そろばん 複利計算                                                                      

                          【五乗根】

(a+b)^5=a^5+5a^4b+10a^3b^2+10a^2b^3+5ab^4+b^5 =a^5+b(5a^4+10a^3b+10a^2b^2+5ab^3+b^4)
      
  【単利法と複利法】
「単利法」とは、当初預けた元本に対してのみ利息がつきます。利息を再運用することはしません。

「複利法」はこれとは異なり、当初預けた元本についた利息をどんどん元本に組み入れて新たな元本とし、利息を再運用する方法です。
このため、利息が元本に組み込まれ、元本自体が大きくなっていきます。

  【単利法の計算】
単利法の計算では  a(1+nr)=b a(1+nr)=b が成立する
ただし,a は元金,r は年利率,n は年数,b は n 年経過時の金額。

初期状態:元金 a  
1年経過時の金額:「元金+この1年で増えた利子のぶん」で,a+ar=a(1+r) 

2年経過時の金額:「1年経過時の金額+この1年で増えた利子のぶん」で,a(1+r)+ar=a(1+2r) 
 
同様に考えることで, n 年後の金額は, b=a(1+nr) 

  【複利法の計算】
複利法の計算では  a(1+r) n =b a(1+r)n=b が成立する。
ただし,a は元金,r は年利率,n は年数,b は n 年経過時の金額。

初期状態:元金 a 
1年経過時の金額:「元金+この1年で増えた利子のぶん」で,a+ar=a(1+r) 

2年経過時の金額:「1年経過時の金額+この1年で増えた利子のぶん」で,
a(1+r)+a(1+r)r =a(1+r) 2 =a(1+r)^2

3年経過時の金額:「2年経過時の金額+この1年で増えた利子のぶん」で,
a(1+r) ^2 + a(1+r)^2r=a(1+r)^3

同様に考えることで, n 年後の金額は, b=a(1+r) ^n 


例)5石を5年貸し、12.4416石取るときは、年利何割の利息になるか。  

 ※石(こく)は容量の単位で、1石は10斗=100升=約180リットル。米1石の重さは約140〜150kg。
 ※外何割・・・元本の他に、何割かの利息 元本を10とするとき、利息は2、元利合計は12である
   内何割・・・元本の内に、何割かの利息。元本を8とするとき、利息は2となる。元利合計は12である 
         外2割を内に直すと 2 ÷ 8 = 0.25 となる。(利率は2割5分)

@本利ともに12.4416と置き、5石にて割れば2.48832となる。これを実に置く。


A初商に1と立て、法で1を5度掛け合い、実から引けば1.48832となる。


B「次の商に 0.2」を立てる。法に「初商 1」を4度掛け合い,5倍して 5 を法に置く。 
■b(5a^4+10a^3b+10a^2b^2+5ab^3+b^4) 
0.2(5x1^4 + 10x1^3x0.2 + 10x1^2x0.2^2 + 5x1x0.2^3 + 0.2^4) 


C「初商 1」を3度掛け合い,1 と「次の商 0.2」を掛け、10倍した 2 を法に加える。 


E「初商 1」を2度掛け合い,1 と「次の商 0.2を2度掛け合いした 0.04」を掛け、10倍した 0.4 を法に加える。 
 5x1x0.2^3 + 0.2^4  5ab^3+b^4)

F「初商 1」 と「次の商 0.2を3度掛け合いした 0.008」を掛け、10倍した 0.04 を法に加える。 


G法の 7.4416 と 「次の商 0.2」を掛け合い 1.48832 と成る。


H法の7.4416 を実より引き、実を 0 とする。商の 1.2 で、外2割 が求める解です






               

                     【現代の方法で解を求める】

 2.4832 の五乗根を求めよ。

                  ______________________
@ 「小数点を基準」にして「2桁ずつ」区切っていく。    5√2.U48U83U2 

A 一番左の数は2で、5乗して 2 より小さい整数 1 を求める。
B 1^5=1を2より引き、1を出す。1の横に上のを下ろし、48832 を作る。

         __1__U2_______________
         5√2.U48U83U2 
a^5          1
--------------------------            --- U------------
b(5a^4+10a^3b+10a^2b^2+5ab^3+b^4) より b=0.2 とする。 1 U48U83U2
0.2(5x1^4 + 10x1^3x0.2 + 10x1^2x0.2^2 + 5x1x0.2^3 + 0.2^4)   1 U48U83U2
--------------------------            --- U------------      
                     0 
                                           
 ∴ 2.4832 の五乗根 の立方根の解は 1.2_です。





                 ◆「算法闕疑抄」第2巻「開立法」に記載された例題◆

寸(1寸=約 30.303 mm)単位の体積が 1860.867坪(1坪=約3.305 78m2)ある。
これを開立すれば一辺の長さは、いかほどか?

■「開立法」における、そろばん上の表記■


「法」・・・分母の数にあたるもの。
「商」・・・割り算の結果。
「実」・・・分子の数にあたるもの。





  【開立法の以下の代数式展開を用いる】
  a^3+b(3a^2+3ab+b^2)+c{3(a+b)^2+3(a+b)c+c^2}
                   
@実に 1860.867 と置く{「「小数点を基準」にして「3 桁ずつ」区切っていく。1U860.U867。 位を見て 



Aまず千の位の1より 「一の位の商 10寸(一尺)」が立つ。   
 ■ a^3=1 より a=1         


B「一の位の商」を3乗して1000坪を商より引く、残り 860.867


Cまず「二の位の商に 2」を立てる。法1に「一の位の商 10」を2乗して,3掛けして 300 を法1に置く。 
 
 ■b(3a^2+3ab+b^2) より (3x10^2+3x10xb+b^2)xb=(300+30xb+b^2)xb ≦ 1860.0867
  b=2の場合 (300+30x2+2^2)x2= 728
  b=3の場合 (300+30x3+3^2)x3= 1197 ・・・ 860 を超える為  b=2 とする




D「一の位の商 10」と「二の位の商 2」を掛け合い 20 を、3掛けして 60 を法1に加える。
  「二の位の商 2」を2乗して,4 を法1に加え、法1を 364 とする。

 


E「二の位の商 2寸」を法1と掛け合い、法1を 728 とする。




F次に「二の位の商に 3」を立てる。法2に「一の位の商 10」を2乗して,3掛けして 300 を法2に置く。 




G「一の位の商 10」と「二の位の商 3」を掛け合い 30 を、3掛けして 90 を法2に加える。
  「二の位の商 3」を2乗して,9 を法2に加え、法2を 399 とする。

 


H「二の位の商 3寸」を法1と掛け合い、法2を 1197 とする。実の 860 を超える為
   「二の位の商」 を 2寸とする。法1の 728 を実より引き、実を 132867 とする。




Iまず「三の位の商に 2」を立てる。法1に「一の位の商 100 に二の位の商 20」を加え、2乗して(120×120)から
  3掛けして 43200 を法1に置く。  
 
 ■c{3(a+b)^2+3(a+b)c+c^2}より  {3(100+20)^2+3(100+20)C+C^2}xC={3(120)^2+3(120)C+C^2}xC=
  {3(14400)+360C+C^2}xC=(43200+360C+C^2)xC
  C=2の場合 (43200+720+4)x2=87848
  C=3 の場合 (43200+1080+9)x3=13286 ・・・132867 と等しい為  C=3 とする





J「一の位の商 100 に二の位の商 20」を加え 120 を、3掛けした 360 を「三の位の商 2」倍 720 を
  法1に加える。 「三の位の商 2」を2乗して,4 を法1に加え、法1を 43924 とする。




K法1を「三の位の商 2」倍した 87848 を法1に置く。




L次に「三の位の商に 3」を立てる。法2に「一の位の商 100 に二の位の商 20」を加え、2乗して(120×120)から
  3掛けして 43200 を法2に置く。  (43200+1080+9)x3=132867 c{3(a+b)^2+3(a+b)c+c^2}




M「一の位の商 100 に二の位の商 20」を加え 120 を、3掛けした 360 を「三の位の商 3」倍 1080 を
  法2に加える。 「三の位の商 3」を2乗して,9 を法2に加え、法2を 44289 とする。




N「三の位の商 3寸」を法1と掛け合い、法2を 132867 とする。実の 132867 と等しい為
   「三の位の商」 を 3寸とする。




O法2の 132867 を実より引き、実を 0 とする。商の 12.3 寸が、求める解です









                     【現代の方法で解を求める】

 1860.867 の立方根を求めよ。 
 
   (a+b)^2= a^2+2ab+b^2 ∴c{3(a+b)^2}=3a^2c+6abc+3b^2
 (a+b+c)^3=.a^3+3a2b+3ab^2+b^3+3a^2c+6abc+3b^2c+3ac^2+3bc^2+c^3=
  a3+b(3a^2+3ab+b^2)+c{3(a+b)^2+3(a+b)c+c^2}
     _____________________
@ 「小数点を基準」にして「3桁ずつ」区切っていく。 з√1U860.U867   
  
A 一番左の数は1で、3乗して 1の立方根の首位1 を求める。
B 1^3=1 を1より引き、0 を出す。0の横に上の860を下ろし、0860 を作る。
 
      __1U________________
      з√ 1U860.U867
  a^3      1U                                                
--------------------------     --- U----------------------
      0U860U

C b(3a^2+3ab+b^2)より  (3x10^2+3x10xb+b^2)xb=(300+30xb+b^2)xb ≦ 1860.0867
  b=2の場合 (300+30x2+2^2)x2= 728
  b=3の場合 (300+30x3+3^2)x3= 1197 ・・・ 860 を超える為  b=2 とする
 

      __1U____2U_________________________________
     з√ 1U860.U867
  a^3    1U860 U                                        
--------------------------    --- U----U------------------
  b(3a^2+3ab+b^2)      0U860U      
  U728U
--------------------------    --- U----U------------------
      U132U867


D c{3(a+b)^2+3(a+b)c+c^2}より  {3(100+20)^2+3(100+20)C+C^2}xC={3(120)^2+3(120)C+C^2}xC=
  {3(14400)+360C+C^2}xC=(43200+360C+C^2)xC
  C=2の場合 (43200+720+4)x3=87848
  C=3 の場合 (43200+1080+9)x3=13286 ・・・132867 と等しい為  C=3 とする


      __1U____2U_____3___
      з√ 1U860.U867
  a^3     1U860 U                                       
--------------------------    --- U----U------------------
  b(3a^2+3ab+b^2)      0U860U      
  U728U
 -------------------------     --- U----U------------------
 c{3(a+b)^2+3(a+b)c+c^2}        U132U867
                            U132U867
 -------------------------    --- U----U------------------    
  0



 ∴ 1860.867 の立方根の解は 12.3 です。