「っ、テメ、青峰!いきなしゾーンに入るとか汚ねェぞ!!」
「はっ、悔しかったらテメーも入れってんだよ…っと!」
「テメーみてェにホイホイ入れっか…!!」


休日。
W.Cの激戦を終え、休息でバスケ部が休暇になった休日。
それでもバスケがやりたい!と言うバスケ部員がストリートバスケ場に集まり、バスケをしている。


「そろそろお腹減りましたね…」
「そう言えばそうっスね…あ、もう12時過ぎてんじゃないっスか」
「食いしん坊の火神君が言い出さないとは…どれだけバスケに集中してるんですか…」
「あは、火神っちも大概バスケ馬鹿っスよね。…おーい、火神っちー、青峰っちー!そろそろお昼にしねっスかー??」
「へ?昼?」
「あー、そう言えば腹減ったかも」


黒子・火神・黄瀬・青峰が集まり、バスケをしていた。
9時頃に集まり、今は12時過ぎ。
1on1をしたり、2対2でやったりと、何だかんだで時間はそれなりに経過していたようだ。


「昼飯どうする?」
「この辺でしたら、マジバですかね」
「荷物持って移動すんのとか、ダリーんだけど」
「じゃあ、じゃんけんで買い出し係り決めよ?負けた奴が買い出し係りっス!」
「おー、良いぜ?んじゃ、最初はー……」
「え、ちょっ、最初?最初って何だよ?!」
「あ?最初はグー、だろ」
「え、何それ。初耳なんだけど」
「え、マジっスか?!」
「そう言えば、この『最初は〜』って言うの、某コント劇場から生まれたもので、日本でだけらしいですよ?」
「え、そうなの?!」
「知らなかったっス!!」
「日本では一般的ですからね」
「普通にやろうぜ、普通に!!じゃんけん、から。な!」
「あー、わーったよ。んじゃ。…さーぃしょはー……ぁ、ヤベ」
「だからそれなしつってんじゃねーか!!!」
「間違えただけだろ?!んな怒る事でもねーだろーが!!」
「今さっき言ってすぐ忘れるなんて、アホだろ?!お前、アホ峰だろ?!!」
「うっせーな!!バカガミにだけは言われたかねーんだよ!!!」
「はいはい。もー喧嘩しないで下さいっス。ほら、じゃんけんやるっスよ?…はい、じゃーんけーん」
「ぅわ…!!」
「ちょっ…!!」


「「「「ぽん!!!!」」」」

「ゲっ…しかも火神とかよ…」
「そりゃ、こっちの台詞だよ!」
「やった〜、勝ったっス!んじゃ、火神っち、青峰っち、買い出し宜しく!」
「くっそ、黄瀬のクセに生意気だぞ…」
「ちょっ、それどう言う意味っスか!!」
「じゃぁ、ボクと黄瀬君はは荷物番してますね。お願いします」


グー・火神&青峰、パー・黒子&黄瀬となった。
その振り分けに文句を言いながらも。


「テツ、お前何にすんだ?」
「バニラシェイクと…ハンバーガーでお願いします」
「…一応聞いとくが。セットじゃなくて?」
「セットじゃなく、単品で結構です」
「相変わらず食わねーな。せめてSのセットにしとけ、Sに!」
「食べきれません」
「残ったらオレが食ってやるよ」
「解りました。じゃぁ、セットとバニラシェイクで」
「解った。黄瀬は?」
「オレっスか?あー……、いつもの奴で」
「は?いつものって…」
「解った。んじゃ、行って来る。行くぞ、青峰」
「え?あ?はぁ?!おま、アレで解ったのかよ?!」


さっさと歩き出してしまった火神に。
青峰は早足で火神を追い掛ける。
いつものって何だ、いつものって、そう思わないでもないが。
それで通じるなら、それはそれで良いか、と青峰は考えるのが面倒になり、考える事を放棄したのだった。
…マジバに着くと、丁度昼時と言う事もあり、それなりに混雑している店内で列に並んでいたら。


「…あ」
「あ?」
「今日からの限定新メニュー出てんな…」
「…おー、そうだな」


ふとメニュー表を見ていた火神がそう呟いて。
それに倣って青峰もメニュー表を見上げた。
今日発売と言う事もあってか、デカデカと記載されてるそれを見ていたら。


「んじゃ、黄瀬のそれで良いか」
「あ?だって、アイツいつものつってたじゃねーか」
「や、アイツこう言う限定新メニュー好きなんだよ」


否、知ってるよ!と口に出そうになるのを抑えて。
青峰は思わず眉間に皺が寄るのを感じた。
確かに自分は黄瀬と中学時代一緒だったし、クラスは違ったが、中2の頃黄瀬がバスケ部に入った事もあり、それなりに付き合いがあった。
だが、この男は中学はおろか、高校も違った高校に行っていて、接点などあまりなさそうだが。
何でそんな知ってます、みたいな口振りをするのか。
否、その前に先程の『いつもの奴』だって。


「なぁ、お前等って…」
「あ・青峰、順番来たぞ」
「お、おぉ…」


もしかして結構仲が良いのだろうか、と聞こうとしたら、運悪く?順番が来てしまい。
まぁ、どうでも良いか、と青峰はメニュー表に視線を落とす。
そして次の瞬間、火神から紡ぎ出される品物の数々に、青峰は文字通り開いた口が塞がらなくなるのだった。


「ったく、テメー買い過ぎなんだよ!んなに誰が食うんだよ!!」
「オレが食うっての!!これくれー普通だろ?!」
「普通じゃねーよ!!!」


チーズバーガー20個、と言われた時には、何の冗談かと思った。
紙袋いっぱいに入れられたハンバーガーは、普通に4人前とは思えない。
両手に圧し掛かる重みにブチブチ文句を言いながら、火神と青峰はストバス場へと戻る。
戻ると、荷物を前に座った、黒子と黄瀬が大きく手を振って。


「お疲れっスー」
「お疲れ様です。有難うございました」
「ったくよー、火神が馬鹿みてーに注文すっから、超時間喰った」
「だから悪かったつってんだろーが!」
「まぁ、火神っち、超食うっスから」
「予想の範囲ですね」
「お、おぉ…」


どうやら火神の大食いは有名らしい。
けれど、同校の黒子が言うのは解るが、黄瀬も知っているのか、と青峰が曖昧に頷く。
すると紙袋をごそごそと漁りながら。


「えっと、どれがどれですか?」
「あ、テツのはこっちだ。シェイクとバーガー。と、セットのポテトな」
「有難うございます」
「オレのはどっちっスか?」
「あぁ、黄瀬のはこっち。今日の新発売の奴」
「わー、マジっスか。そっか、CMやってた奴、今日からなんスね!ありがとっス」
「……………」


嬉しそうに火神から、今日発売のバーガーを受け取る黄瀬。
それを見ながら、青峰は、普通か?…ぅん、普通か、と自身を何となく納得させ。


「そう言えば、テツ。お前、んとバニラシェイク好きだよな」
「はい。中学の時からよく飲んでます」
「だよな。………」
「どうかしたんですか?」
「や、今思い出したんだけど、アイツ…黄瀬って結構目移りして、マジバとかでも決まったもん頼んでなかったよな…?」
「そうですね。確か新商品とか好きで、決まったものを頼む、と言う事はなかったと思います」
「だよな…」


それなのに黄瀬はさっき、『いつもの』と言った。
そして火神もそれで頷いた。


「…なぁ、あの2人って仲良いのか?」
「え、火神君と黄瀬君ですか?…さぁ、どうなんでしょう」


黒子と青峰で、チラリと2人を見れば。


「…おっ」
「え?何?」
「この新商品、当たりじゃね?」
「ぁれ?火神っちも新商品?」
「あぁ。つっても、オレのはチーズ入りだけど」
「え、何スか、それ。ズルい!オレもチーズ入りが食いたかったっス!」
「お前いっつもカロリーがどうのこうの言ってんだろーが」
「それ夜の話でしょ?つうか、今日は動いたから良いんスよ!」
「じゃぁ、取り換えるか?…ほらよ」
「あ、ちょっと待って!火神っちとオレの一口じゃ、違い過ぎるっス!」
「細けェ事言うなと…んじゃ、もう一口食えば良いだろ」
「交換した後に言わないで欲しいっス!!」
「しょうがねーな。…ほら」
「ん」


火神の手からそのままバーガーに被り付く黄瀬に、青峰は固まる。
チラリと黒子を見て。

(なぁ、あれって普通?)
(微妙ですね…)
(微妙か?!あんな事普通しねーだろ!?)
(否、でも部活などでペットボトルの飲み物を回し飲みしたりするじゃないですか。あれの延長とも…)


とアイコンタクトで会話しながら。
また2人の様子を伺うと。


「火神っち、ナゲット食う?」
「ん、もらう。…あ」
「はい。…あ、ポテト頂戴」
「ほらよ」
「ん」
「……………」


(食わせ合ってんだけど!!!)
(両手塞がってるから、とかではないでしょうか!!)
(えー、マジでか?!)
(検証してみましょう!青峰君!黄瀬君からナゲット貰って下さい!!!)
(お、オレかよ…!!!)
(小食のボクでは、もうお腹いっぱいです…!!……色んな意味で!!)
(テツぅぅぅぅ、テんメェェェェっっっ!!!!)


この場合、『あーん』されても負けた気がするし、ナゲットの箱を渡されても負けた気がする。
そんな気分にどんよりしながら、青峰は黒子の視線に渋々頷いた。
そして何事もないかのように…。


「あー、あー……黄瀬?」
「ん?何スか、青峰っち」
「オレにも…その、ナゲットくれよ」
「あ、良いっスよ。はい」


そう言って、黄瀬はナゲットの入った箱を青峰に差し出す。
それに思わず、ナゲットを凝視して。


「嫌々!ちょっと待て、お前等!!」
(行きますか!青峰君!!)


青峰は思わず叫んだ。


「へ?」
「どうしたんだよ、青峰」
「どうしたもこうしたもあるか!お前等アレか、付き合ってるのか?!」
(言った!ナイスです、青峰君!!!)


青峰の言葉に、火神と黄瀬は顔を合わせて。


「嫌々、何言ってんスか、青峰っち」
「オレも黄瀬も男だぜ?付き合う訳ねーだろ。大丈夫か?青峰」


キョトンとしながらも、すぐに苦笑を浮かべて否定する黄瀬と。
心配そうにこちらを見る火神。
それに青峰は盛大に「いやいやいやいや!!お前等こそ大丈夫か?!」と叫びたかったが。


「…青峰君、諦めて下さい。無自覚です、この2人」
「え、ええぇぇぇ…」


不思議そうに首を傾げる2人を余所に。
青峰と黒子は小さく、溜め息を吐く。


「あ、火神っち、ソース着いてるっス」
「あ?何処?」
「ここ。違う、ここだってば。…あー、もう良いっス。オレがとってあげる」
「ん」


あれで付き合ってないなんて、…嘘だ!!



・END・
2012/11/20UP