Stagnazione

  ごろりとベッドの仰向けに転がされ、バーナビーは虎徹を見下ろすようにベッドに座っている。
 バーナビーの指をなめていると、なぜか身体の奥の奥が熱くなってくる。
 どうしてこんなにもむずがゆい思いに苛まれないといけないのか。
 答えは分からないが、それでも虎徹はバーナビーの指に舌を這わせながらもじもじと腰を揺すっていた。
 ゆらゆらと揺れる勃ち上がった虎徹自身から先走りを零し、懸命に虎徹はバーナビーに媚びる。
 もっと刺激がほしいのだと、言葉ではなく身体で訴える。
 だが、当のバーナビー本人はその誘いに応じる気配は全くない。
 虎徹に指を嘗めさせながら、うっすらと口角をあげて笑っているだけだ。
 その顔がまたきまっていて、憎らしいやら何やら。
 こんな状況で、一人でスルのは空しい。
 折角好きだと伝えた状況で、バーナビーの目の前で一人慰めるのは嫌だった。バーナビーからもっと快感がほしいのだ。
 口で伝えるのは恥ずかしく、精いっぱい誘ってみるが彼の人は分かっていて焦らしている。
「ふ…ぅ…んッ…」
 鼻から抜けるような声をあげて、虎徹はバーナビーに腰を振って見せる。
「虎徹さん…そんなに欲しいんですか?」
 勢いよく虎徹はうなずいて、バーナビーの指に舌を絡めてきゅっと吸い上げた。
「じゃ、後ろ、馴らしましょうか」
 バーナビーの片手にぺちぺちと太ももを叩かれ、虎徹はゆっくりと足を開いていくが、恥ずかしさのせいで大きくは開けない。
「もっとですよ、虎徹さん。膝も立ててください」
 秘所を全てさらけ出すポーズに羞恥でめまいがしそうになるが、それもこれもこの先の快感のためだ。
 覚悟を決めて虎徹はさらに足を開いて膝を立てる。
 内腿を痙攣させながら、虎徹はぐいっと腰をつき出す。
 くちゅ、と最後に虎徹の口内を一撫でして指が唇から引き抜かれた。
 ごそごそとバーナビーが動き、虎徹の足を掴むとさらに広げてその間に座りこむ。
「イイ眺めですよ、虎徹さん。…ああ、そんなに待ち遠しいんですね。ひくついてますよ、虎徹さんの穴」
「あ、穴って言うなッ…!!」
「じゃあ肛門? アナル?」
 くすくすと笑いながらバーナビーは先ほどまで虎徹になめさせていた指を後蕾に這わせる。
 何も言い返せず、虎徹は真っ赤になってふいと顔を反らす。
「んッ…あ…」
 蕾に這う指がじれったくて、虎徹は自分から腰を押しつけて、バーナビーに指摘された通りにひくついている穴は指を簡単に飲み込む。
 ようやく中に何かを飲み込めたことで、中は嬉しげに収縮を繰り返す。
 バーナビーにされるまで、後ろで快感を得るなんて考えもしなかったのに、すっかり馴らされている。今では一人でスル時ですら、自分で指をさしこんで掻き回すほど。
「な…んでっ…」
 なのに、バーナビーは指を動かそうともしない。ただ、虎徹が自分で加えこんだだけだ。それ以上のことをする気配がない。
 なんで、なんで、と繰り返し零して、虎徹はバーナビーを見つめると、バーナビーはニヤリと笑っていた。
「自分でしてください」
「な…自分で…とかっ…なんでっ…」
「僕が見たいんですよ、虎徹さん。さっき僕の掌でマスターベーションしたようにしてくださいよ」
 折角記憶のかなたに追いやれそうだった痴態を思い出させられて、虎徹はうっすらと涙を浮かべる。
 バーナビーの手を借りて一人でするなんて、恥ずかしすぎる。先ほどは理性が飛んでしまったからしたけれど、今は一回吐き出したせいでわずかに落ち着いている。
 そんな中で自分で腰を揺らして、しかもバーナビーの手だけを借りてするのは、かなり…相当恥ずかしい。
 そんなのは嫌だと首を横に振るが、バーナビーは一向に動く気配はない。微笑んでみているだけだ。
 どうしようもなくなって、虎徹は両手で自分の顔を覆う。
 そして、おずおずと腰を回して中をほぐしていく。
 目を閉じ、顔を手で隠して、虎徹は段々と腰の動きが大きくなっていく。
 恥ずかしさでどうにかなってしまいそうになりながらも、一度動き出すと止められない。
「ん、んーっ…!!」
 腰を引いたときに指が増やされ、虎徹はびくりと身体を跳ねあげて指を締め付ける。
 増えた指を受け入れながら、虎徹はバーナビーに見つめられながら腰を動かし続ける。
 だんだんと疲れてきて、立てていた膝が崩れ落ちてくる。
 足を大きく開いたままベッドに投げ出し、腰だけを揺すり続けているとまた指が増やされる。
 かなり長い時間腰を振り続けていると、不意に指を引き抜かれて残念そうな吐息を零して虎徹は身体の力が抜けてベッドに沈み込む。
 顔を隠していた手の隙間から目を開けてバーナビーを見やると、バーナビーは虎徹のほうを見ながら左手の手首から掌にかけて、見せつけるように舌を這わせた。
 その姿にぞくりとしながら、さらに見つめると、バーナビーの左手が粘つく透明の液体で肘まで濡れていることに気づく。
「美味しいですね、虎徹さんの」
 その言葉にそれが自身が零した先走りとその他の液体だと気づいて虎徹は真っ赤になる。
 いたたまれなくなって再び目を閉じると、腰をぐいっと持ち上げられて驚いて手を顔から離す。
「虎徹さん、自分でいれてください」
 ぐいっと腰を上げさせた虎徹の身体の下にバーナビーは身体を滑り込ませる。
 バーナビーの身体をまたいで膝立ちにさせられると、今まで指をくわえていた秘蕾に熱いものが触れる。
「ほら、虎徹さん」
 促すように尻を叩かれるが、虎徹はフルフルと首を横に振る。
「無理…だっ…。こんなの…俺…こんなの、怖いっ…」
 まるで生娘のようにいい年をしたおじさんが震えながら、身体の中心を勃ち上がらせて訴える。
「い……ぁあああっ…!」
 訴えもむなしく、バーナビーはぐいっと虎徹の腰を引っ張るとそのまま怒張の上に腰を下ろさせてしまう。
 悲鳴じみた声をあげると、虎徹は白濁を放ってバーナビーの上に座り込んだ。
 わずかに眉をひそめ、バーナビーはさらに追いたてるように虎徹をせかす。
「入れただけじゃなくて、動いてくださいよ」
 ぺちぺちと尻を叩かれるが、虎徹はそれどころじゃなくて息を乱してバーナビーの上で息も絶え絶えになっている。
「む…りぃ…。バニー…のっ…深く、て…奥…まで届いてるっ…。奥まで犯されて…こんなの動けないっ…」
 ポロリと大粒の涙を零して訴えた瞬間、虎徹の中を埋め尽くしているバーナビーがさらに大きくなって、虎徹は身体をのけぞらせる。
「バニぃ…ちゃ…これ以上おっきいの…はっ…無理ぃ…」
 ぐずぐずと鼻をすすりながら訴えると、バーナビーは小さくため息をついた。