) 2008年
エントランス・ホール
photo - 中原岳夫 ㈱安井建築設計事務所
浅香弘能 - 暁光の波 -
大理石 2008年
廊下 ( 待合室から処置室を望む )
春日病院 DATA
所在地 神戸市北区大脇台
事業主 春日病院
竣工 2008年4月 (増築部分)
建築設計 (株) 安井建築設計事務所
建築施工 (株) 鴻池組大阪本店