こんちわっス!
オレ、黄瀬涼太って言います!
野良犬だったんスけど、ひょんな事から火神っちに連れてかれて、火神っちの家に住み着いてます!
火神っちとちゅーすると、何でか人間になります!!
んで、何でオレがこんな事言い出したかって言うと。
「……わふ」
「不満そうな声を出すな!!だから言ったろ!犬だろうが、会場には入れねーって!!!」
「……ガゥ!!」
「…っっ!へ、へへーん、こわ、怖くねーぞ!!今のお前はそれ以上オレに近づけねーからな!!!」
「ウウウウゥゥゥゥ…!!」
解放された時、絶対、ぜっっっったい!!これ以上ないくらい追い回してやるから、覚えてろっス、火神っち…!!!
「ちょっと、火神君!いつまでも黄瀬君(犬)と遊んでないで、置いて行くわよ―――!!」
「っス!今行く、…です、カントク!!……良いか、大人しく待ってろよ」
「………わふ」
大人しく待ってろと言われましても。
繋がれてる限り、ココから動けねーんスけど、オレ。
「…くぅん…」
オレは今、全国大会の会場に居るっス。
何でも火神っちの学校、せーりん高校バスケ部でいんたーはい?ってのを見に行くらしいっス。
人型で練習にお邪魔してるオレはそれを聞いて。
「オレも行きたいっス!!!」
「ん〜…連れてってあげたいのは山々なんだけど、一応黄瀬君、部外者って事だから、部外者を連れてく訳にいかないのよ」
「え?!」
「一般なら会場に入れるから。そっちから入ってくれる?ごめんね」
そう言われて、ガックリ来た。
見たい、けど。人型してても所詮はオレは犬な訳で。
「…一匹じゃ行けないっス」
クスンとしてると、そこに目に入ったのが、部で飼ってる『2号』の姿。
「ねーねー、火神っち。2号はどうするんスか?お留守番?」
「あ?」
「2号は連れて行きますよ。ね?2号」
「ワン!」
「え?!何でっスか?!」
「2号も立派な誠凛高校バスケ部ですから」
「ズルイズルイ!!じゃぁ、オレもバスケ部入るっス!!!」
「入るって…君誠凛高校の学生じゃないじゃないですか」
「あ、じゃぁ、オレも犬になる!!!…火神っち!!」
「え、あ、はぁ?!ばっ、こんな人の居るトコで出来るか!!!」
「じゃぁ、外ででも良いっス!!ちゅー…もが!?」
「馬鹿か!!!んなでっけー声で言うな!!!」
「…声の大きさで言えば、火神君の声の方が大きいです」
ガっと口を塞がれて。
ちょっ…くる、苦しいっス…!!窒息するっス!!!
「…火神君」
「あぁ?!何だよ、黒子!!」
「黄瀬君が窒息します」
「は?…あ!!」
ジタバタしてたけど、段々空気が足りなくなって。
何か、お花畑が…………
「お、おい…!黄瀬?!おい、しっかりしろ、黄瀬!!!そ、外…新鮮な空気を…!!!」
「お、お花畑が見えたっス…」
「言えよ!!!」
「口塞がれて、何を言えつうんスか!!!」
「あ」
「……アンタ、実は馬鹿でしょ」
「バ火神君ですから」
「テメェ等……!!」
そんな話をしながら、オレは火神っちに話を戻す。
「ねーねー、犬なら連れてってくれるんなら、犬に戻してよー。ねーねー」
「あーもーうっせーな!!例え犬に戻したとしても、お前は連れて行けねーんだよ!!!」
「何でっスかぁ?!」
「何でって……」
「黄瀬君。2号はバックに入れて連れて行くんです。会場は動物禁止ですから」
「じゃぁオレもバックに入れて!!!」
「エスパー伊●ですね、解ります」
「解んねーよ!!それにコイツが言ってんのは犬の姿ん時だろ!!!」
「そっス!てな訳で、火神っち、宜しく!!!」
「宜しくじゃねーよ!!!大体お前みたいな大型犬、入るバックがあるか!!!」
その言葉に唇を尖らせて。
「酷いっス、無情っス。犬種差別っス…」
「っ、だから…」
「オレもバスケしたいもん…バスケ、見たいっスもん…グスっ」
「〜っ、あー!もう、解ったよ!!」
「…え?」
「連れてくだけだからな?!バレて入場出来なくても文句言うなよ?!」
「マジっスか?!火神っち!!!」
「連れてくだけだからな!!!」
「やった!だから、火神っち、好き!超好き!寧ろ、愛してる!!!」
抱き締めて、ほっぺにちゅっちゅっしてたら、弾みで唇にもちゅーしちゃって。
…その後、大変だったんス。
「外で良かったっスね、火神っち!」
「犬んなったお前から逃げて、結局無理矢理キスされて、マッパのお前に押し倒されてる状態でキャプテンに見つかってって…黒子パターンはもうウンザリなんだよ!!」
「バレなくて良かったっス!」
「誤解解くのに、オレがどんだけ苦労したか…お前マジ、解ってんのか?!」
「ドン・マイ☆」
「死ねっっ!!!!」
そんなこんなで会場入りしたオレ。
…でも結局バレて。
「ペットは外に繋いで下さい」
…ペットじゃないっス。
渋々外に連れてかれて。
「火神君、首輪は?」
「へ?首輪っスか?ねー、です、よ?」
「え、ないの?!」
「?っス」
「じゃぁ普段散歩とかどうしてるの?」
「えーっと………」
「ちょっ、可哀想じゃない、黄瀬君(犬)!!家に閉じ込めっ放しって事よね?!」
や、主に夕方、誠凛さんでバスケしてるっス。
「夜、外に連れ出してるつーか……」
それ、だた単にストバス場でバスケしてるだけっスよね。
「もー、ちゃんと飼い主としての自覚持ってよ、火神君!」
「…はぁ」
「今度首輪も買って来てあげるから」
「……え゛」
「それはまた、倒錯的ですね」
「黒子!!お前は黙ってろ!!!頼むから!!!!」
「仕方ないから、代用品で我慢してね。黄瀬君(犬)」
「………わふ」
……こうやって繋がれてる訳っス。
「…くぅん」
あの中では、バスケやってるんスよねー。
良いなー。オレもやりたいなー。見たいなー。
「…ふむ」
「……わふ?」
伏せの状態で羨ましげに大きな会場を見てたら。
頭上から、そんな声。
顔を上げれば、目の前に1人の影。
「征ちゃん?どうしたの?」
「玲央、犬だ」
「あら、そうね。可愛い」
1人かと思ったら、目の前の人間の後ろからもう1人。
…男、っスよね?
何かオレの知ってる男のしゃべり方とだいぶ遠いしゃべり方する人っスね。
「征ちゃん、犬好きだったっけ?」
「あぁ。…良く躾けられた犬は好きだよ」
な、何スか…。
てか、右と左で目の色違うんスけど。
つうか!何か…この人、威圧感…っての?凄いんスけど…!!
「…クゥンクゥン…」
「あら。尻尾、丸めちゃった。怖いのかしら?…怖くないわよ〜?」
「…玲央。その言い方だと余計怯える」
「そんな事ないわよ…!」
「クゥ〜ン…」
スっと、屈んだかと思ったら。
「お手」
「……………」
え、何。
お手って。
や、え…えぇ?!
戸惑って、その手を茫然と見つめてたら。
…ザシュ…
「ボクに逆らう奴は、犬でも殺す」
え、ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!
な、何か……何か、目の前にハサミが突き刺さってるんスけどぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!
「お手」
「キャィィィィン!!!!!!!!」
「…よし。良い子だ」
「………恐怖政治ね」
「玲央。…何か言ったかい?」
「いいえ。なぁ〜んにも」
「そうか。ボクの聞き違いか」
「えぇ」
な、何?!何スか、この人達?!つうか、この人!!!
怖いとか、そう言うレベル超越してるんスけど!!!!!!
「おかわり」
「ワン!!」
「ちんちん」
「ワン!!」
「伏せ」
「ワン!!」
「…よく躾けられてるわね」
「そうだね。言う事を聞く犬は好きだよ」
頭を撫でられても、身体の震えが止まらないんスけど!!!
ちょっ…火神っち!!帰って来て!!!今すぐ帰って来て!!!オレを迎えに来てぇぇぇぇぇぇ!!!!!
もう追い掛けたりしないから!!!言う事聞くっスから!!!!……それなりに!!!!!
反省?何スか、それ?!美味いんスか!!!!食った事ないっス、オレ!!!!
「玲央」
「なぁに、征ちゃん」
「何か食べ物持ってないか?」
「食べ物?…ん〜、ビスケットならあるけど」
「それは犬が食べても問題ないか?」
「問題…ないんじゃない?」
「そうか。…じゃぁ、くれ」
「はい」
ブルブルしてたら、目の前に。
…くんくん。
良い匂い。
ソっと怖い人の方を見れば。
微かに微笑んで、オレを見てる。
え、くれるんスか?
「待て」
「…っっ」
あーんと口を開けようとしたら。
…まさかの、待て。
「待てだぞ。犬」
「………っっっ」
「そう。待て」
「…………っっっ」
オレはプルプルしながら、我慢する。
待て。…そう、待たないと、オレ、多分死ぬっス!!!
「…よし」
「………クゥン?」
「ヨシ、だぞ。食べて良い」
た、食べて良い?本当に食べて良いんスか?
食べ始めたら、怒らない?ハサミ突き刺さない?!
「ほら、良いぞ。食べるんだ」
「わ…ワン!」
何度も確かめて、……頂きます。
「…本当によく躾けられてるわね〜」
「そうだな。…よし、玲央、行こう」
「もう良いの?」
「あぁ。充分遊んだ」
去って行く2人を見ながら。
…オレはこの人には二度と会いたくない、と思った。
そして、誠凛の皆が戻って来て。
「黄瀬君(犬)ー、お待たせ」
皆の姿が見えた瞬間。
オレは繋がれてるのも忘れて、思いっきり飛び掛かろうと、身体を出来るだけそっちに伸ばした。
「きゃいいいいいいいいいいいいいいん!!!!!!!!!!!!」
「ぅわ?!ちょっ、どうしたんだよ、黄瀬?!!」
怖かったっス、怖かったっス――――!!!!
抱き締めて!!!んで、オレに生きてる喜び感じさせて欲しいっス―――――――っっ!!!!!!!!!!!!!
「ちょっ、黄瀬馬鹿!お前、首締まってるだろ?!繋がれてんの忘れてんのかよ?!!」
「キャインキャイン!!!」
「おい、何があったか知らねェけど、落ち着けって…!!!」
いんたーはい…!怖い所っス…!!!
・END・
2012/11/13UP