「……………………………」
昼飯を食って。
退屈な午後の授業がスタート。
窓際一番後ろの俺の席は、ポカポカと陽気な午後の日差しが差し込んで来て気持ち良い。
…あ〜ぁ、このまま昼寝出来たら、すっげー幸せだろうなぁ。
そんな事を思っていたら。
「……………………………」
俺の席の前、…トシの席。
きちんと前を見据えて、先生が書く黒板の文字をノートに書いてる。
…真面目だよなぁ、トシは。
「……………………………」
ふと思い出す。
そう言や、今日は月に一度の部活の休みの日だ。
…そ〜だ!
「……………………………」
ゴソゴソと机の中を探って。
ピっと引き千切った、メモ用紙。
それにカリカリと文字を走らせて。
「…トシ」
小さく呼んで、ポイっとさっき書いたメモ用紙を投げつける。
「……………………………」
それを不思議そうな顔して手にして。
トシがチラリとこっちを見た。
俺はそ知らぬ顔して、教科書を見てる振りをする。
トシは暫く俺を見た後、また前を見て、ゴソゴソと動いて。
読んでるかな?返事来るかな?
そんな事考えてたら、ポイっとまた、メモ用紙が俺の元に返って来た。
わ、返事来た!
「…………ぇ〜っと」
何々?
『
アホな事してねーで、授業真面目に受けろ 』?
真面目だな〜トシ…。
だって今先生雑談じゃん。
『
それよりさ〜、今日部活ねーだろ?買い物付き合ってくれよ 』
『
ヤだ。何で俺がお前に付き合わなきゃいけねーんだよ』
『
良いじゃん。どーせ暇してんだろ 』
『
俺はお前と違って暇じゃねー』
『
ムカ。俺だって暇じゃねェよ! 』
『
暇だろうが。買い物とか言ってんじゃねェか』
『
気分転換だよ、気分転換。どっかの誰かさんがいーっつも眉間に皺寄せて老けたツラしてっからな 』
『
俺はどっかの誰かみたく、能天気じゃねェからな。誰かさんのせいで苦労が絶えねェんだよ』
「…………………

」
「…………………

」
ガタっ!!!
「テメェ、黙って聞いてりゃぁ好き勝手書きやがって!誰が能天気だぁ?!」
「テメェこそ大概にしとけよ?!誰がいっつも眉間に皺寄せて老けたツラだとぉ?!」
「オメー以外に誰が居るってんだ?!いーっつも、こぉーんなツラしてるクセに!」
「そりゃ誰かさんがいっつも俺に迷惑掛けてくっからだろうが!テメーこそ魚の死んだような目ぇしやがって!!」
「良いんだよ、いざって時に煌くんだから!つか、誰が誰に迷惑掛けてるってぇ?オメーが銀さんに、の間違いじゃねーのか?」
「あぁ?!寝言は寝て言え!」
「上等だ、表出ろぃ!」
「おぉ、やってやろーじゃねェか!!」
「…うぉっほん!」
「…ぁ」
「…げ」
咳払いの声に、我に返る。
立ち上がった俺達をクラス全員が驚いた顔をして見ている。
…あ〜ぁ、やっちまった。
「坂田、土方…」
「嫌々、ぁのね、これはトシが俺に因縁をね…」
「あぁ?!俺は真面目に授業受けてたろうが!テメーが邪魔して来たんだろう?!」
「俺はただ、放課後の話をしてただけで、ムカつく事書いた、トシが悪いね!」
「元を正せば、手紙投げて来たテメーが悪ぃんじゃねェか!!」
「おーし、解った!こうなったら、白黒はっきりつけてやろうじゃねェか!」
「上等だ!今日と言う今日はタダじゃおかねェからな!表出ろっ!!」
「おっほん!!」
「…ぁ」
「…げ」
「お前等…そんなに外が良いなら、廊下に立っていろ!!!」
…昔の人はよく言ったね。
『後悔先に立たず』って…。
「…テメーのせいだぞ」
「トシが突っ掛かって来たんだろ。俺はただ紙投げただけで」
「それが原因なんだろうが!」
「チェ〜っ、放課後ちょっと息抜きしようかなぁ、と思って誘ってやったのに」
「ケっ。テメーの暇潰しに、んで俺が巻き込まれなきゃいけねェんだよ」
ふ〜んだ。
折角部活休みで、トシと遊んでやろうと思ったのに。
プイっとトシから顔を背けて、口を尖らす。
…チェっ、結局放課後デートはオジャンか。
まっ、つまんねェ授業ブッチ出来たからし、トシと2人っきり、上々って事にしとこ。
…じゃねェと、ムカついて仕方ねェ。
結局放課後デートの約束も出来なかったしなぁ…。
はぁ…。
「つうか」
「あぁ?」
俺がそう納得しようとしたら。
トシからまた声が掛かる。
振り返ると、まだ怒ったような表情をしてるトシが。
俺を見ないまま、前を見据えながら。
「わざわざ授業中に言わなくても。帰りに言やぁ良いじゃねェかよ」
「……………………だってトシ、他に約束してたら駄目じゃん」
「はぁ?どーせ部活のねェ日は、いっつもテメーが遊びに誘うじゃねェかよ。他の誰とも約束なんかしねェよ」
「…………………………………」
は、はぃぃぃ??
と、トシ、今何つった??
どーせ俺が遊びに誘うと思った?
他の誰とも約束しねーって??
そ、それって…。
「……っっ……」
「?おぃ、勝手に座ったら怒られんぞ」
「…うっさい、馬鹿阿保鈍感」
「は、はぁぁ?何なんだよ、テメーは!」
馬鹿、そう言う事言うから誤解すんだろうが。
俺を優先させる、みたいな…。
…ヤバい、顔ニヤける。赤くなる。
「…ったく、素直じゃねェな、トシちゃんは」
「あぁ?俺はいつだって素直だろうが。つうか、結局行くのか?行かねェのか?」
「行くに決まってんだろ!デートしよーぜ、トシ

」
「で…!………………お前がそう言う事言うから、あらぬ噂広げられんだろうが」
「噂?何それ??」
「おまっ…気づいてなかったのかよ…!!」
噂?
何だ、それ??
「何々??俺に関する噂?」
「うっせー!気づいてないなら、そのまま気づかないまま居ろ!」
「えー?何だよ、気になるじゃん!教えろ〜!!」
「い・や・だ!!」
「何だよ〜!トシ〜?!」
気のせいか、トシの顔赤くなってねェか?
気になるな、何だ??
どんな噂だ?
「教えろよ〜、な〜、トーシー」
「うっせェ!追い掛けて来んな!!」
「坂田、土方!お前等立たされてるって解ってるのか?!!」
・END・
2007/12/2UP