…うるさい。
寝てたら、リンリンとうるさい音に目が覚める。
何スか、もー。人?が折角気持ち良く寝てんのに。
閉じていた目を開くと。
何かが光ってる。


「…何スか、これ」


音の原因もコイツらしくて。
うるさいなー、とそれに近寄ってジっと見る。
あー、これ知ってるっス。
確か『電話』つうんスよね。
これって電話が鳴ってるって奴っスよね。
…どーやって止めんだろ?これ。


「…それにしても」


うるさい。
黙らせる事、出来ないっスかね。
これじゃぁ寝れねっス。
叩けば良いんスかね?どうやってたっけなぁ…。
まぁ取り敢えず一発殴るか、と思ってたら。


「あ」


止まった。
やったー、よく解んねっスけど、これで静かに寝れるっスね。
そう思ったのに、またうるさく鳴き出した。
マジ、ウザいんスけど。
そう思ったら。


「ぅお?!!」


何か出て来た。何か吐き出した!!!
何か電話が紙、吐き出したんスけど!!!!


「…何スか、これ」


本日二度目の台詞。
電話が吐き出した紙には。
何か汚っねー文字が書いてある。


「えーっと何何?……に、ろ?」


読める字と読めない字がある。
にろ?にろって何スかね?
それを見ながら首を傾げてたら、また電話が鳴った。
また紙吐き出すんスかね?てか、電話が紙吐き出すなんて初めて知ったっスよー。
これの中、どうなってるんスかね?
ちょっと気になって、電話を持ち上げたら。
あ、やべ、何か落ちた。
どうしよう、と思ったら、"それ"から。


『さっさと電話に出ろ                  っっっ!!!!!!!!!!!!!!』
「ぅわ!!か、火神っち?!」


"それ"から火神っちの声。
え、何で??


『やっと出たか、馬鹿黄瀬!!!』
「電話、ってのから火神っちの声がする。電話、すっげー」
『FAX送っただろうが!!!』
「?何スか、それ」


"それ"が揺れるから、屈んで、"それ"に話し掛ける。
うーん、何か電話が分離した。
これってどっちが本体っスかね。


『……そうだった、お前犬だったな』
「??聞こえないっス」
『良いか?!受話器を持って、それを耳に当てろ!!!』
「受話器?何スか、それ」
『今、オレの声がする奴だよ!!!』
「これっスか?ってか、耳に当てる体制キツいんスけど」
『…お前、今どう言う格好してる?』
「え?何??聞こえない」
『今、どんな格好してるかって聞いてんだよ!!!』
「どんなって……本来のオレの格好?」
『本来??………もしかして手と足、床に付けてんのか?!』
「うん」
『四つん這いかよ!!ちげーよ!!!受話器…オレの声が聞こえてる奴持って、耳に当てろ!!』
「持って耳に当てるって……こう?」


言われた通り、"それ"を拾い上げて。
火神っちの声が聞こえる丸い穴がいっぱい空いてる奴の片っぽを耳に合ってる。


『聞こえるか?』
「あ、っス。聞こえるっス」
『こっちもお前の声聞こえるし。取り敢えず、まぁ良いか』
「これすっげーっスね。どうなってんスか?火神っちが入ってんの?」
入るか!!仕組みなんて、オレが知る訳ねーだろ!』
「あ、ねね、コイツさっき紙吐き出したんスよ。また吐き出したりしないっスかね?」
『そりゃオレがFAX送ったからだ!』
「ふぁっくす?」
『その紙の事だよ。それに書いただろ。“電話に出ろ”って』
「“に”と“ろ”は読めたっスよー」
『……………』
「ぁれ?何もしゃべんなくなった。ねーねー?火神っちー?死んだー?」
死んでねーわ!!つか、ほんと時々忘れるわ。お前が犬つう事…』
「?何今更言ってんスか」
『あーったく!!お前マジめんどくせー!!!犬なのか人間なのか、はっきりしろよ!!!』
「オレに言われても!!!」


ハァ〜と言う溜め息の後。


『まぁ、良いや。黄瀬、お前に頼みたい事があんだけ……』
「やっス」
『……………』
「じゃ、オレ昼寝するんで。じゃね、火神っち」


オレがそれを耳から離そうとしたら。


『テんメ                  っっっ!!!!!!!!!!!!!!』
「ぉわ、ビックリした!!」


突然の怒声。
おぉ、すんげー。鼓膜にビリビリ来たっス。
距離なかったら鼓膜破れてたんじゃないっスかね。


「冗談っス、ジョーダン。やだなぁ、火神っち」
『嘘言え!ぜってーマジだったろ?!』
「あははー、否定はしねっス」
『っ、この野郎…!!』
「で、何スか、頼み事って?」
『……財布、テーブルの上に置いてね?』
「財布?あぁ、黒いのっスか?」
『そう、それ。やっぱ家かよ……悪ぃんだけど、学校まで届けてくれね?学校までの道のり解るか?』
「学校って何処っスか?」
『誠凛高校だ』
「せーりん、せーりん……あぁ、解るっス。そこら辺縄張りだから」
『そうか。んじゃ、待ってっから。…あぁ、後さ、お前時計解るか?解んねーか』
「時計?解るっスよー時間計る奴でしょ?」
『知ってるのかよ?!』
「餌くれる時間とか知る内に覚えたっス」
『生活に必要な事は覚える訳な…んじゃぁよ、昼くれェに持って来てくれよ。12時、解るか?』
「ん、りょーかいっス」
『あ、鍵はちゃんと掛けてけよ?!』
「大丈夫っスよ。教えてもらった通りにするから」
『おう。じゃぁ、受話器、ちゃんと元に戻しとけよ。宜しくな』
「…へ?」


その言葉っきり、ツーツーって音がして。
火神っちの声は途絶えた。
そしてオレは。


「…置くって、何処に??」





「〜♪」


ポカポカと温かい日差しの中、オレは鼻歌交じりに誠凛高校へと向かう。
ひっさびさの外っスね。気持ち良い日差しに気持ちも踊る。
あー、このままどっか行きたいっスねー。
まぁ、この黒いの、財布ってのを火神っちに届けないといけねっスから、それは出来ないけど。
たまには外に出た方が良いのかもなー。
どーも火神っちの家は居心地良くて、昼寝して過ごしちゃう。
夜とかにバスケしに火神っちと外行くから、まぁ良いちゃぁ良いんスけど。


「っと、とーちゃく」


そんな事考えながら歩いてたら、あっと言う間に誠凛高校に着いてしまった。
ここで良いんスよね?


「火神っち、居ねーし」


キョロキョロしたけど、火神っちの姿はない。
見える時計に目をやれば、11時45分。…多分。
…しまった、早過ぎた。
あー、暇っスねぇ、最近縄張り見回りしてねェから、するか?
否でも、人間の姿じゃマーキング出来ないから、行ってもしょうがねーか。
てか、何か騒がしくな……


「あ、あの…!」
「ん?オレっスか?」
「はい…!ぁの、誰かお待ちですか?よ、宜しければ呼んで来ますけど…!!」
「あ、あぁ…えーっと」


きゃぁきゃぁと何か人が集まって来た。
あぁ、そう言えば犬ん時もこうやって集まって来てくれたなぁ。
人間時でも集まって来てくれんだ。


「お名前何て言うんですかー?」
「オレ?オレは黄瀬涼太…」
「黄瀬さん、彼女居るんですかー?」
「もしかして彼女に会いに来たんですかー?」
「彼女?何それ?オレは…」


矢継ぎ早にされる質問に、どーしよーかなーなんて思いながら答えてたら。


「…黄瀬!!」
「あ、火神っち。やっほー」
「ちょっと来い!この馬鹿っっ!!」


グイっと手を引かれ、オレは女の子の集団の中から連れ出される。


「ちょっ、どうしたんスか、火神っち?」
「お前なぁ…あんな目立って、どーすんだ、ボケっ!!!」
「知らねーっスよ。火神っち待ってたら、寄って来たんスよ」
「だからってなぁ…時間も早ェし…」
「外出るの久々だから、すぐ出て来ちゃったっス」
「ったく…」
「つか、犬ん時もそうだったんスけど、人型んなっても女の子寄って来てくれんスね。何でっスかね?」
「知るか!!!」
「何怒ってるんスか?」
「〜っっ、お前はもうちょっと自覚を持て!!!」
「自覚?何の?」
「自分が犬だって自覚だよ!!!」
「持ってるっスよ。まぁ、最近は犬で居る事の方が少なくて、違和感っスけど」
「…持ってるようには思えねーんだけど」
「そうは言うけど、火神っちが犬の姿のオレ怖がるからいけねーんスよ?」
「怖がってねーし!!苦手なだけだ!!!」
「どっちも変わんねーっスよ。犬の姿にしたがらないし」
「う…」
「まぁ、オレは火神っちとこうして会話出来る人型も、嫌いじゃねっスけどね」


オレがそう言うと、火神っちはガリガリと頭を掻いて、視線を逸らせる。
ん?何か顔赤くないっスか?オレ変な事言ったっスかね??


「と、とにかく!あんま目立つな。もし犬から人間になれるなんてバレたら大へ……」


ふと。
ダムっとボールの音が聞こえた。…この音、バスケットボールの音だ!


「大変なんだから。解ったな……って、
居ねェ?!おい、ちょっ…言った側から何処行った、ぁの馬鹿犬…!!!


音を頼りに、向かう。
そしたら、すぐに大きな建物が見えて。
この中から聞こえる、と扉を開くと。


「……………」
「……………」


大きな人とメガネの人。
メガネの人がボールを放っている。
それは綺麗な放物線を描き。
リングに当たる事なくゴールネットを揺らした。
ゴールの近くにはいっぱいのボールが転がっていて。
あんなに投げたんだ、って思った。
視線をまた2人に戻すと、大きい人がまたメガネの人にボールを渡して。
その人がボールをまた放つ。
コロコロと転がって来たボールを見つめ。
オレはそっと靴を脱ぐと、ゆっくりと近づく。


「日向、そろそろ…」
「あぁ、…ラスト」


シュートフォームを見て、目を閉じる。
イメージを浮かべて、その通りに身体を動かす。
…うん。
イメージ通りに身体が動いたのを感じて、そのままシュートを放つ。
メガネの人の放ったボールがゴールに入り、オレのボールも後を追って同じようにゴールネットを揺らした。


「……………」
「……………」
「あ、入った。入ったっスよー!」


思わず歓喜してると。


「おい、ダァホ」
「へ…?」
「てめ、どっから入って来た?つうか、うちの生徒じゃねーよな。他校か?まさかと思うが視察じゃねーだろうな?」
「え?あ、あれ…?」


何かすンごい形相してるんスけど。
あ、あれ…?これって不味かった、ぽい??


「まぁまぁ、日向。そう目くじら立てるなよ」
「あぁ?!木吉!お前はもうちょっと危機感持て!!このダァホ!!!」
「もしかしたら転入生かも知れないだろ?」
「あ?」


その言葉に2人の視線がオレに向けられる。
てんにゅうせい?って何スかね?
首を傾げるオレと、オレを睨むように見るメガネの人とほわほわした大きな人。


「居た!黄瀬、テメ、勝手にちょろちょろすんなつったろ!!!」


どうしようかと思ってたら、火神っちが息を来た。


「火神」
「おう、どうした、火神」
「火神っち」
「…火神の知り合いか」
「ぁ、キャプテンに木吉先輩…すんません、コイツ何かした……ですか?」
「や、何かって言うか…」
「なぁ、火神。コイツ、転入生か何かか?」
「へ?黄瀬、っスか?ちげー…ですけど」


火神っちにジロっと睨まれて。


「テメー、何かしたのか…?」
「い、いや…バスケットの音が聞こえたんでこっち来て、んで、この人がボール投げてんの見て、オレもオレもーって」


ちょっ、火神っち、凶悪!!顔がどんどん凶悪になってるっスよ?!
手をパキパキ鳴らすのも止めて欲しいっス!!


「大人しくしてろつったよな?」
「言ー…われたような…言われてない、ような…」
「あぁ、そうか。んじゃぁ、その枯れた脳みそに響き渡るように説明してやるよ…主にで」


それ『主』じゃなくて、『ほぼ』または『100%』拳に訴える気じゃないっスか!!


「キャインキャイン!!!」


迫り来る火神っちに危機感を覚え、オレは思わず、でっかい人の後ろに隠れた。


「ぼ、暴力反対っ!!!」
「テメェが人の話聞かねェからだろうが!!!」
「おいおい、オレを挟んで喧嘩するな?」
「だからって暴力に訴えるなんて駄目っス!!
動物虐待反対!!!
「動物って…」
「否、人間も一種の動物だろ。真理だなー」
「そんな深い意味で言ってねェと思うぞ」
「一度痛い目見させて、
身体に覚えさせてやる!!!
「そう言うのはご遠慮しとくっス!!!馬鹿じゃないんで、大丈夫っス!!!」
馬鹿だ!!!あー、木吉先輩に隠れんな!!!黄瀬ぇぇっっ!!!」
「ヤっス!ヤっス!!ぜってーヤっス!!!断固拒否!!!」

「まぁまぁ、火神。何があったが知らんが、暴力はいかんぞ?」
「木吉…オレはお前が何でそんなに落ち着き払ってるのか疑問だよ」
「まぁ兄弟喧嘩みたいなもんじゃないのか?」
「そうなのか?火神?」
ちげーっス!!こんな
ノータリンと兄弟な訳ねー!!…です!」
「それはこっちの台詞っス!!!こんな凶悪な顔した奴と兄弟とか、
マジ勘弁してほしーっス!!!
「おーおー、良く言った…!!!
止まれや、黄瀬ぇぇ…!!!
「ぼ、暴力は駄目っス!!暴力反対!!…
落ち着いて!!!
「そう思うなら、止まれ!!!んで、テメーが落ち着け!!!!」
「火神っちが止まったら、オレも止まるっス!!!」
「お、おい…!!何か、木吉中心に
ちびくろサンバみたいになってんぞ?!木吉、お前も笑ってないで、止めねェか!!!」
「はっはっはー、よく目が回らないな、お前等。オレ、そろそろ目が回って来たぞー」


グルグルしばらく回ってたら。

バァァァァァンっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「……………」
「……………」
「……いい加減にしろや、このダァホ共」
「……はひ」
「……はいっス」


すンげー音がしたと思ったら、メガネのおにーさんが滅茶苦茶笑顔でボール壁に投げた、…みたい。
…もう帰りたい。


「火神…それから、お前、そこに正座」
「え、オレもかょ…ですか?!」
「正座」
「…っス」
「星座?今昼間だし、ここ室内っスから、星座は見えないっスよ?」
「そんなにお前はブン殴られたいのか…?初対面だからって手加減しねーぞ、このダァホ!!」
「す、すませんっ…!!」
「馬鹿、黄瀬!正座ってのはこうだよ!!」


火神っちを見れば、膝を畳んで座ってた。
えー、何か窮屈そう。だけど、メガネの人、怖いし…。
そう思って、メガネの人の方を見たら。


「そんな目くじら立てる事でもないだろう、日向」
「お前が緩いから、オレがシメてんだ、ダァホ!つか、寄り掛かるな、重ェっっ!!!」
「……………」
「っ、重い!!お前は何がしてェんだ!!!正座しろつってんだろうが!!!!」


大きい人を見習って、オレは火神っちに圧し掛かってみた。
…そしたら怒られた。


「だーって正座?ってのは窮屈そうでヤっス」
「〜っ、誰のせいでこんな事になったと思ってんだよ!!!」
「えー、オレのせいっスか?火神っちがオレの事追っ掛けるからっスよ」
「お前本当自分本位な奴だな!!!」
「……しっかし」
「?」
「随分仲が良いんだな。火神の友達」
「友達じゃねー、ですよ!!」
「友達じゃないのか?じゃぁ…何だ?」


何だ、と聞かれて、オレ達は顔を合わせる。
何だろう。
飼い主と飼い犬?…嫌々、オレ元々火神っちに飼われてる意識ないし。
居住提供者…が一番近い気がするっスけど、火神っちがどう思ってるんだか。
オレが火神っちの言葉を待ってると。


「あー……その、遠い、親戚?」
「え、親戚なんスか、オレ達?!」
「お前もう良いから、ほんっと黙ってろ!!!!」


驚きの言葉が飛び出た。
え、そうなんスか、知らなかった!と言ったら、黙ってろと言われた。
えー、だって驚愕の真実って奴じゃないっスか。
そしたらグイっと引き寄せられて。


「…良いか、黄瀬」
「ん?」
「本当の事なんか言えねーんだ。言っても信じてもらえねーし、もしかしたらお前見世物小屋とか研究施設に送られるかも知れねー」
「ゲっ!それは嫌っス!!」
「だったら黙って話合わせとけ。良いな?」
「…らじゃっス」


こそっと言われた言葉に頷く。
なるほど、目立つなつったのもそう言う訳っスね。


「おれとかがみっちはとおいしんせきっス!!」
「…は?」
「ほんともう黙ってられねェの、お前?!」


あり、何か不味かったっスかね?
火神っち半泣きっスね。


「…まぁ、良い。つー事は他校って事か?」
「へ?たこ?」
「…他校ではねー、…です」
「他校じゃねェのか?じゃぁ、もう高校には行ってないのか?大学生か?」
「あー、大学生でもねー…です。コイツ、その、…あぁっと」


オレの事を話してるのは解るけど、話の内容が解らない。
言い淀む火神っちを見てたら、大きな人が。


「まぁ、良いじゃないか、日向。色々訳ありみたいだから」
「…あー、まぁそれもそうか。他校じゃねェならもう良いか。……えぇっと、歳くらいは聞いても?」
「あ、オレ、いっさ……」
「16歳です」
「ぃ……」


…火神っちに遮られたっス。


「って事は年下か。じゃぁ、黄瀬…だっけ?黄瀬って呼んで良いな。オレは日向順平だ。宜しく」
「オレは木吉鉄平だ。宜しくな」
「黄瀬涼太っス!宜しくっス!」


そう言うと、手を差し出され、条件反射的に手を出したら、握手され、そのまま手を引っ張られた。


「立てるか?」
「あ、っス」


そのまま立たされて、木吉って人の前に立つ。
…でっかいっスねー。
犬ん時は見上げる事が多かったけど、人型んなってからは見下ろす事の方が多かったのに。


「バスケやるのか?」
「っス!火神っちに教えてもらって」
「そうか。じゃぁバスケ歴は長いのか?」
「最近始めたばっかっス。一週間くらい?」


オレがそう言ったら、2人共驚いて。


「一週間で3P入るのかよ…」
「へ?すりーぽいんと??」
「さっきのシュートだよ。マグレか?」
「まぁ、もう一回やってみてくれよ」
「っス」


渡されたボールを手に、さっきボールを投げた所まで戻る。
3人の視線を何となく感じながら、さっきの通り素早くボールを投げた。
そしたらボールはやっぱりさっきみたいに入って。


「…マジかよ」
「あー、コイツ運動神経が異様に良いみたいで。一回見れば大抵の事は出来るみたいなんスよ」
「へぇ…」
「そうなのか!そりゃ凄いな」


何だか誉められたみたいで。
ニコニコしながら、木吉って人を見上げてたら。


「……………」
「……………」
「…って、何でお前はナチュラルに
頭撫でてんだ、このダァホ!!!
「あ、いや、何となく?」
「何となくですな!!!」


頭を撫でられた。
でっかい手で撫でられて、ちょっと気持ち良かった。


「じゃぁ、他のも見たら覚えるのか?」
「じゃねー…ですか?」
「へぇ、ちょっとそれ面白いな!」


それから。
日向って人と木吉って人がオレにいっぱい色んな事を教えてくれた。


「ほんとに一回見たら吸収すんだな…」
「こりゃ下手したらキセキの世代と同等の才能だな…」
「?」


火神っちとのわんおうわんも楽しいっスけど。
たまにはこうやって違う人とするのも楽しいっスね!


「黄瀬」
「?何スか」
「バスケ楽しいか?」
「っス!」


オレが大きく頷くと。
2人は嬉しそうに笑って。


「じゃぁ、たまには練習にも顔出せよ。放課後、体育館でやってるから」
「え…」
「カントクにはオレ達から言っとくからよ」
「その才能、眠らせとくには勿体ねーからな」
「どーせ日中家で引き籠ってるんだろ?」
「良いんスか?!」
「あぁ」
「歓迎するぜ?」


2人の言葉に、オレは頷き掛けて。
…そう言えば。
一応目立つなと言われてたなーと思って、火神っちを見ると。
オレの視線に気づいたのか、火神っちは何処か居心地の悪そうな感じで。


「……まぁ、良いんじゃね?キャプテン達もそう言ってくれてんだし」


その言葉にパっと顔が緩むのを感じて。


「え、えっと。……よ、宜しくお願いします……っス!」


オレは勢いよく頭を下げた。
そして。


「…でーも」
「?」
誠凛ウチの練習は半端ねーからな」
「…へ?」
「中途半端な覚悟なら、瞬殺すっぞ。クソダァホが」
「!?」
「はっはっは、日向、スイッチ入ってんぞー。黄瀬がビビってんぞー」


この人優しいんスか?!怖いんスか、どっちなんスかぁ?!!



・END・
2012/11/09UP