石はムーンストーン、サンストーン(2.73−980)。この作品のスタートはムーンストーン。
自分の中でムーンストーンにはそれほど魅力を感じなく、
ただ、心のどこかではムーンストーンとサンストーンを一緒に使いたいという気持ちがあった。
でもそれは本当に漠然とした気持ちで、作ってみたいデザインがあったわけでもなんでもなかった。
そんな時に、たまたま宝石展に行った人から「いいのがあったらどうぞ」と言われて目についたのがこの石。
4石セットだったのだけど、その中の一つがメチャクチャすごい透明感とレインボーで「これだ!」と思ったわけ。
で、ムーンストーンは絶対にこれを使おうと決めたんだけど、具体的なデザインがあったわけでもなく、
一緒に使おうと思っているサンストーンもまだ手元にはなく・・・結局そのまま半年くらいが経った。
その後、たまたま石の中の内包物が虹色に輝いているこのサンストーンを見かけて、「これだ!」とまた思ったわけ。
本来サンストーンていうのはもっとキラキラしたオレンジというか金色っぽいものだと思う。
これは質的には全然良くないものだと思うけど、でも、私としたらムーンストーンのレインボーとサンストーンの虹色が完全に
結びついた感じで、もうこの石とこの石は一緒に使うしかないでしょ、くらいな気持ち。
ただ、そこからがまた時間が掛かった。一緒に使いたいけど、いったいどういうふうに使ったらいいのか思い浮かばない。
やっぱりイメージの基盤となるのは「月」と「太陽」だから・・・なんていうところは何度も考えたんだけど、
私の中では「表」「裏」みたいなイメージもあり・・・でも、「表」「裏」なんていう時点で「立体」的なものにせざるを得ない。
どうすりゃいいんだ・・・と考えていたら、ふと「表も裏もない」メビウスの輪が思い浮かび、
続いて無限のマーク?「∞」が浮かんだ。あれ?∞てメビウスの輪とは違うよね?と思いながら、実際紙で作ってみた。
で、出来たのがこれ。↓
無知にもほどがあるけど、自分の中ではメビウスの輪を半分に切っていくと∞みたいになるのかな、
鎖でつなげたみたいになるのかなぁなんて思っていて・・・でもやってみると大きな輪になるだけ・・・。
どうすりゃいいのかな、しょうがないな、そのまま使うか・・・ということでこんな感じになりました。
他、石の留め方をどうしようかとか、ポンチで打つのをどうしようかとか、出来上がりからは想像も出来ないくらい
色々考えた。
最初は爪で留めようかとも思ったんだけど、あえてシンプルな方がいいかなとか、シンプルにするんだったら
全面ピカピカの方がいいかなとか・・・でも裏表のないことをちょっとアピールしたいなとか・・・
本当にものすごく考えたんだけど・・・結果として、かなり普通な感じ。
あまり平面的な感じにしたくなく、サンストーンの上に帯が掛かるぐらいにしたかったんだけど、
そうなると石留めをどうしていいのかわからない。だから石を留めてから帯の位置を動かすか・・・
と思ってそれを実行したんだけど・・・・あまりに力をかけすぎて・・・ロー付けした部分がはがれてきてしまった。
かなりショック・・・。
そしてそれ以上にショックだったのが・・・・ムーンストーンに枠を合わせている時に石を割ってしまったこと。
今までにも何度も色々な失敗をしてきてはいるけど、たぶん今回が一番ショックだった。
自分の中ですごく思い入れがありながら、それを自分で台無しにしてるんだもの・・・。
とりあえず鮮やかなレインボーはそのままだけど・・・透明感は完全になくなってしまった・・・。
本当に石に対して申し訳ない。
だから、なんとかちょっとでもそれをフォロー出来たら、なんとかリカバリしたいと思い、
最後まで力いっぱいがんばりました。(ま、がんばったところで石が元通りにはならないんだけど。)
自分としては石の選択、石に対してのデザインとか、そういう全体的なバランスのとれた作品だと思っていて、
たぶん今まで作った中で一番納得出来るものだと思う。
(今までにもそう言ったことがあったとしたら、それは「現時点で」ということ。)
ただ、せっかく納得出来る作品だったにもかかわらず、技術的に納得出来ないことが多すぎて・・・
結果として、満足度はかなり低い。これで満足度が高ければ、かなりの達成感、
「やりきった感」があるんじゃないかと思うのだけど・・・それがないのが残念。