チベットの風景−その1



 標高5200mのチョモランマBC(ベースキャンプ)です。ラサから四輪駆動車で、無人の荒野の悪路を三日間走り続け、5000mの峠を幾つも超えて到達しました。空気が薄いので、歩くと息切れがします。前方1キロぐらいの所までチョモランマ氷河の先端が押し寄せています。その奥の高峰が標高8848mのチョモランマ(エベレスト)です。立っているところはキャンプ上部のモレーンの上ですが、少し前まではこの辺りが氷河の先端だったのでしょう。チベット側からのチョモランマ登頂はここにベースキャンプを置きます。ロッジと僧院のある標高5000mのロンブクから徒歩2時間ほどの距離です。普段はここまで車で入れないので、ロンブクに用意された馬車で上がります。我々が訪れた10月はシーズンオフで、馬車は麓の村に下りてしまっていたので、乗ってきた4WDのランクルで上がれました。反対側のネパール側はクンブ氷河を囲んでローツェ、プモリ、ヌプツェなど著名な高峰が賑やかに立ち並んでいますが、ここチベット側からはチョモランマしか見えません。いかにもチベットらしい変化に乏しい風景です。チョモランマがエベレストと同じ山には見えません。

 この写真を撮ったのは2005年。北京オリンピックの3年前です。少数の登山者や観光客以外誰も来ない、粗末なロッジが一軒あるきりの人気のない静かな場所でした。チョモランマ越えの聖火リレーのため、昨年夏この辺りは大規模な工事が行われたそうで、景色は一変していることでしょう。イギリスBBCの報道によれば、工事期間中、大勢の工事業者や人夫が入り込み、売春宿が建ち並び、博奕、麻薬、窃盗が横行していたそうです。中国式の、環境保護もへったくれもない、手荒な工事だったに違い有りません。今はどんな景色になっているのか。我々が見た静穏なベースキャンプからは想像も付きません。荒らされる前に訪れておいて良かったと、つくづく思います。 (写真はクリックで拡大出来ます。)
<<2009年1月、伝蔵荘主人>>


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