ザァァァァ…
激しい雨が降り注ぎ、海は荒れていた。
「急げ!早く!!」
「もうそこまで迫ってンだろうが!」
真夜中。嵐の中で男達は女子供が乗り終わるのを確認すると船に乗り込む。
「おい、お前も早く乗れ!」
「いや、まだ船は一隻ある。先に行ってくれ」
「は?バカか!お前…なんのために…!」
「わかってンだろ?これは"仕事"だぜ、ザック」
「………」
「じゃぁ10分…いや5分待っててくれ。5分たっても俺が来ない時は」
「もう5分は待たねぇぜ?」
「ふっ」
「はは」
ブォォォ…
エンジンを稼働させ、船は灰色の海へと進み出す。一隻の船と一人の男を残して。