朝靄の小道

前作の「枝豆」に気をよくしたのと、 あまりきれいじゃない石をはやく使ってしまいたい気持ちとで考えたものです。
なんと最初の計画ではものすごくシンプルでした。
朝靄の小道の元になったデザイン画
 石はムーンストーンとグリーントルマリン(1.24ct)
 ムーンストーンは、先生が
「使えそうなのがあったらあげるよ。」
といって見せてくれた中にあったもので (ちょっと宝石としてはあまり良くないもので、内包物やキズ、欠けがある石が大量に無造作に空き缶に入れられていた) 私はまだ基本形の指輪をつくっていた頃だったので、ちょっと蚊帳の外みたいな感じで見ていたのだけど、 まわりのベテランさんが
「石を使うのなんてすぐだよ、これもらっときなよ。」
と言って渡してくれたものです。 あれから何年か経ってようやく使う時がきたわけです。
 それからグリーントルマリンですが、これは自分の持っている中で、色はきれいだけど輝きには欠けるかな・・・という石だったので、 このムーンストーンと同レベルくらいかなぁと思いこれにしました。 私としてはあまりレベルの違いすぎる石を一緒に使うのはバランスが悪いような気がするので。

 最初の予定では、あまり長い時間をかけないで(次の課題に入る前の寄り道みたいな感じで)やるつもりだったので、 とにかくシンプルなものにしようと思ってつくり始めたのですが、 やはりつくっていくうちに段々悪い所を隠したくなってきて、 結局沢山貼ることになりました。

 最初、ムーンストーンは上下を逆に入れるつもりで、自分の中のイメージも「宇宙」みたいな広がり?のあるものだったのですが、 次第に「雪が降っている」とか「霧がかかっている」みたいなイメージかなぁと思うようになり、 結局は「遠くまで見通せないような、ちょっと草木の茂った細い小道の朝」のイメージでいこうと思いました。

 ツルみたいにくるくるしているのは、前に先生が幅の広い板を細くするために切ってくれた切れ端で、 葉っぱは1mmくらいにのばした板をはさみで切ったものです。 はさみで切った時に出来た曲がりそのままで特に打ち出しもしていません。
 ムーンストーンの台とトルマリンの台は、当初はもっと隙間を空ける予定だったのですが、これが実に上手くいかなく、 結局しょうがなく今の形になりました。この部分に関してはちょっと残念。

 まぁ、今回はパーツを作って貼るという初めてのことにチャレンジし、一応結果にも納得しているので、 全体的にも納得のいく出来だと思っています。
 ただ、最初に考えたものと出来たものとの差(というのかな?)があまりにも大きく、 そういうのがちょっとなぁと思います。
(先生は「つくっていくうちにデザインが変わっていくのは構わないし、それが手作りのいいところでもある」とは言っているのですが・・・)