子供ガキってのは怖い。
何でもかんでも、ストレートにぶつかって来て。
ぶつかって来られたこっちは堪ったもんじゃねェっての。



「銀八。好きだ。俺と付き合え」
「…毎日毎日。本当飽きないの?お前」



毎日毎日呟かれる言葉。
飽きれを通り越して、感心すらするよ。
嫌々。本当。マジで。
…別によ?
土方が嫌いな訳じゃねェのよ。
寧ろ他の生徒より気になる…ちょっと…だいぶ…好き、だと思う。
コイツの気持ちにだって気づいてなかった訳じゃない。
そりゃぁよ。
あんな毎日毎日、熱い視線向けられりゃぁ、俺だってまぁこの年だし。
それなりの恋愛して来た訳だから。
…気づいちゃう訳ですよ。
あぁ、こいつ俺の事好きだな、って。
生徒だし、しかも男だし。
そりゃぁ最初はビックリしたし、どっちかって言うと信じたくない気持ちの方が先行してたけどよぉ。
…何と言うか、熱に中てられたと言うか、毒されたと言うか。
まぁぶっちゃけてしまえば、俺も多分、同じ気持ちなんだと思う。



「なぁ。どうすれば俺のモノになってくれる?」
「…どうすればって」



結構簡単なんだけどな。



「そんな事、自分で考えなさい」
「…………………」



あぁ、もう!!
そんな子犬みたいな目をして、俺を見ない!!



「…ったく、しょうがねェなぁ…」
「銀、八…?」
「……お前がまだ、俺に言ってない言葉でも言ってみな?毎日毎日同じ言葉でオチる程俺ぁ甘くねェぞ?」
「言ってない、言葉…?」
「そっ」



お前、自分の気持ちばっか言ってて、未だ俺に俺の気持ち聞いてないって気づいてる?



「……………」



俺の言葉に考え込む土方。
俺はその様子を黙って見てる。
…なぁ。
いつになったら、気づく?
お前が俺に、俺の素直な気持ち聞いてない事に。
でもそれを素直に口に出来ないのは。
俺が先生なのと、お前が生徒なのと。



「……してる?」
「あ?」
「愛、してる?」
「ブっ!!!」



突然呟かれた言葉に、俺は思わず吹き出してしまった。



「な、な、な…っ!何て言葉言ってんですか、このヤロー!!」
「だ、だって…ぃ、言ってない、言葉つうから…」
子供ガキには10年早ェんだよっ!!」



自分で言って自分で照れんなっ!!!
言われたこっちだって堪ったもんじゃねェっての!!



「……………」
「……………」



あ〜…もうこいつは……。



「な、何だよ…ジっと人の顔見て」
「……はぁ」



真っ直ぐ向かって来られる、戸惑いと。
…ほんのちょっとの大人の意地、みたいなモン。



「…ちょっとお前。こっち来い」
「はぁ?な、何で??」



だけど…。
それもそろそろ限界だから。
だって毎日よ?
本当に毎日毎日口説きに来んだもんよ。



「良いから。早く」
「な、殴ったりしねェ?」
「何でよ?つうか、殴られる事した、覚えあるの?」
「毎日しつけェとか…」
「それは毎日言ってる。…良いから来い。気が変わる前に」
「??」



近づいて来る土方に、思わず口元が緩む。
なぁ、土方。
もう、良いよな?
思春期の気の迷いとか、そう言うの、怖がらなくても良いよな?
信じて…良い、よな?



「き、来た…けど」
「ちょっとしゃがんで。…先生に顔、近づけて」
「へ?…こ、こうか?」



恐る恐るしゃがんで、俺に顔を近づける。



「目、閉じて」
「え?目??」
「そっ。早く」
「だ、だから、何でだよ?」
「早くっ!!」
「だぁ〜!!訳解んねェ!!殴るなよ?殴るなよ?!」



そう叫ぶと、観念して目をギュっと閉じる。
殴るって…俺どんな印象お前に持たれてんだよ。
……まっ、いっか。



「!!!」
「…観念、してやるよ」



チュっと唇にキスしてやれば。
バっと俺から離れて、口押さえて。真っ赤な顔して、信じらんねェって顔してる。
くっくっく、本当可愛い奴。



「…毎日毎日告白してくるクセに、チューだけで真っ赤になるんだ?」
「え…?ちょ、…え?」



突然の事に呆然とする土方に。
黙れと言わんばかりにそっと首に腕を回して呟けば。
一瞬の身体を強張らせて。
密着した胸から、土方の心臓の音が響く。
あ〜…早ェな…このまんま鳴り続けたら死ぬんじゃねェの?コイツ。
…ってか俺も……結構、早い、かも…。



「あ、の、…銀、八……?」
「良いから黙って抱き締め返せや、このヤロー」
「お、おぅ…」



おずおずと回って来る腕が初々しくて可愛い。



「こ、これって…そう言う、事、だよな?」
「ん〜…まぁ、そう言う事なんじゃない?」
「それに観念するつったよな?…って事は」
「……………………」
「…やっと…やっと俺んモンになった……」
「〜っ」



嬉しそうに呟いて。
俺の背中に回る腕が、微かに強まった。
でも決して苦しくない。
…もっと強く抱き締めても良いつったら、どんな顔すんだろ?
それでも。
大事そうに大事そうに抱き締めてくれる。
そんな土方が可愛くて可愛くて仕方ない。
なんて言ったら、お前は怒るんだろうなぁ。



「…す、っげェ好き…銀八」



…あぁ、もう!!



「こちらこそ。…馬鹿野郎」





・END・
2006/04/29UP