どっから来たのか迷い犬。
形は綺麗だからどっかの飼い犬だろうと、仕方ないので張り紙を出して。
飼い主が見つかるまでウチに置いてやろうと思ったけど。
ウチにはでっかい犬・定春が居るから。
大丈夫かな〜と思ったけど。
定春も最初の方は興味を引かれたのか、クンクンと何度か匂いを嗅いで。
「………………」
「ぉ?お、お〜ぉ?」
相手を認識したのか。
プィっとそのままいつもの日当たりの良い窓辺に行って、フワっと欠伸を1つ。
「…興味ねェってよ」
ひょいっとそいつを抱き上げて。
大きなクリクリした瞳を覗き込んで言えば。
本人(本犬?)も解ってないのか。
「…くぅ〜ん」
と1鳴き。
そう言えば…。
「…お前雄?雌?」
ひょいっとそのまま上に持ち上げて…。
「おっ、雄かぁ…じゃぁ定春はますます興味な……」
ガスっ
「………………銀さんも男なんだから良いじゃない」
見事な後ろ足キック?を顔面にお見舞いされた。
…良いじゃない、男同士なんだから。
「…………………………」
床に降ろしてやれば。
トタトタと歩いて、ヒョイっと身軽にソファーの上へ。
ファァと欠伸をして、前足に顔を乗せて、眠りの体制。
…あらあら、お眠ですかぁ?
「…なぁなぁ、そっちじゃなくて、こっちじゃダメ?」
そこはいつもアイツが座る場所なんだよなぁ…。
俺がそう言っても、このお犬様は聞く耳持たぬとばかりにプイっと横向かれてしまった。
「…参ったなぁ」
今日は確かここらの巡回の予定だったよなぁ…。
休憩と称して多分来る。
ココに…。
「まぁ、アイツをあっちに座らせれば良いんだけどね?」
な〜んか言われそうなんだよなぁ。
「俺より犬優先なのか」とかって。
「犬にまでヤキモチ妬かれてもねぇ?」
クスクス笑った。
あ〜ぁ、そう言ってる顔、ありありと思い浮かぶ…。
「…ん?……お?お、おぉ?」
なんて笑ってたら。
起き上がった犬が銀さんのお膝にヨジヨジ。
…登って来ちゃったよ、おい。
「…で寝ちゃうのね」
そして今度はそこで眠る体制を作っちゃう。
「…ますます妬いちゃうよ?アイツ」
サラリと柔らかい毛を撫でる。
それが気持ち良いのか、クゥクゥと鼻が鳴る。
…うぅ〜ん、可愛い。
そう言えば、アイツも俺が髪撫でると、気持ち良さそうに目ぇ閉じるよなぁ…。
「……顔、つうか目は似てないのにね」
アイツはこんなクリクリした目してない。
…どっちかって言うと、瞳孔開きっ放し…。
「仕草が似てるのかな?」
クスリと笑って。
「気持ち良さそうにしてるトコ悪ぃんだけど」
ひょいっと抱き上げて。
「…
チュっと鼻にキスをして。
「っと。…そう言えば名前ないなぁ、お前」
暫し考えて。
「…ごめんな、『トシ』」
もう1度、鼻にキスして。
フフっと笑う。
「邪魔するぜ」
「おっと。…多串君のお出ましだ」
…犬になら素直に呼べるのにな。
「さっきのは内緒な」
「ワン!」
・END・
2006/06/08UP