今日は部活が休みっス。
いつもなら買い物なり何なり外出するんスけど。
「黄瀬君」
「ん?何?黒子っち」
今日は誠凛さんも休みで。
オレの家でお家デート、っス!
「…暑いんですけど」
「え、そうっスか?エアコン入れよっか?」
「いえ…そうではなくて」
「ん?」
「…離して下さい」
オレは黒子っちを足の間に座らせて、後ろから抱き寄せてる。
「えー、ヤっス」
「ヤじゃないです。もう、どうしてそんなにくっつきたがるんですか」
「だーって黒子っち外じゃこう言う事させてくれないっスから」
「当たり前です。何処の世界に友人同士で抱き合う人たちが居ますか」
「友人同士じゃないっス!オレと黒子っちが恋人同士っス!!」
オレが力強くそう宣言すれば。
黒子っちはハァと溜め息を吐いて。
「…解ってます。でも世間には公表出来ない関係なんですから、そう言う意味で言っているんです」
「ブーっ、オレはいつだって黒子っちと触れ合いたいのに〜」
「良いです。結構です。遠慮しておきます」
「そんな遠慮しないで♪」
「……すみません。言葉を変えます。要らないです。不要です。ハウスです」
「ハウスって…オレ、犬じゃないっスよ?!てか、ココオレの家で、部屋っス〜…」
黒子っちの容赦ない言葉にシュンとなってると。
モゾモゾと黒子っちがオレの腕の中で動いて。
「離して下さい。動けないです」
「え〜…良いじゃないっスか。オレの部屋での黒子っちの定位置コ・コ」
「ヤです。ほら、早く離して下さい」
「う〜……」
「黄瀬君」
オレを呼び掛ける声に、オレは渋々と腕を解く。
このまま離さなかったら、黒子っち帰りそうだし…。
解放すると、黒子っちはスルリとオレの腕から居なくなる。
途端に淋しくなったオレの腕。
離れた温もりに、ションボリしてたら。
「黄瀬君」
「はいっス?」
呼ばれて、顔を上げた。
すると思ったよりも近くに黒子っちの顔があって。
わ、っとちょっと身体を退くと。
「お手」
「へ?」
スっと手を出されて、思わずその手にポンっと自分の手を乗せてしまった。
「……………」
条件反射って怖い。
や、いつもこんな事してる、されてる訳じゃないんスけど!
てか、初めてっスけどね!!
でも「お手」って言われて、手ぇ出されたら乗せね?
自分の手、乗せないっスかね?!
「…ムぅ」
「黒子っち?」
差し出された手に、自分の手を乗せた。
お手と言えば、完璧に近いと思うんだけど。
黒子っちは何処か不服そうにそれを見つめて、微かに唇を尖らせて。
ぁれ、何かオレ間違えた?と思ってたら。
「おかわり」
「へ?」
「おかわりです、黄瀬君」
「えーっと」
「おかわり!」
「〜っ、はいっス!」
おかわり、と言われ、乗せていた手を退けて、反対側の手を今度は黒子っちの手に乗せる。
もー、一体全体そう言う事っスか?!
つか、黒子っちマジでオレの事犬だと思ってんじゃ…!!
「…これで良いです」
「へ?」
ヤケ気味のオレに黒子っちはそう言うと。
乗せていた手を自身の手にキュっと絡めて。
満足、と言った風にオレの隣に座る。
「…こうしていれば、お互いの温もりも感じますし。何より顔が見れます」
ポカンとしてるオレに黒子っちがそう言う。
一向にオレを見ないその横顔は。
見えてる耳が真っ赤で、多分見せてない顔も真っ赤なんだろうな、と思うと。
「えへへ、黒子っち〜」
「何ですか。ニヤニヤして気持ち悪いです」
「ヒドっ!せめてニコニコつってほしーっス!!」
優しい温もりを手に。
優しい時間をいつまでも、君と過ごしていきたい。
・END・
2012/11/06UP