「マジで信じらんねー」
「そりゃご苦労なこった」
「ご苦労じゃねェよ!馬鹿だ馬鹿だと思ってたけど…おれは本気であの野郎の将来が心配になった…」
「……お母さんか、お前は」
「だって、お前心配じゃね?半額って書いてあって、『半額ってどのくらいだ?』って聞くから、『そりゃお前半分だよ』つったら…」
「『真っ二つにすんのか』って言われたんだろ?」
「そうだよ!どうなの?!それってどーなんだよー!!」
頭を抱えるサンジに、ゾロは苦笑して。
「あいつの頭なんかそんなもんだろう。敵の算段考えるより、ぶっ飛ばしに行った方が早いってな」
「それは…戦闘ん時ぁそれで良いかも知れねェけどよぉ…一般常識をもうちょっとだな」
「海賊が一般常識も何もねェだろうが」
「日常生活に支障のある一般常識は理解しろって事だよ!!」
一考に埒の明かないゾロとの会話に、怒鳴っていたサンジもはぁと溜息を吐いて。
「算数のドリルでもやらそうかなぁ…」
「家庭教師はてめェってか?…はは、そりゃ良いな」
ポツリと呟いた言葉。
それにすら楽しいと笑うゾロ。
その時。
「サーンジ!腹減ったー!!何かくれー!!」
話題の中心の人物がキッチンへと飛び込んで来る。
「もうちょっとで夕飯だ。それまで我慢してろ」
「えー!腹減った腹減った!!夕飯まで我慢出来ねー!!!」
「なら時間潰しに割引計算の仕方でも練習してろ。半額は商品を半分に割る事じゃねェ。値段を半分にすんだ」
「??金は割れねェぞ。…ぁ、破くのか?でもそれってナミに怒られねェか?」
「ぶは!はははは、そりゃそうだ!」
「笑い事じゃねェよ、クソ剣士!!」
「んん??」
ルフィの放った一言に爆笑するゾロに一喝して。
サンジは再び溜息を漏らす。
「…あぁ、そうだ、ルフィ」
「ん?」
「これからおれが問題を出す。それに答えられたら、何かくれてやるよ」
「えー!マジか!!」
「マジマジ。んじゃ、問題出すぞ」
「おう!」
「0と0は等しい。つまり0=0、2と0じゃ、0の方がでかい。2<0だ。2と5だと、2の方がでかい。2>5。んじゃ、0と5だとどうなる?」
0=0
0>2
2>5
0?5
「あ、解った!」
「答えは?」
「5の方がでかい!」
「理由は?」
「だって5の方が数字でかいじゃねェか」
「ブッブー外れ。その答えだと、0と2の0の方がでかい理由に当てはまらねェじゃねェか」
「あぁ、そっか」
「……あぁ、なるほどな。そう言う事か」
「お、クソ剣士は解ったか」
「解るも何も…子供騙しじゃねェか」
「まぁまぁ、そう言うな。ルフィには丁度良い問題だろ?」
「くっくっく、確かに」
「??何だよ〜2人だけで解り合うな!おれにも教えろ〜!!」
「お前はちったぁ考えろ!!」
「考えてるよ〜!んじゃ、ヒント!!」
「ヒント?ヒントね〜…」
「2と2も等しい、5と5も等しい。ってトコか?」
「あぁ、確かに。それにこの法則性には1も3も4もねェ。0と2と5しか存在しねェ」
「はぁ?!他の数字はねェのか!?てか、2と2が等しいのは当たり前ェじゃねェか!同じ数字なんだから!!」
「数字に捕らわれてたら、いつまで経っても問題は解けねェぜ、ルフィ?」
「う〜…」
しばらく腕組をして考えていたルフィだったが。
「う〜、解んね!…よし、ウソップとチョッパーにも聞いて来よっ!」
諦めたのか、バターンと勢いよく甲板に続く扉から、外に出てってしまった。
「あ〜ぁ、行っちゃったよ」
「飯の事は忘れたな」
「あぁ、この手良いな。次から、そうしよう」
「次からウソップとチョッパー、連れて来るかも知れねェぜ?」
「『三人寄れば文殊の知恵』ってか?」
「文殊になりゃ良いけどな」
開けっ放しの扉の外から。
わいわいと声が聞こえる。
声の感じから。
ナミやロビンまで加わった様子。
ロビンは流石と言うべきか、すぐに解けて。
外では「えーロビンもう解ったの?!」とナミの驚きの声が聞こえて来た。
「…あぁ、そうだ」
「ぁん?」
「今日の酒のつまみ。それ頼もうと思って来たんだった」
「あ〜…んじゃ、数字で決めるか?」
「さっきのか?…あぁ、それならおれぁ剣士だからな。2だ」
「それ剣士関係あんのか?あ〜しかし残念。おれは0だから、おれの方がでかい」
「アホか。てめェは手、使わないんだろ。使うとしても、5の方だな」
「馬っ鹿、5だって手だろうが。つか、それって暗におれがてめェより弱いつうじゃねェだろうな?!」
「……………深読みすんな馬鹿」
「そう思うなら、こっちを向いて言え。 あぁ、でも。それで言うなら、ルフィは0だな」
「あぁ、そうだな」
「そう考えると、面白れェな。関係性で言えば、ルフィが0で、お前は2。んで、おれが5か」
「関係性?」
「そっ。だって、お前はルフィに弱いし、ルフィはおれに弱い」
「…何で?」
「お前ルフィの言う事なら何でも聞くじゃねェか。『了解、船長』ってな」
「何でもじゃねェっての!それに…船員が船長の言う事聞くのは当然じゃねェか」
「は〜へ〜ふ〜ん。そりゃご立派な事で〜」
「何だよ?ぁ、もしかして妬いてんのか?」
「だ、誰が妬くか!ぺっぺっぺっ!!」
「うぉ?!汚ねェなぁ!!」
「お前が脳みそ腐った事言うからだろうが!!」
「はぃはぃ。…んで?ルフィがてめェに弱いつうのは、どう言う事だ?」
「んなの簡単じゃねェか。ルフィは食いもんに弱い。従って美味い料理を作るおれに、逆らえない」
「…てめェで言うか」
「うっせ。事実じゃねェか」
「まぁ…そうだけどよぉ…。 あぁ。んで、それで納得なんだな?」
「あぁ?…何だよ。そのニヤけヅラ。気に入らねェなぁ」
「いーや、それでてめェ自身がご納得なら良いんだ」
「あぁ? …ん?……んん??ちょっ、ちょっと待て!そうなると、あれ??」
「くっくっく。お前のオツムも、ルフィと大差ねェなぁ?コックさんよぉ?」
「あー!やっぱなし、今のなし!!やっぱおれ、5じゃねェっ!おれも0だ!!」
「はぁ?んで、急に0になんだよ?」
「…見ろ」
「あ?」
ずいっと。
サンジは包丁を握った手をゾロの目の前にかざして。
「0だろ?」
「……0だな」
「そーだよ。ってな訳で、おれも0だ!」
「だったらおれだって、刀握るんだから0だろうが」
「あぁ言えばこう言う奴だな」
「それはお前だろうが!!」
0はグー。指が見えてないから、0。
2はチョキ。指が2本見えているから、2。
5はパー。指が5本見えてるから、5。
0=0、0>2、2>5。じゃぁ、0と5は?
グーとパー、パーの方が強いから。
0と5は、0<5。
・END・
2008/04/22UP