「………………………………」
「………………………………」



コイツの唇はヤらしいと思う。



「………………………………」
「………………………………」



唇から微かに覘く、赤い舌。
スプーンに乗せられた生クリームを口に含む瞬間。
そして…。



「…ん〜!んまぃ〜!!」



スプーンを口から出す瞬間…。
ペロリと赤い舌が垣間見え、妖しく蠢く。



「ん?…んだよ、ジロジロ見たってあげねェからな」
「…要るか、ボケ」



口が開く瞬間。
赤い舌が覘く瞬間。
…ったく、野郎の唇をイヤらしいと思う日が来るとは思わなかったぜ。



「…お前さ」
「んぁ?何?」
「本当に好きだよな、甘味」
「そりゃそうだよ〜銀さんに甘味、甘味に銀さんだもん」
「…意味解んねェ」
「代名詞ってくらい好きって事」
「……あっそ」



そのしゃべる口の動きが。
動く舌が。
…堪らなく、俺を誘う。



「…ぁ」
「ん?だから何だよ」



その時気がついた。
口の端についた、生クリーム。



「な、何だよ…?」
「…動くな」
「へ…?」



スっと出した手。



「…………………………………」
「え?へ?な、何?」



しかしそれは直前で動きを止めて。
手を引っ込めると、俺はテーブルに手を着いて。



「ひ、土か…」
「…動くなよ」



テーブルに身を乗り出して。
銀時に顔を近づける。
唇まで、後数センチ…。



「ブっ!!…な、何しやがる!!!」
「な、何しやがるはこっちの台詞だ、この野郎!おまっ…ココ何処だと思ってんだよ!!」
「何処って…喫茶店だろうが」
「そうだよ、喫茶店だよ!公共の場だよ、この馬鹿っ!!」
「だから…何だよ?」
「おまっ…!こんな公共の場でチューしようとしやがる奴が何処に居る!アホですか!!」
「ちっげーよ!口の端に生クリーム着けてる馬鹿が居やがるから、取ろうとしたんだろうが!!」
「はぁ?!生クリーム…?」



俺の言葉に、銀時はようやく口の端に気づいたのか。
それを服の裾で乱暴にゴシゴシと擦る。



「く、口で言えば良いだろうが」
「…ふん。良い年こいて、みっともねェ」
「う、うるせー!つうか、それにしたって顔近づけてどうやって取るつもりだったんだよ!」
「そりゃ勿論く…」
「あぁ、もう言わなくて良い!…つまりは叩かれたってしょうがねェって事だろーが」
「…おい。手にも着いてんぞ」
「んぁ?…あぁ、本当だ、もったいねー!」
「…っ!」



手の甲についた生クリームを。
赤い舌が。
ペロリと舐める。
…あぁ、クソっ!



「…食ったな?」
「んぁ?あぁ、パフェ?食った食った」
「…じゃぁ、行くぞ」
「へ?」



パシっと伝票を取って。
空いてる手で銀時の手首を掴む。



「ちょっ、ちょっと土方君?!」
「ココ出たら…ヤりに行くぞ」
「へ、はぁ?!な、何で急に…!!」
「…お前が悪ィんだからな」
「な、何でよ?!意味解んねェんだけど?!」
「うっせー。今日はココで、シてもらおうからな」
「っ?!?!」



ツぃ…と。
赤く、ぷっくりとした唇と指でなぞる。
キスをすれば、甘い味のする。
ルージュをひいてる訳じゃねェのに。
微かに赤い、お前の唇。
その唇が好き。
でも。
それ以上に。



「…白状して堪っか」
「は?何が??」



お前にベタ惚れだよ。
…銀時。





・END・
2007/03/05UP