2023225

 今回の「再生方式2石ラジオ」は、前回の1石ラジオ回路基板をそのまま利用して、ボードの空きエリアに低周波増幅回路を追加します。また、1石ラジオの帰還量調整は可変抵抗と再生バリコンで行っていましたが、可変抵抗を固定抵抗に置き換えて、再生バリコンだけで音量調整を行えるようにしています。

再生方式2石ラジオの製作

 前回の1石構成では、電波状況の悪い放送の受信音量は小さく、実用ラジオには程遠い状態でしたが、今回は低周波増幅回路を追加したことで、当地で電波状況の悪いニッポン放送も充分な音量で聞くことが出来、2石構成にすれば実用ラジオとなることを体感しました。但し、1石構成では感じられなかった混信は、音量が大きくなったことで、混信が感じられるようになりましたが、バーアンテナの指向性を活かして、ラジオの方向を調整することで混信は気になりません。図7に作製した再生式2石ラジオの受信音量を感じられるよう、音声出力波形と電圧測定結果を示します。また。 音声波形の測定点と測定も様子を図6に示します。なお、受信音量は同調の状態、帰還量の状態、電波塔の方向、等で影響を受けますが、一番受信状態の悪い放送局の受信でも、実用レベルの音量と音質に設定し、同調バリコンで選局し音量波形を比較します。測定結果は図7に示します。

 バーアンテナは「再生方式1石ラジオ」で作製したのコイルをそのまま流用します。すなわち、聞きたい放送を取り出す共振コイル(同調コイル)と共振した信号を電気信号として取り出す2次コイル、取り出された放送信号に帰還信号を加える再生コイルの3つのコイルで構成され、コイルは同一のフェライト棒に巻かれています。なお、受信信号に帰還信号を加える為には、受信信号と帰還信号の位相を同じにする必要があります。その為には、2次コイルと再生コイルの巻き始めを同じ方向にします。 位相が合わないと両信号は加算されませんが、帰還量を大きくしても音量が大きくならなかったり、音声が発振しないようであれば、再生コイルの巻き始めと巻き終わりの接続を逆にしてみてください。

 少年時代に夢中になったラジオの製作、再びのワクワクとドキドキを楽しんでいます。前回は受信感度と混信特性の良い「再生方式ラジオ」をトランジスタ1石で構成しました。 電波状況の悪い千葉県我孫子市の当地でも、NHK以外は音量は小さいながら、目立った混信もなく東京圏の主要全局を受信することが出来、再生方式の優れた特性を体感しました。もう1石で低周波増幅回路を追加すれば、充分な音量で聞くことが出来る実用ラジオが出来るとの感触を得られました。今回はその実現がねらいです。 出来上がった「再生方式2石ラジオ」の外観を図1に示します。

製作まとめ

図6. 受信音量測定の様子

回路基板 表面と裏面

「再生2石」ラジオ

「再生1石」の帰還量調整のボリュームは固定抵抗に置き換えています。また、低周波増幅回路を追加しました

「再生1石」ラジオ

図3. 再生方式2石ラジオ 回路図

 回路は前回の「再生方式1石ラジオ」の高周波増幅回路とダイオード検波回路はそのまま流用し、後段に一般的な低周波増幅回路を追加します。また、前回の工作では最適な帰還量が分からなかった為。帰還量調整ボリュームと再生バリコンで構成しましたが、調整ボリュームは固定抵抗に置き換えます。図3に今回製作した「再生方式2石ラジオ」の回路図を示します(赤色破線で囲まれた部分が前回の再生ラジオとの差異を示しています)。ポイントとなる1次コイル(共振コイル)、2次コイル、再生コイルは市販フェライト棒にポリウレタン線を巻いて自作します(図4参照)。なお、同調バリコンはストレートラジオ用(270PF)ポリバリコンを、再生バリコンはスーパヘテロダイン用2連バリコンのうち小さい方のバリコン(75PF)を利用します。1段目のトランジスタ負荷はの4.7mHコイル(マイクロインダクタ)を流用します。

製作する再生方式2石ラジオの構成

図7 受信音量波形の様子

受信音量波形

音量は放送内容、放送局により多少異なりますが、アナウンス音声の受信時の波形で波形を比較しています。

図5. 実装の様子

図4. バーアンテナコイルの構成

バーアンテナコイルの構成

回路構成

2. 再生方式2石ラジオ ブロック構成

 AMラジオの音声は搬送波(例えばNHK第一放送では594KHz)の振幅変化として運ばれます。また、多くの電波の中から聞きたい放送を取り出すには、共振現象を利用した同調回路で聞きたい周波数の放送信号を取り出し、検波回路が放送信号の振幅変化から音声を取り出します。 再生方式ラジオでは同調回路で取り出された放送信号は増幅した後、入力側に戻されて(帰還信号)、受信した放送信号に加えることで受信信号のレベルを増幅します。このとき、受信信号の位相と帰還信号の位相が合っていなければ増幅はしません。このように受信信号を正帰還して受信信号のレベルを増幅することが再生方式ラジオの特徴です。入力側に戻した電気信号は再生コイルで磁界を発生し、共振現象で取り出された放送信号の磁界とをフェライトコア内で加算されます。この加算された磁界は2次コイルの誘起電圧として電気信号が取り出されます。 図2に作製する再生方式2石ラジオの流れを示します。

1. 完成した再生方式2石ラジオ 外観

実装