Shakespears's Sonnet No.3 英語定型詩を文語定型詩に翻訳
高校3年生の英語授業での取り組み。国語科教員との共同授業で、定型詩→定型詩という制約付き翻訳に挑戦した。詩の内容には男女両方の視点が入る方が望ましいので、各チームとも男女混合にした。(JP = John Pearlson)
原詩 (弱強5歩格 脚韻ABAB CDCD EFEF GG) | 訳詩M,I&M (七五調) | 訳詩A&H(七五調) |
Look in thy glass and tell the face thou viewest, Now is the time that face should form another, Whose fresh repair if now thou not renewest, Thou dost beguile the world, unbless some mother. For where is she so fair whose uneared womb Disdains the tillage of thy husbandry? Or who is he so fond will be the tomb Of his self-love, to stop posterity? Thou art thy mother’s glass, and she in thee Calls back the lovely April of her prime; So thou through windows of thine age shalt see, Despite of wrinkles, this thy golden time. But if thou live rememb’red not to be, Die single, and thine image dies with thee. |
鏡の中の 汝が顔に 似た子を作る 時来たり 汝が顔後に 伝えざらば 母になること 叶わんや なべて女は その腹を 耕さるるを 欲するに 汝を愛し すぐるが故 耕さぬこそ 愚かなれ 汝は母に おぼゆれば その面影と 重ならん 汝が子もなん 同じかる 汝が顔に おぼえたり しかるに己が 子をもたず 独り死ぬるは いとわびし |
鏡の前で 語りかけよ 今子をつくる 時なりと 君の顔子に 伝えざらば 女君を見 嘆くべし 処女鳴る腹を 君の手で 触れらるるのを 皆望む されど己を 愛す故 子を作らぬは 愚かなり 母は愛しき 子の顔に 若き己を 認めたり 君も皺増え 年とれば 子に若かりし 君を見ん されど子がなく 孤独に生き 面影消ゆるは 悲しきことかな |
訳詩M&M(七五調) | 訳詩H&Y(七五調) | 訳詩JP(七五調) |
鏡に映る 我が心 吾子に出会う 夢を見る 君の決意が ゆらぐなら 君は女性の 夢を断つ 少女が歩む その先で 君を恋しく 待ちわびる 慈愛に満ちて 儚くも 吾子への夢断つ 愚人なり 母に似てきた 君を見て 母はかつてを 思い出す 年老い君も 皺が出て 母のあの日を 理解する 他と交わらず 時がたち 君の姿は 消えてゆく |
鏡の中の 汝にいはく 今こそ汝が子を たまふべし 汝にその気だて あらざらば 女の本意は かなはぬや 誰か嫌はん 汝の子 腹にはらみて 生まんこと しかるにおのれを 愛づあまり 逢はざらんこそ いみじけれ 汝の汝の母に おぼゆれば 母は汝が顔 形見とす おのも同じく ふりゆかば さだめて汝が子を 形見とせん しかるに汝が子 生まざらば 汝の形見 残らざりけり |
鏡に映る 汝が顔に 似た子を作る 時来たる ただ汝が姿 消えゆけば 世の娘らは 嘆きなむ 汝が身を愛し 溺るるは 世継をもうけぬ 愚か者 汝が子を宿す 喜びを 抱かぬ娘 ありたるや 汝が鏡には 母の顔 母の目には 若き日の 己の姿ぞ 映りける 汝が老境に 汝が子にも 汝が子をもうけず 世を去れば 汝が面影を 拾う者なし |