京九鉄道について

京九鉄道とは?

京九鉄道とは、中国大陸を縦断し、北京(北京西駅)と九龍(香港・紅[石勘]駅)を結ぶ全長2600kmの鉄道の総称だ。実際の運行は、北京→深センを中国国鉄が行い、深セン→九龍を九広鉄路(KCR)が行っている。(北京→広州間は京広鉄道という呼び名もある)

この鉄道は香港の中国返還と同時に開通し、1日おきに運行されている。香港は中国に返還されたと言うものの、1国2制度(現在はマカオを含めて3制度?)になっており、香港と本土との境界(深セン)では、出入国管理が行われている。よって、事実上の国境越え鉄道であると言える。なお、列車は中国本土側の車両乗務員で運行されている。

時刻

1日おきの運行であるが、偶数日に運行するのか、奇数日に運行すのかは、その月や方向によって異なる。以下の表で知ることができる。

なおこの直通列車のほかに、香港はつ広州行きは2時間に1本のペースで列車があるほか、広州発北京行きも1日1〜2本ペースで列車が出ているので、香港〜北京の直通列車が取れなかった場合や、運行日以外に出発したい場合には、利用価値が大きいだろう。なお香港発広州行きはもちろん、広州発北京行きも香港の旅行社で予約・発券することができる。

2000年の運行予定
行き先 列車番号 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
九龍→北京 K98 奇数Odd* 奇数Odd* 偶数Even* 偶数Even* 奇数Odd* 偶数Even* 偶数Even* 奇数Odd* 奇数Odd*
北京→九龍 K97 偶数Even* 偶数Even* 奇数Odd* 奇数Odd* 偶数Even* 奇数Odd* 奇数Odd* 偶数Even* 偶数Even*

時刻表
駅名 列車番号
K97 (北京→九龍) K98(九龍→北京)
北京西 09:11 depart 18:58*arrive
鄭州 15:47 arrive 12:16*arrive
漢口 21:03 arrive 07:03 *arrive
武昌 21:26 arrive 06:36*arrive
長沙 01:16*arrive 02:47*arrive
韶關 06:57*arrive 21:05 arrive
廣州 09:24*arrive 18:41 arrive
廣州東 09:40*arrive 18:00 arrive
東莞常平 10:52*arrive 16:14 arrive
紅[石勘] 13:10*arrive 15:00 depart

設備

高包(Deluxe Soft Sleeper)

この列車で最高級の車両。2人部屋の個室(もちろん鍵もかかる)になっており、手すりなどは金ピカでまるでホテルのよう。この車両担当の車掌の服装も、ホテルのようにきっちりしている。この車両の乗客のみが使えるシャワーもある。トイレや洗面台もきれいだった。

客層は西洋系旅行者や香港の人が多かった。

軟臥(Soft Sleeper)

中レベルの車両。4人部屋の個室になっていて、部屋の中は2段ベッドが向きあうように配置されている。設備はかなり満足できるもので、サンダル、BGM、ハンガー、音楽用イヤホン端子、ごみ箱、テーブル、花、テーブルクロス、室内灯、読書灯、ポット(お湯入り)など、かなりのものがそろっていて不自由しない。

荷物もベッドの下と廊下の上に置けるようになっており、あわせるとかなりのスペースになる。

部屋のドアには鍵がかかるようになっていて、内側からは簡単に鍵がかけられるほか、食堂車などへ行くときは、車掌さんに頼めば鍵をかけてくれる。なお車掌さんは1両につき1人が担当になっているので、その車両の担当に頼まなければ鍵の開け閉めはしてもらえない。(各車両に車掌室があるので、行けばだいたい居るはず)

トイレや洗面台は、各車両ごとについている。軟臥の洗面代は、こまめに掃除もされているのできれいだし、かわいい絵も飾ってあってなかなか気分がいい。石鹸もちゃんと補充されている。しかし、トイレは・・・あまり座りたくないような便座だった。

客層は香港、日本、西洋系と、いろんな人がいた。

硬臥(Hard Sleeper)

3段式寝台になっている。ほかの車両とは異なり、個室形式にはなっていないのでドアはない。設備はよく見ていないが、たぶん寝るだけの部屋ではないかと思う。広さも狭いので、これで28時間の連続乗車はは少ししんどそうだ。

乗客は中国系の人が多いようで、ヒマワリの種の殻が床に散乱していたりする。しかし、たまに西洋系バックパッカーの姿もあった。2日目の昼ごろに覗きに行ったところ、ほとんどの人は昼寝や麻雀などをして過ごしていた。

食堂車



編成表

←香港 編成表 北京→
10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車 先頭車
軟臥車 軟臥車 軟臥車 軟臥車 軟臥車 高包車 食堂車 硬臥車 硬臥車 硬臥車 牽引車

料金

駅名 種別
大人 子供 (5 - 9歳)
高包 軟臥 硬臥 高包 軟臥 硬臥
上段 中段 下段 上段 中段 下段
北京西 $1191 $934 $574 $587 $601 $788 $604 $366 $380 $393
鄭州 $969 $776 $480 $490 $499 $630 $491 $301 $311 $320
漢口/武昌 $793 $651 $405 $412 $420 $505 $402 $248 $255 $263
長沙 $649 $548 $343 $348 $353 $402 $329 $205 $210 $215
韶關 $504 $445 $280 $284 $287 $301 $257 $161 $166 $168
廣州 $300 $300 $190 $190 $190 $150 $150 $95 $95 $95
廣州東 $300 $300 $190 $190 $190 $150 $150 $95 $95 $95
東莞常平 $200 $200 $140 $140 $140 $100 $100 $70 $70 $70

切符の買い方

切符は香港→北京に限り、60日前から販売される。その他の区間は、30日前からの販売になる。往復乗車するばあいは、・・・切符の買い方にはいくつかの方法がある。

日本の旅行会社で買う

普通の旅行会社では難しいが、アジア(中国)に強い旅行会社ならば、切符の手配を依頼することができる。この場合、提携先の中国や香港の旅行会社に予約発券を依頼するので、高額な手数料と時間が必要になる。しかし、日本であらかじめ予約を確保でき、しかも日本語ですべてを依頼できるメリットがある。

京九鉄道を扱ってくれる旅行会社(リンク先とのトラブルは責を負いません)
ピースイン・ツアー http://www.pitt.co.jp/
アクロストラベル http://www.across.co.jp/

香港のKCR窓口で買う

KCRのホンハム駅の窓口をはじめ、いくつかのKCR-EastRailの駅窓口で購入することができる。電話予約もあるが、広東省の駅以外(北京など)への切符は電話予約では買えないらしい。電話予約の場合は、クレジットカード決済になるが、窓口の場合はカードは使えない。
http://www.kcrc.com/

香港の旅行会社で買う

一番おすすめの方法はこれ。予約がすぐに確保できる上、日本の旅行会社を通して予約するより、手数料も安い(中国旅行社は無料?)。中国旅行社では、来店し、なおかつ現金決済でないと依頼をできないようだが、Tigilion Travelの場合は、WEBサイトの予約フォームまたはEメールを使って、日本から依頼をすることができる。

Tigilion Travelの場合の依頼方法
  1. 専用フォームまたはE-mailで申し込む。(すべて英語で。名前、住所、電話、FAX、希望列車、希望座席、希望日、人数、カード支払い希望の旨を伝える)
  2. E-mailまたはFAXで返事が届く。返信されたFAXには、請求書とカード決済票がついているので、英語で記入&サインし、クレジットカード(VISAまたはマスター)の表裏両面のコピー、そしてパスポート(写真があるページ)を添えて返信する。
  3. 予約や空席確認は、上のフォームが返送されないと行われない。予約ができた場合は、メールで返事が届く。
  4. 香港のオフィスでチケットを受け取る。支払いは上のフォームをFAXで返信した時点で行われているので、営業時間内に受け取れば、出発直前でも問題ないだろう。(要確認)

・Tigilion Travel http://www.tiglion.com/
・中国旅行社 http://www.ctshk.com/
なお、HIS香港では京九鉄道は扱っていないとのことだった。

中国で買う

ごめんなさい。良くわかりません。1週間前からしか買えないという噂があったり、乗車駅でしか切符を買えないという情報もあるので要確認だ。オンライン化されておらず、駅ごとに配分があるという情報もある。

出入国手続き

中国と香港には事実上の国境が存在するので、直通列車の乗客は国際線の飛行機に乗るのと同じような出入国手続きをしなければならない。

香港→中国

まずホンハム駅の改札口で、切符とパスポートを見せてチェックインする。これは出発45分前に始まり10分前に終了するので、余裕をもって出かけたい。
出入国検査場

チェックインがおわると、すぐに出国審査がある。空港と同じような作りになっているので、パスポートと出国カード(入国時に書いた入国カードの控え)を出して手続きする。

出国審査の次は税関が待っているが、特に何も言われることはないだろう。税関を過ぎると、いよいよホームへ降りることができる。切符に書いてある号車番号の階段を降りれば、青・赤・白に塗られた中国国鉄の看板列車、K98が待っている。

入り口の車掌さんに切符を見せて車両に乗り込む。中に入ると別の車掌さんがチケットを札に交換してくれる。

列車が出発して40分くらい経つと、○湖という駅をゆっくり通過する。この駅を通過するとすぐに国境があり、あっけないほどに通過して深セン駅に停車する。しかし、ここでは運転手が交代するだけ?で、乗客の乗り降りはない。

深センを過ぎて30分ほど経つと、東莞(Dongguan)という駅に停車する。ここで乗客は全員すべての荷物を持って列車から降り、出国審査と税関検査を受ける。(停車後に車掌が呼びに来る)

荷物をすべて持って駅舎に入り、そこで入国カードと税関申告書に記入する。記入後は、入国審査と税関検査を受ける。検査後は、すべての乗客の検査が終わるまで、待ち合い室で待たされる。この間約10〜20分だ。駅舎の中には免税店もある。

すべての乗客の検査がおわると、ホームへ戻る扉が開放される。これでようやく列車に戻ることができる。この駅の停車時間は1時間もあるので、出発までは写真を撮ったりしよう。この先の駅は停車時間が短い(約3〜5分)ので、写真をゆっくり撮れるチャンスはなかなかない。

中国→香港

上と逆の手続きを踏むことになる。

ビザの取り方

中国外交部の入口
香港やマカオへの入国には、通常の短期観光ならビザは必要ないが、中国への旅行には必ずビザを取得しなければならない。観光用Lビザは、日本では個人申請することはできないので、必ず旅行会社を通じて申請することになる。

しかし問題は申請に必要な手数料と期間だ。日本の旅行会社に頼む場合、通常は手数料として6000円〜15000円かかり、さらに期間も1〜3週間必要になる。

しかし、香港でビザをとる場合は事情が違ってくる。香港の中国外交部では個人でビザを申請することができ、さらに手数料も安い。翌日受け取りの場合は100HK $(約1400円)、当日受け取り(1時間後に受け取り)ならば、特急料金150$を追加して合計250$でビザを容易に取得することができる。

香港の旅行会社でも申請することができるが、この場合は手数料が倍近く必要(1 時間申請でHK$380)なので、直接外交部へ行ったほうがいいだろう。

外交部の窓口が空いている時間は、平日(月曜〜金曜)の9時〜12時と14時〜17時だけだ。毎日午前11時までに申請すれば、午前中(12時まで)にビザを取得することができる。

もし土日にどうしてもビザを取得する必用がある場合は、中国旅行社ならば土曜でもビザをその日のうちに取得できる(日曜はどうだか不明)。他の旅行会社の場合は、結局外交部まで係員が出向いて手続きしているようなので、土日の申請はできないか、または手数料が高額らしい。

外交部の住所は以下の通り。最寄り駅はトラムか地下鉄の灣仔駅(ワンチャイ:香港島)だ。
5Fl., Lower Block, China Resources Bldg., 26 Harbor Rd., Wan Chai
なお、発行日から3ヶ月以内に2回(1回につき最長30日)滞在できる、2次ビザ(写真)も申請できる。この場合の手数料は150HK$になる。