「先生、好きだ!!」

「………はぃ?」



放課後。
誰も居ない教室でボーっとしたら。
ガラっとドアが開いた。
誰か忘れ物か?とドアの方を向いたら、多串君が居て。
「どした?忘れモンか?」と俺が口を開く前に言われた。



「先生が好きなんだ!!」



呆然とする俺に、多串君は言葉を続ける。
好きって…どったのよ、急に?



「ぁ、あ〜…あぁ、うん。先生も好きよ、多串君の事」



ヘラリと笑ってそう答えたら。



「土方だつってんだろ?!つうか、そのネタいつまで引っ張るつもりなんだょ…ってそうじゃねェよ!そうじゃねェだろう、俺っ…!!」



…あらら。
一人で突っ込んで、一人でボケ?ちゃった。



「お〜い、大丈夫かぁ〜?」



ドアの前で悶絶?苦悩?している土方に声を掛ける。
俺が呼び掛けると、ガバっと顔を上げて。



「そうじゃねェよ!!俺が言ってるのは先生と生徒とかの好きとかじゃなくて…!!」
「へ?」
「銀八が好きなんだ!!」
「……………………」
「だから、つまり…お前に惚れてんだよ!!」



…………………。
オイオイオイオイオイオイオイっっ!!!!
突然何言ってくれちゃってるの?!このクソガキ様はぁぁぁぁっっ!!!!!!!



「な、何言ってんだ、お前?!」



ドッキリか?!
それともバツゲームか何かか?!



「好きだ。…先生は俺の事、嫌いか?」
「いやいやいやいやいやいや、その前にね?!先生男だから!土方君も男の子だよね?!!」
「惚れたら性別なんて関係ねェよ」
「関係あるから!!!」
「先生は俺の事嫌いか…?」
「…う゛」



嫌いかって…。
嫌い、って答えられたら良いけど。
自分のクラスの生徒だし…
何だかんだ言って、異端児の多いウチのクラスの奴等にしてはまとも…
いやいやいやいやいや、俺に告白してる時点でまともじゃねェだろ…
でもこいつ、色々教材運ぶの手伝ってくれたりしてるし…
つうか、ツラは良いんだよなぁ〜ツラは…



「って何迷ってんの、俺ェェェっっ!!!」
「せ、先生?!」



思わず絶叫した俺に、土方が驚く。
…そうだよ。
ここは教師として。
間違った道に進もうとしてる生徒を正しい道にね…
そうそう…



「ぁ、あのね、土方君。恋愛はもっと、こう…可愛い女の子と……」
「他の女より、先生の方が何十倍も可愛い」
「いやいやいやいや、お前、それ、目腐ってるから。腐敗しちゃってるから…」
「すっげェ俺好み」
「いや、あの、だからね…」
「他の女なんか目に入らねェよ。俺は、先生だけ…」
「す、ストーップっっ!!!」
「先生?」



な、何だ…この『恋は盲目』的なアレは…



「い、良いか、土方。よーく、よーっく聞けよ?」
「あぁ」
「お前はな、成績は良いし、スポーツだって万能だ」
「…そっか?」
「そうそう、担任の俺が言うんだから間違いないよ」
「…そっか…」
「…………………………」



つうかね。
普通に照れないように。
褒めてる。
褒めてるけど、違うの。
違うのよ、土方君。



「それにツラだって良い」
「先生好みか?」
「…………………………」



この際コレは無視しよう。



「コッホン。…な?お前女子にモテるだろ?まだ若いんだからもっと同世代の…」
「…先生?」



そうだよ。
コイツ、モテんだよ。
この間だって…
…この間?



『…ごめん。お前とは付き合えない』
『…好きな人、居るの?』
『…あぁ』
『私…っ!私2番でも良い!2番でも良いから!!土方君、私と付き合って!!』
『…ごめん』
『そんなっ…どうして?!2番目でもダメなの?!!』
『ごめん…Second2番目じゃダメなんだ。俺の好きな奴は、No1でOnlyOneだから』
『…っ!!』



「………………………」
「おぃ?」



ちょっと待て。



「どうしたんだよ?」



それって…それってもしかして……。



「何だよ、人の顔ジっと見て。…俺の顔に何かついてんのか?」
「…っ…」



あぁ、顔が熱い。
何だ…?どうしちまったんだ、俺…?



「顔、赤いけど…」



指摘されたらますます熱が上がった気がする。



「先生?」



優しい声で呼ばれて。
あぁ…もしかして…ぃや、もしかしなくても…。



「…なぁ、土方。先生ちょっと聞きたいんだけどさ……」



この質問の答えが返って来た時。
俺とお前の関係は少しは変わってるだろうか?





・END・
2006/06/24UP